127.浮気行為 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

127.浮気行為

今回の記事は、肉体的浮気の記事です。抵抗のある方はお控えください。内容的には、前記事で会った同級生の男性と友達でカラオケに行き、その後初対面の男に寝たフリをして体を触らせたという話です。次回に少しあらすじは書くので読みたくない人は飛ばしても解かるようにするつもりです。


焼肉店を出て、同級生に電話をすると直ぐに車で迎えに来てくれた。
助手席には同年代らしき男性が乗っているけれど、暗くてよく解からなかった。
後部座席に私と親友は乗り込むと、同級生だけが振り返り私たちに行き先を告げた。
車はカラオケ店へと向かう。
車内はケツメイシが大音量で鳴り響いてる。
この音楽に負けじと声を上げようとは思わない。
ある意味静かだった。


カラオケ店につき、案内された部屋へゆき腰を下ろして初めて助手席の男性の顔をみる。
何故か私の隣に座っている。
どうやら親友とは顔見知りなようで、私とその男の自己紹介をすることになった。
彼はリョウとだけ名乗り、私の名を聞いてくる。
リョウは、とても幼い感じで喋り方も、わざとダルそうに喋るので馬鹿っぽい。
私はそれだけで不機嫌だ。
あわよくば私の体に腕を回そうとする。
「かおり」
私は初対面の男にはいつもこの名を使う。
もうあなたとは二度と会いませんと言う意思表示をかねて。
「かおりちゃんーね。な~んかテンション低くなーい」
「男とあんま上手くいってないから!手ぇ出すなよ。だから今日はぱーっとね」
私の代わりに親友が答える。
「ふ~ん、彼氏ってなんて言うん?」
「さぁ?」
「うーん、ゆうじ・・・とか?」
何、こいつ気味が悪い。
余りにズバリ的中させられたので動揺を隠す術を忘れた。
「あはは、ま、そんなところじゃない。よくある名前よ」
また私の代わりに親友が答えた。
「へ~、そのゆーくんは今何してるわけ?」
「別に関係ないんじゃない」
少しでも彼の事を忘れていたいと思うのに、彼の事で頭がいっぱいだ。
泣きそう。
「関係ないけどさ~、あんまり喋ってくれへんから」
「かおりは、もともと無口やの!ほら、歌うで!!」
また、親友は私の代わりに答えてくれた。
私の偽名を呼んで。


親友の一声で歌がなり続く。
同級生が好きなケツメイシに親友が好きなミスチル。
私はそれを聞いている。
一節一節が私の心を突き刺した。
私も歌うが、私が歌う歌は親友が選んで入れた曲だ。
ドラゴンボールとかタッチとかキャッツアイとかシティーハンターとか、何故か親友は私が歌うアニメソングがお気に入りらしい。
いつも手を叩いて喜んだ。
そしていつも私が歌っている側で、練習をしていた。
「アニソン最高~」
親友のこの一言は、空気を一変させる。

「こいつ最近アニソンばっか歌いよんねん」

「かっこいいやん!なぁ、かおり!かおりの曲パクらせてもらってます」
恋の歌が続いていた時が、ガラリとアニメの世界へと早変わり。
彼女の気遣いが嬉しかった。


が、そんな盛り上がるアニメの世界に入り込んできたリョウが入れたSMAPのオレンジで世界は闇。
食いしばる歯が痛かった。
帰りたい・・・けど、帰りたくない。


カラオケの内線がなり、朝を迎えたことを知る。
乗り切ったと思った。
精算をすませ、同級生の車に乗り込む。
「お前らどうするん?」
「どうしよう・・・」
世間は日曜日。
田舎の日曜日はスタートが遅い。
ここにいる4人は全員、地元暮らしの親のスネをかじった生活をしている。
「家、帰れんかったら昼まで俺ん家いる?」
同級生の言葉に甘え、私たちは同級生の家へと向かった。


玄関直ぐ横の同級生の部屋に詰め込まれ、何をするでもなく座り込む。
煙草の煙が直ぐに充満した。
それぞれの携帯がなり始める。
彼女や彼氏のモーニングコール。
その度に私たちは黙らされた。
「ん?寝てた」そんな風に平気で嘘が出てくる会話を、自分ごとのように落ち込んだ。
誰でもこうやって嘘をつくのだろうかと。
そして、今までの時間がやましい時だったと言われ、なんだか自分もやましい時間を過ごした気にさせられた。


徐々に眩しくなる朝日を遮光カーテンで塞ぐ。
フローリングに並べられた座布団の上に、私たちは薄手の毛布をかぶり寝転がる。
座った位置が悪かったのか、私の右横には親友が居たのだけれど、左横にはリョウがいた。
親友の右横には同級生がいたので、私に渡された毛布には親友ではなくリョウが入り込んでいた。
奇しくも一緒に寝るという形になったことを後悔する。
目を閉じ、私は直ぐに眠ったフリをした。


時計の音が聞こえる。
皆が寝てしまったのか、それともフリなのかは解からない。
スピースピーと誰かの微かな寝息は確かに聞こえていたけれど。
「もう寝た?」
こっそりとリョウが私に話しかける。
「起きてるんやろう?」
ネタフリをする私に、リョウは話し続ける。
「なぁ、ゆー君忘れて俺と付き合わん?」
寝てるかも知れぬ私に何を言い出すのだ。
「返事せんかったら付き合っちゃうで」
どうしたもんかと思ったが、ここまで来たら狸を決め込むしかなかった。
「そうか、寝てるんか・・・」
リョウはそう言うと、寝たフリをする私にキスをしてきた。
動けなかった。
今起きましたとばかりに拒否すればよかったけれど、何故だろう動けなかった。
舌を絡められ、私はやっとで動く事が出来た。
それも寝返りを打つという、あくまで寝ているというアピールつきで。
そんな不自然な寝返りをどう思ったのだろうか。
リョウに背中を向けた私は、少し怯えていた。
男の気配を背中に感じる。
そう遠くはなく、張り詰めている。
それが徐々に近くなるのを感じた。
ピリピリと距離が縮まっていくのがわかる。
リョウは私に沿うようにそっと後ろから抱きついてきた。
尾骨辺りに感じるコリコリと硬そうなそれでいて少し柔らかげなモノが危険を知らせる。
動けなかった。
服の下からリョウの左手が入ってきて、私の左の乳首に真っ先に向かってきた。
緊張のあまり立っていたと思われる私の乳首をクリクリと摘まみ弄ばれる。
「ねぇ?感じてる?」
もう起きているとバレているんだろうか。
どうしたらいいのか解からなかった。
乳首を指で挟んだまま、乳房をわし掴みにされ揉みほぐされながら乳首を弄られている。
正直、彼を想いながらの2ヶ月間、体は求めてた。
恥ずかしながら感じてた。
求めていたのは彼の手だった筈なのに・・・。
気持ちがいいと思ってしまった。
そんな体はしばらく抵抗できずに、されるがままを望んだ。
寝ている自分には非がないと、仕方がない事なのだと言い訳して。
その内に、リョウの右手が床と腰の間のスペースを利用して私の股間の位置を探りに来た。
直ぐにも下着の下へと右手は伸び、閉じられた私の性器を押し広げるように弄る。
ピクンピクンと性器が感じてるのを私は客観的に感じてた。
私は多分濡れていなかったのだと思う。
リョウの指が入ってくるのかと思ったけれど、諦めたのかずっとずっと左胸と性器を外側から弄り続けてた。
声を上げることもなく、フワフワと弱い波が私に押し寄せてた。
それに応えることなく、私は人形のように転がっていた。
応えない女の体を触って楽しいですか?
私はこの緩い快感に包まれながら眠った。
彼の笑顔を思い出しながら。


罪悪感なんて一つもなかった。

寧ろ振られた時の逃げ道になると思えた。

少なくとも私は一人部屋で眠ることはできなかっただろう。

気持ちいい、そう思う私は最低な女だな。



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