101.セックス観 | 彼女じゃない恋愛*愛した男には彼女がいた

101.セックス観

親友に無事水着を手渡したあと、「カラオケしたい」と言い出した彼とカラオケへ行った。
「お前とじゃないと来れない」とか、サラッと言ってくれるが私にとっては、かなり嬉しい一言だ。
彼は結構歌が上手くて、聞いているだけで満足が出来る。
私はちょっぴり音痴なので、なんだか恥ずかしい。
それに、スマップと椎名林檎とケミストリーと浜崎あゆみとアニメソングくらいしか歌えない、というか聞いた事がない私は、彼のリクエストに答える事ができなくて、あまり歌いたくない。
「音はあんまり外れてないしリズムも合ってるけど、棒読みに聞こえるよな」と、彼が言う。
それはね、言葉に感情がのってないってことだと思うよ。
だから、今はリクエストに答えたくはない。


机の上に置いてある私の携帯を、段々気にしだした彼。
暗くなる画面をしきりに点等させてる。


「もう、そんなに押さないでよ!自分の使いな」
「俺のん車」
「持ってきなよ」
「せのりのがあるし、えぇやん」


彼は会うたび私の携帯を時計代わりに使う。
不思議で仕方なかった。


時刻は午後9時半を回ったところ。
彼は、私の携帯をパタンと閉じて私に手渡した。
その後、何もなかったかのように2・3曲続いた曲のあと、時間など気にしてなかったかのように彼は振る舞い「そろそろ行こうか」と言う。
A型だな・・・。
私は、こうやって計画通りに進ませる彼を見ているのが、噴出してしまうくらい楽しい。
ワガママでも言って、邪魔したくなる、ウズウズする。


心騒ぐいたずら心を抑え、彼の後についていく。
車に乗り込むと彼は物言わずラブホテルに向かった。


同じ時間、同じラブホテル。
ドキドキする気持ちを隠す。
ここへ来るのも当たり前になってしまったのかな。
あまりにも普通な彼に対して、普通を装った。
「一緒に入ろう」と言われたが、順番にお風呂へ入り、備え付けのパジャマになった私たちは、ソファーに座ってテレビを見て寛いでいる。
あまりにも普通すぎて、異常なほど。
寛ぎすぎじゃねぇのか?


「なぁ、せのり、エッチする?」
「え?!」
「エッチしたい?」
「なんで?」
「ちょっと触ってみてみ」


彼がこれほどまでにおチャラらけて話す姿は初めてかもしれない。
笑いながら嫌がる私の手を取って、彼は私の手を自分の股間へ持っていった。
少し上下に動かしてみせる彼。
私が触っているモノは少しだけ柔らかさを残し硬かった。


「先週くらいから立たないんよな。忙しかったからかな」
彼は笑いながらそう言った。
「忙しくても、処理しなよ」
ぎこちなかったが、彼に合わせて笑ってみせた。
「知ってる?男ってずっとやってないと処理せんでもえぇようになんねん。でも、立たなくなる・・・」
「ふ~ん」
「お前と始めてん時も、久しぶりすぎてお前に見せられんくらい弱っとった」
「そうなんや」
「いきなり入れたし、痛かったやろう?半立ちでも、お前のキツかった・・・」
「ちょっと痛かった。ウチ狭いのか?」
「抱きたくてたまらんのに、立たん・・・」
「でも、イってたじゃん」
「まぁな。立たんけど気持ちよかった」
「ねぇ、思い出したけど、あなたってスキン使わないの?」
「使って欲しい?」
「私じゃなくて、どう思ってんの?」
「簡単に言ってしまえば、面倒くさい気持ちいいって男の甘さ」
「そう。でも、一番気持ちいい時に抜いてティッシュに出すほうが面倒じゃないの?」
「あはは、それも面倒。でも、中に出すわけにもいかんやろう?」
「中に出さなくったって、子供は出来るよ」
「子供出来たら困る?」
「どうだろう?嬉けどね」
「子供出来たら教えてね」
「教えないよ」
「何で?」
「女は自分で判るからってのもあるかもしれないけど、父親は誰かってちゃんと責任もってんのよ。男だって、自分の子供と相手くらい責任持ってやりなよ。私は教えてあげない。俺の子じゃないって思うのもあなたの自由よ」
「そうだな・・・」
「私、やっぱり困らない。スキンはあなたに任せる。外に出すなら、私の体汚してもいいよ」


彼は私を強く強く抱きしめた。
彼はちょっと震えてた。
彼の震えが何だか判らなかったけど、伝わってきた震えが少し私を不安にさせた。


「俺、お前としかセックスしてないから。信じて」


私を抱きしめながら彼はそう呟いた。



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