ティモシー・ブルック(著)・本野英一(訳)『フェルメールの帽子 作品から読み解くグローバル化の夜明け』岩波書店,2014年5月,978-4-00-024696-5


"永遠の瞬間"を描き留め、いずれの作品も珠玉の絵画と賞されるオランダの画家、ヨハネス・フェルメール。しかし、画家のマジックに閉じ込められたのは"美"だけではない。ヨーロッパの小氷河期、アジア航路探索、米大陸での銀採掘、チャイナ・ブーム―。17世紀の壮大な東西交流の世界へ、いま扉が開かれる! あなたがまだ見たことのない、フェルメールの新世界。




標題タイトルだけではいったい何の本なのか良くわからないが、実はカナダ人の中国史研究者が著した17世紀東西交渉史の本。本日の日経書評における川北稔氏の的確な書評がなければこの本の存在を知り得なかったし、また何をテーマとしているかもわからないままだっただろう。私としては全くノーマークだったのだが、何せタイトルが中途半端で、それを本来補うべき内容紹介文も中途半端なのだからやむを得ない。それが証拠に、今回の書評を掲載した日経ですら5月末刊行の本書を9月下旬に至ってようやく取り上げたという「時期遅れ」となったし、当地の市立や府立の図書館では一冊も所蔵していないのである。そもそも版元にある本書の「立ち読みページ」など、機械的に最初の部分だけ選択するのではなく、もっと肝の部分をピックアップすべきだろう。というわけで、この本の販促担当者は銃殺ものである。