その刃はどこに向けられるのか | 浅慮相乗のブログ

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読売新聞の2月12日朝刊4面に以下の記事が掲載されました。webでは有料での閲覧となりますが、図書館に行けば新聞のバックナンバーが所蔵されているところも多いので実物を閲覧できると思います。

[政なび]ネット選挙 もろ刃の剣
2015年2月12日3時0分 読売新聞
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/news_20150211-118-OYTPT50257/list_NEWS%255fMAIN_4

タイトルからも推察できますが、政治面に掲載されたものです。

2月12日朝刊 政治面
http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#!/list_NEWS%255fMAIN%2509%25EF%25BC%2592%25E6%259C%2588%25EF%25BC%2591%25EF%25BC%2592%25E6%2597%25A5%25E6%259C%259D%25E5%2588%258A%25E3%2580%2580%25E6%2594%25BF%25E6%25B2%25BB%25E9%259D%25A2/list_NEWS%255fMAIN_7

この記事については武雄市の問題について様々な面から検討、批判してきた人たちから反発の声が上がりました。その1つとしてこちらがあります。

読売新聞の「政(まつりごと)なび」について #佐賀県知事選 #たけお問題 | 海馬への☆境界線
https://todotan.com/blog/?p=33927

このエントリを書かれた@todotantan氏はご自身で多くの情報公開請求をされています。情報公開請求は匿名で行うことはできません。同氏の実績はこちらで見ることができます。

@todotantanによる「たけお問題」関係の開示請求一覧
https://todotan.com/takeo/

読売新聞の記事には以下の記述があります。

”ただ、ネットは、自分の考えを多くの人とやり取りしやすい反面、匿名による攻撃的な反応も集まりやすく、「もろ刃の剣」の性格も持つ。”
[政なび]ネット選挙 もろ刃の剣
読売新聞2015年2月12日朝刊4面

与党推薦候補者の政治姿勢に疑問を持ち、問題を指摘することと、匿名であることが必ずしもイコールではないことは、実名でしかできない開示請求をされた方もいたことでお分かりいただけるのではないでしょうか。

エントリ「#佐賀県知事選挙 についてのブログ記事紹介」 http://ameblo.jp/senryo-sojo/entry-11981558128.html でいくつか紹介したブログエントリの執筆者には、3年近く、あるいはそれ以上、佐賀県武雄市の市政について問題意識を持ち続けた人が含まれています。選挙期間中、与党推薦候補者の過去の言動について言及し続けた人々も同じです。

読売新聞の記事にはこのように記述されています。

”1月の佐賀県知事選では、破れた与党推薦候補について、過去の言動を感情的に批判する「落選運動」がネット上で展開。「敗因の一つではないか」との見方も出た。”
[政なび]ネット選挙 もろ刃の剣
読売新聞2015年2月12日朝刊4面

残念ながら、批判されていたのは「言動」だけではありません。リスクを軽視する行政そのものが以前から批判の対象とされていたのです。その一例がこちらです。

”機密保持というのは、例えば、国から地方自治体に、機密情報が送られたとする。これが、米国のデータセンターに保存される。すると、米国当局は、令状の提示無しでこれを抜き取り読むことができる。これは、行政機関としてやって良いことなのか?”
武雄市Facebook化に学びたい?!
http://www.sakimura.org/2012/02/1527/

記事「[政なび]ネット選挙 もろ刃の剣」を書かれた読売新聞の高橋宏平氏は背景をもう少し調べてから書かれた方が良かったのではないかと思います。

同じ佐賀県知事選挙について書かれた記事をもう1つご紹介しましょう。岩波書店発行の雑誌『世界』3月号に津田大介氏が書かれた記事です。

インターネットは選挙の何を変えつつあるか
http://www.iwanami.co.jp/sekai/2015/03/104.html

この記事も落選運動について触れています。

”ネットでは樋渡候補の落選運動が静かな広がりを見せていた。「あなたは樋渡啓祐を佐賀県知事に選びますか?」と名付けられたサイトには樋渡候補が武雄市長時代に行った様々な施策(TUSTAYAと提携した武雄市図書館、官民一体型学校、自治体通販など)に対する問題点の指摘や、議会や住民と合意形成をせず独断で進める政治手法への批判、ネットで対立する意見を述べた人間に対する暴言などが事実ベースでまとめられており、従来の選挙戦で配られる「怪文書」とは一線を画す内容になっていた。”
岩波書店『世界』2015年3月号 111頁

「あなたは樋渡啓祐を佐賀県知事に選びますか?」のURLです。

https://nomore-hiwatashi.com/

同じ記事の中にはこのような記述もあります。

”同サイトを閲覧した佐賀県のネットユーザーは有権者数の一%弱(六七〇二人)とのことだ。”
岩波書店『世界』2015年3月号 111頁~112頁

なぜこのような数字が出たのでしょうか?先のエントリで紹介したこちらに、詳細な分析が載っていました。

nomore-hiwatashi.com のアクセス動向からみる佐賀県知事選挙 | あなたは樋渡啓祐を佐賀県知事に選びますか?
https://nomore-hiwatashi.com/analytics

落選運動のサイトと名指しされたサイトも、この分析も、それ以前の多くのweb上の資料も、そのほとんどが「感情的な批判」というよりは事実ベースによる指摘、批判が殆どです。例外は私のこのブログ位でしょう。

実のところ、私自身は「感情的」であること自体が悪いとは考えません。自分に対し、何らかの脅威が迫ってきていると感じることを「理性的」に察知する人はあまりいないのではないでしょうか?

大抵の場合は、「何か変だな?」、「気持ち悪い」、「なんか気に入らない」というのが先に来て、よくよく考えてみると、どのような部分がリスクであるかに思い至るのではないでしょうか?

察知した後にどう行動するかが問われているのではないでしょうか?一方で行動のトリガーが脅威により励起された「感情」であることは、人間が動物である限りは逃れ得ないものではないかとさえ思います。

あるいは、読売新聞の記事を書かれた方は、自身の職業に対する何らかの「脅威」を感じて、その「感情」から当該記事を執筆されたのかもしれませんね。プラスマイナス、様々な評価はありますが、ネット出身の津田大介氏の記事が、ある程度、事実を基にしたものであるのに対して、読売新聞の高橋宏平氏の記事は文字数の制約もあるのでしょうが、ご自身の考えが殆どのように思われます。

ともあれ、現実を動かすには人が動くしかありません。「もろ刃の剣」をうまく使いこなすのは人間です。そして、それをどのように使うかは政党、候補者のみに与えられた特権ではありません。