マンションの調査方法① 管理会社からの報告書etc

 下記の書類をマンションの管理会社に請求することにより取得することができます(管理業務を外部に委託していない場合は管理組合に直接請求)。

(1)重要事項調査報告書

 管理費や修繕積立金の額、マンション全体にストックされている修繕積立金の額、管理費等の滞納額、駐車場の空き状況etcが記載されています。

(2)管理規約

 いわばマンションのルールブック。ほとんどのマンションは国土交通省のマンション標準管理規約をもとに棟ごとに若干のアレンジをし作成されています。リフォームやペット飼育の制限については管理規約で確認します。

(3)総会議事録

 マンションでは最低でも年一回総会が開かれ、管理組合の運営状況の報告や、提起された議題について議事録が作成されます。決算内容から財務状況をみたり、提出された議題から、マンションのイベント、関心事項が分かったりします。

(4)新築時のパンフレット

 初期分譲当時のパンフレットには施工会社、各部屋の間取図、外部や室内の工事仕上げ表、販売価格等が記載されています。パンフレットの謳い文句からマンションの当初のコンセプト、顧客層を推測することができたりします。

(5)長期修繕計画

 将来の大規模修繕の予定時期、工事内容および修繕積立金の額のシミュレーション等が記載されています。管理会社が作成し提示しますが、築年数が経つほど修繕費は右肩上がりとなります。ただし、この計画通りに行うかはその都度、管理組合の総会で区分所有者が議決します。


 これらの書類は不動産会社でなくても誰でも請求することができます(管理会社によっては物件所有者から承諾を得ている旨の書面が必要なところもあります)が、有料です。金額は管理会社によりばらつきはありますが、フルセット請求すると5000円を超えることが多いです。また、請求から発行までの期間は一週間ほど必要です。つまり、知りたいときに気軽にすぐ見れる訳ではありません。

 この有料ということがネックとなり、不動産会社としては、マンションの売却を依頼されたからといっても必ずしも即座に取得する訳ではありません。依頼を受けたからといって、売れないかもしれませんし、違う不動産会社経由で売却になるかもしれません。

 仮に取得したとしても、不動産会社の担当者としてはよく聞かれるところを目を通しておく程度です。ほとんどのマンションは同じような内容ですし、決算内容や長期修繕計画は不動産業者といえ簿記会計や建築の知識がないと読み解くことができません。すごく思い入れのある物件やよっぽど暇な担当者なら別ですが、担当者がマンション一部屋の売買に掛ける労力はそんなもんです。
 
 ほとんどのケースではこれらの書類の説明は、購入申し込みの後、売買契約締結直前の重要事項説明時にサラッととなります。書類にボリュームがあるので詳しくは触れず、後で読んどいてくださいといった感じです。
(次回に続く)