2012年現在、日本の全国平均の地価は下落幅は縮小傾向ながら依然下がり続けています。しかし、私の肌感覚として不動産へ投資しようとする方々の意欲は非常に強いものがあります。プロの投資家(不動産業者、デベロッパー、ファンド等)もさることながら、いわゆる「サラリーマン大家」といった一般の方の参入も盛んです。書店に並んでいる不動産投資のついての一部の本では、働き続けなければならない人生から脱却する手段=不動産投資、的な紹介をしているので、そこに希望の光を見出すのも無理のないことかもしれません。そして、それは決して誤ってはいません。

 ただし、私が申し上げるのは大変恐縮ですが、基本が間違っている人が多いのも実状です汗基本的なこと、今一度確認してみましょう。

 不動産投資は当たり前ですが収益目的で不動産を購入することです。収益には買った価格より高く売って差益を得るキャピタルゲインと、人に貸して賃料を得るインカムゲインがあります。地価が下がり続けている現在、キャピタルゲインのみを目的とするのは現実的ではありません。よっぽどの掘り出し物でなければ差益は出ません。そして、その掘り出し物を狙っているプロが星の数ほどいます。現実的な不動産投資のスタンスとしては、インカムゲインを主目的とし、将来的に購入価格より低い値段で売却するシミュレーションをし、適正なリターンを得られる不動産を購入することです。

 不動産投資に似たものとして、他に遊休地の活用、相続税等の節税目的での不動産購入があります。前者はもともと所有していて活用されていない不動産を売る、貸す、建てる等をして現状よりも良くすることが目的であり、節税対策は対策をしない場合より税金を減らすことが目的なので、厳密な意味での不動産投資とは異なります。効果がそれほどでもなくても、現状より良くなれば肯定されます。

 ただし、不動産投資は利殖を目的にリスクをとり、手間を掛けて運用する以上、国債並のリターンでは意味がなく、積極的に稼がなければなりません。

 といっても短期で2倍になる、なんて目標を掲げてはいけません。現代的な不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンです。物件の種類によって様々異なりますが、最終的な収益を年利にすると5%~10%くらいが一般的です。
(次回へ続く)