五感教育研究所-1
20日朝、青森市の八甲田山系の山の中腹で、一家で山菜採りに来ていた13歳の女子中学生が死亡し、3人が病院に運ばれた。警察は、火山性ガスが原因の可能性もあるとみて調べている。
八甲田山では、以前1997年にも訓練中の陸上自衛隊員3人が倒れて死亡した場所こそ、八甲田山地獄谷に言われている場所で、酸ヶ湯温泉にも近い場所で、私も子供の頃から遊んではいたが、決して近寄らなかったのである。
八甲田山は現在も、地獄谷付近では「火山性ガス」が噴出しており、硫化水素や二酸化炭素が含まれている。
今回の事故は、山菜採りに来ていた家族が、無風状態の中、地獄谷に入り山菜採りに夢中になり、気分が悪くなり、意識をなくしてそのまま倒れてしまったのである。
この地獄谷は、窪んだ場所なのですぐに分かるし、風向きによっては鼻にツーンとする臭いを感じるのである。
私は絶対にこの付近は危険なことを幼い頃から知っており、決して近寄らないのである。
以前にも私のブログで紹介した。現代人の嗅覚の鈍化が招いた事故でもあるのです。硫化水素などは、よく卵の腐ったような硫黄の臭いと表現されるように刺激臭として可成り離れた場所に居ても私には理解出来、感じるのである。
2年前には宮崎県の高校生が調理実習中に、ガス漏れに気づかず、5人が倒れ、内3人が重症となった事故は、タマネギの腐ったような臭いをガス漏れだと分からず、感じられず、具合が悪くなってから気がつくのである。もし、誰かがガスに火を点けたから教室が爆発していたと考えると背筋が寒くなる。
このように嗅覚の鈍化し、鍛錬不足は時として自己に迫る危機を感じられず、危ないと分からないのである。本来、人の五感や嗅覚(臭い)は、自己に迫る危機を回避するために発達し、そして命を守っているのである。
ところが、現在は携帯電話やパソコン、テレビなど便利で多くの情報を何時でも誰でも簡単に得られる時代です。
これらから、私は「現代人の五感が危ない」と指摘し、テレビ番組などでも紹介してきた。
とくに私が危惧しているのは、私たちの五感が「視覚優位」の感覚に陥り、見た物しか理解しない。分からないなどの感覚である。
だから、危ない臭い、今回のような硫化水素、二酸化炭素などの臭いを危ないと思わず、大丈夫だろうと過信してしまうのである。
これらは、都会に限らず地方でも同様に実体験不足、理解不足が招くものである。
私のように野外にで出れば、犬のように嗅覚や他の感覚を総動員し、危険な臭い、危ない音などをすぐに認識し、私が指導している団体等に注意を促すことが出来るのです。
これらから、私は自衛隊員や消防隊員の訓練にも、五感鍛錬法、五感訓練が必要で以前に防衛庁に指摘し、私共が指導致しますと申し出たことがある。
自衛隊員に限らず、消防隊員も遠く離れた場所から焦げ臭さ、顔に熱さを感じる温度差など、五感力が劣っている人たちが多いのです。
これら五感力の向上は、自己に迫る危機を回避する能力、つまり「危険回避能力」を高めるための訓練なのです。この五感鍛錬をすることで、危険な現場で働く人たちやヒューマンエラー防止など、時には予知能力として身につくのです。
八甲田山に限らず、火山性ガスの発生している山々は多い、富士山といえでも危険な山なのである。季節によっては突風、吹雪、落雷、落石など私たちに迫る危険は多々あります。これから梅雨が明け、登山など夏山の最盛期になるが、窪んだ場所、無風状態時の火山性ガス(有毒ガス)が少しでも感じたらその場所は回避する。迂回するなど徹底して敏感に反応し、神経質なほど慎重に対応して欲しい。
特に、登山ガイド、リーダー、指導者などは大勢の命を預かっているのだと自覚し、責任感、使命感を強く持ち、これら五感の鍛錬を積み重ね。危険回避能力を高め、五感を総動員して、安全な登山や山菜採り、ピクニックなど楽しんで欲しいと思います。私共は今後とも人の五感の重要性、自己の命を守る術としての五感の鍛錬などを今後とも指導、提唱して参ります。
五感教育研究所、主席研究員、荒木行彦、