私が不動産仲介の仕事の中でつくづく思うことはマイホーム探しって本当に難しいってことです。注文住宅や建売、中古住宅にマンション、マイホームを探しているお客様をサポートするのが私の主要業務になりますが、どういったサポートを行えばお客様にとって最もお役にたてるのかということが、私の中でまだ結論が出ていません。お客様の希望なり物件の供給状況次第で最善を尽くすしかないのですが、不動産という商品の特異性を理解し、価格相場からターゲットを絞り、不動産業界特有の商習慣なり営業的駆け引き等をくぐり抜け、一つの不動産を選び抜くことをお客様に強いるのは、私にとってジレンマがあります。

 今回はマイホーム購入にまつわる諸問題、障壁を考えることで、皆様のマイホーム選びの際にお役に立てればという思いでざっくばらんに記載します。

■インターネットで得られる情報は限定的

 近年ネットショッピングの利便性は飛躍的に増大しました。例えばデジタルカメラの購入を検討しているとします。Googleで「デジカメ」と検索し、価格.comをクリックするだけで、売れ筋商品や各商品のスペック比較、登録店の最安価格がわかり、さらに利用者の感想、評価すらも一目瞭然です。それでも決めかねれば家電量販店に行って実物を見たり、店員に尋ねることもできます。店員はたいてい親切で詳しく、強引にセールスしてくることはありません。

 対して不動産はどうでしょうか。不動産検索サイトで現在販売中の物件を簡単にしらべることはできます。しかし、たいてい所在地の番地までは記載されていないので、わかるのはあの辺にこんな物件があるということまでです。また、価格は記載されていますが、物件価格以外に諸経費がいくらかかるかはわかりません。そして、中古ならリフォーム工事、土地なら建物を建てるまでに水道引込といった工事の必要性の有無、その金額までは分かりません。そして、世の中に全く同一の不動産はないので当然ですが、利用者のレビューおよび店間での価格比較もありません(まったく同じ物件を違う不動産会社が掲載していることはよくありますが)。

 現状では、不動産はネットの情報だけで本格的に検討することはできません。次のステップとしてはその不動産を実際見ることですが、不動産業者に問い合わせるなり、自分でそれをつきとめて実際に目の当たりにすれば、日当りや高低差といったことがわかりますが、それでも外見だけで判断できる範囲も限定的です。見に行った土地が道路と高低差があり、宅盤まで階段を作り、駐車場を掘り込まなければならなかったり、中古戸建の屋根や外壁が色褪せていた場合にどんな工事をしていくら掛かるかわかる方はよっぽど詳しい人です。それ以上、物件を本格検討する為には不動産業者に具体的に伺いを立てないとなりません。

 不動産の場合はインターネットで得られる情報が限定的であり、実物を見ても多くのことは未判明なので、自分の素性を明かして不動産業者の営業を受けなければなりません。ネット通販に慣れてる現代人にとって、何とも不便でおっくうで覚悟のいる行為です。

(続く)