(経済気象台)影から光へ 高校生と共に 2014年7月29日朝日新聞掲載


この7月、東京・丸の内のオフィス街に、さまざまな制服を着た高校生の姿があった。「ジョブシャドウ」と呼ばれる高校生たちだ。


生徒たちは一日、会社で働く従業員のひとりに『影』のように密着し、会議や商談、ランチなどに同席する。インターシップは職業体験が目的なのに対し、ジョブシャドウは、仕事をする大人を観察するのが目的だ。


生徒は担当の社員が行くところ、どこでも付いていく。「OLのお姉さんは良い匂いがした」「食堂で外国人社員に話しかけられてびっくりした、もっと英語を勉強しようと思った」「バイトだと休めるけど、会社には一人ひとり役割があり、休んだらいろんな人に迷惑をかけると思った」。生徒の気付きはそれぞれだ。


一方で、生徒に自分の仕事を説明する過程で会社への愛着を再認識した社員もいるし、「オフィスは職員室より緊張感があり、責任感を持って仕事をしている」という感想文を読んで反省した先生もいる。普段は接点がない生徒と社員の交流は、関係するオトナたちにも変化をもたらしている。


今、「保守的で無気力な若者」が問題となっている。地方では、学力があっても東京の大学を受験する生徒が減っているという。こうした生徒に刺激を与えようと、OBの会社や役所を訪問する2泊3日の東京研修旅行を始めた県立高校もある。


一人ひとりが自己実現を目指し主体的に働くことが、社会の安定や経済の発展の基礎になり、光り輝く未来を築くことにつながっていく―。今こそ、我々大人がそうした社会の仕組みを、自信を持って若い世代に伝えたいと思う。(慶)



↑は、「第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆による」、朝日新聞朝刊連載のコラム「経済気象台」に昨日掲載された一文で、一読したところ、何とまぁ牧歌的な内容ですなぁ、と思ったりしたのだが、いくつか見過ごし難いところがある。


「(会社を)休んだらいろんな人に迷惑をかける」「オフィスは職員室より緊張感があり、責任感を持って仕事をしている」という生徒の引用は、おそらくは企業経営者であろうこの日のコラム執筆者が、「何があっても休むな」「教員は遊んでいる」とおっしゃりたいのだと理解しますが、それでよろしいですよね。


あと、東京の大学を受験する生徒が減少しているのは彼らが保守的で無気力だからだ、という筋立てが見られるが、学費もさることながら、東京での生活費や下宿代が相当なものであるということに考えが及ばないのだろうか。


棍棒とカネを持っている企業経営者というのは、さすがに一味も二味も違うようだ。