平成22年に政府は新成長戦略として、これまでの住宅を作っては壊す社会を見直し、よい住宅を作って、きちんと手入れして長く大切に使う、という視点に立ち、2020年までの目標として、中古住宅流通市場・リフォーム市場の倍増を掲げました。

 国策として進められている中古住宅流通市場の整備ですが、現状、日本は欧米に較べ大きく水をあけられています。

 整備が進まぬ理由として下記のような事項が挙げられています。

■中古住宅は保証がない
 中古住宅の売主は個人であることが多く、購入後の不具合の保証がない。もしものことを考えるとためらわれる。

■判断の材料が少ない
 どんな会社がどのように施工した物件で、所有者はどんな維持管理をしてきたかがわからないので不安。

■日本人の価値観は新築思考
 男たるもの所帯を持って家を建ててこそ一人前という価値観は根強いものがあります。また、家は一生の買物という意識が強く、人生のステージに合わせて住替えるという考えはまだ一般的ではありません。

■既存システムは中古住宅を低評価
 税法上の木造住宅の法定耐用年数は20~22年、税務署は木造の家は20年程度しかもたないと言っている訳ではありませんが、不動産屋が行う一般的な査定方法、金融機関の行う評価もそれに倣われています。築年数の経過した建物は例えそれがよい手入れをされていたとしても評価が伸びてきません。

 これらの問題を改善し、中古住宅流通市場を整備していくのは時間は掛かりますが、決してできないことではないでしょう。すでに不動産会社、建物検査・リフォーム会社、金融業者等で改善に向け様々な企画がされています。

 ただ、私としては上記以外にも中古住宅の流通が増えない理由があると思います。それは中古住宅流通を担う不動産業界特有の事情です。若干、業界批判的なものになるかもしれませんが、私見として綴ってみたいと思います。(次回に続く)