DVD映画「コーリング」を観る | 世日クラブじょーほー局

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コーリング [DVD]/ケビン・コスナー,スザンナ・トンプソン,キャシー・ベイツ

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 ER勤務の医師である主人公のジョー(ケビン・コスナー)は、クールな合理主義者。その妻エミリー(スザンナ・トンプソン)も同じ病院の小児ガン病棟に勤める医師だが、彼女は誰にでも慕われる明るく朗らかな性格。一見、好対照なこの夫婦は、お互い自分にないものを求めた故のカップルなのだろう。仲睦まじい二人はまだ新婚風情だ。エミリーは、自然の中でジョーと戯れながら、「来世では自分は“トンボ”になり、あなたは鳥なのだ」とやさしく彼に語りかける。そして「私はあなたの周りを飛び回るのだ」と。

 ある日、エミリーは、赤十字の医療ボランテイアでベネズエラに行くと言い出す。ジョーは反対する。なにせ、彼女は身重だったのだ、当然だろう。しかし彼女は、医者としての使命を果たしたいと切々と訴える。やむなくOKしたジョーだったが、あろうことか彼女は、現地で不慮の事故に逢い、この世を去ってしまう。ジョーは、行かせるべきではなかったと悔やむ思いも半分、医者の使命に殉じたことは彼女の本望だったろうかとも思う。

 しかしその後、ジョーの身辺で不可解な出来事が起きはじめる。いわゆる霊現象だが、彼はそれを受け止めきれず、取り乱すのだった。周囲は、最愛の妻を亡くして悲しみにくれるあまり、錯乱状態に陥ったとみえた。来世も天国も信じない合理主義者だったジョーを知る人間には、そういう理解は無理からぬことだった。しかし薄紙が剥がれおちるように、彼は内的に変貌をとげていき、これが亡きエミリーからのメッセージだと悟るようになる…。

 ラストシーンでジョーは、エミリーからのメッセージと自分の体験を重ね合わせ、信仰にも似た境地に達した言葉を発するに至るのだ。「信じれば思いは叶う」と…。

 さて読売新聞12月24日付特別面で、「がん医療フォーラム2012」というイベントの内容が紹介されていて、その中で9月に亡くなった爽秋会岡部医院前理事長の岡部健さんが、生前このイベントに寄せたビデオメッセージの内容が掲載されていた。“宗教性が大切”との見出しが付けられ、「現代は医療側が宗教を断ち切っていますが、壁を取り払って次の時代につなげてほしい」とあった。この映画の内容ととてもシンクロされる言葉だった。

 霊の話題ということで、もう一つ。このクソっ寒いクリスマス目前の22日に、また懲りもせずお笑いタレントが司会を務め、心霊ビデオのランク付けやお馬鹿タレントが、心霊スポットで肝だめしをやる番組をやってましたね。本ブログであれだけ警告したのに、やっぱり聞かないね。仕事が終わり、心霊スポットを去るタレント諸氏は、自らに災いがないようにとお祓いを受けている。じゃあそのスポットから離れられない「霊」はどうなのよ。成仏できるようにしてあげてくれよ。当方は見ていて、いたたまれない気持ちなる。この世に実体を持つ生ある人間が、廃墟から離れられないとすれば、慄然とするではないか。霊も同じだよ。あまりに可哀想だろう。真剣深刻なテーマだということを身に沁みて感じて欲しい。ふたたび言う。「彼ら、彼女ら」をネタにした視聴率稼ぎはやめてくれ。

(出演)
ケビン・コスナー、スザンナ・トンプソン、キャシー・ベイツ
(監督)トム・シャドヤック