今年の都大路(全国高校駅伝)の男子は山梨学院大附属高校が制しました。
この山梨学院大附属のコーチは、85・86・87回大会で学連選抜メンバー入りした東京大学大学院出身の依田コーチが務めています。
依田コーチの他にも学連選抜出身の指導者はいます。
立教大の中村コーチ(84・85回大会学連選抜)や、東大の松本コーチ(82回大会学連選抜)などの大学指導者だけでなく、市民ランナーのクラブチームの指導者になって駒沢公園などで教えている元学連選抜メンバーもいます。
学連選抜出身者は実業団に進んだ選手が多いですが、市民ランナーや指導者になった選手もいます。
色々な角度、立場から、学連選抜での経験を胸に日本の長距離界に様々な刺激を与えてきたといえます。
来年の箱根路には「シンプルイズベスト」などを理由に掲げた関東学連上層部の思惑通り、学連選抜は編成されません。
「シンプルイズベスト」は、ある意味わかりやすいフレーズかもしれません。
しかし、裏を返せば「シンプルイズベスト」とは「多様性や個性は認めないよ」と言っているに等しいフレーズです。
人間には個性があるので強くなるためのプロセスは人によって違うと思います。
そうした個性や多様性を無視して、「シンプルイズベスト」という画一的な枠をあてはめてきたことで、枠に合わなかった多くの選手の可能性を潰してきた、ということは忘れてはならないでしょう。
「強豪高→強豪大→実業団」というシンプルなルートだけでなく、「強豪高→弱小大→実業団」や「強豪高→強豪大→市民ランナー」、「弱小高→強豪大→プロ」といった様々なルートがあった方が良いと私は考えます。
選手各自がそうした選択肢の中から、もっと自由に進路を選択できるようになれば、きっと日本の長距離界も選手本位なシステムに変わっていくのではないか、と思います。