(前回の続き)

③手続きが面倒

 独立行政法人住宅金融支援機構とは国の機関です。窓口になっているのは民間の会社で、取扱会社によっては企業努力により行き届いた対応をしてくれますが、やはり、民間金融機関に較べれば手続きは煩雑で、時間が掛かり、融通が利きにくいきらいがあります。

 そのため、不動産会社、ハウスメーカーの中にはフラット35の利用に消極的(中には取り扱いをしない)な会社もあります。また、窓口の会社の中で金利が低く設定しているところはネットバンク系が多く、対面でのサービスはなく、アナログ人間には不向きです。

 また、フラット35独自のシステムとして適合性証明がありますが、融資対象の建物について基準を設けており、それを満たしている旨の証明書の提出をしなければなりません。そもそも建物が基準を満たしているかという問題もありますが、建築士の調査や証明が必要な場合があり、手間と費用が掛かります。

④ローン手数料が掛かる

 フラット35の場合、ローン借入時に手数料が掛かります。金額は取扱会社によって異なりますが融資金額×2%程度が主流です。取扱会社によっては手数料を安くしているコースもありますが、その分、金利が上乗せされています。

 ただし、手数料を取る代わりにフラット35ではローンの保証料が掛かりませんのでそれでイーブンです。


■まとめ

 今から35年前の1978年には、住宅金融公庫(独立行政法人住宅金融支援機構の前身)の金利は5%を超えていたそうです。今後35年間で金利はどう推移するかわかりませんが、それを現在の金利で固定するのは金融機関にとって多大なるリスクです。そのリスクテイクを考えれば、変動金利のローン商品の金利よりも、フラット35のそれが上回って当然です。

 また、住宅はそもそも計画的に購入するものです。無計画に準備なく住宅を購入して、結果的にローンの支払いができず、最悪自己破産するようなことを国が推進することはあってはなりません(バブル期に住宅金融公庫で現行水準より高い金利でローンを組んだ人は結果的にそうなっている側面もありますが…)

 これまでフラット35のデメリットをつらつら書いてきましたが、私は決して否定的なのではありません。デメリットを考慮してもやはり現行の低金利で最後の一回まで支払額が確定するのは何よりも安心です。

 固定金利と変動金利のどちらがいいかは断言できません。リスクとリターンのトレードオフの関係が成立し、どちらが得かは最後まで払ってみないとわかりません。住宅ローンを検討の際は、どちらのタイプが自分にとって相応しいか個々人で違いますので、両タイプのメリット、デメリットを比較検討してご判断いただければと思います。


…ついでに

 フラット35は融資対象の人的要件について民間金融機関と異なった視点を持っています。通常、民間金融機関ではなかなか融資を受けれない派遣社員、パート、アルバイトの方や、転職してまだ数ヶ月、もしくは年齢が高め、または病気その他で団体信用生命保険に加入できない方でも融資が受けられることがあります。そんなフラット35でしかローンを組めない方の物件購入もまま見受けられます。