マレーシア訪問記①「パキモン」


SELF‐NEO



「アンクル・コジマは日本人なのに、そんなことも知らないの?」
…12歳の子供にそう言われて、返す言葉がなかった。

「そんなこと」とはポケモンに登場するモンスターの数のことである。もっとも、現地では「パキモン」と発音するのだが…。

一緒に事業をやっていく友人ジュヴァドさん(私のFBのプロフィール写真で左側に立っている身長2メートルくらいのセルビアの友人)はイスラム教徒であるため、子供に見せるアニメがイスラムの教えに抵触しないかどうかを、さりげなくチェックしてきたという。そして、あることを感じたという。

「オレの子供の頃もトムとジェリーは放送されていた。あの頃はそれでも楽しかった。ところが日本のカートゥーンはどうだ?パキモンが400匹、500匹も登場するじゃないか!トムとジェリーは毎日猫とネズミが登場するだけなのに!一体、日本のカートゥーンはどうなってやがるんだ!」

言われてみればそうである。

もっとも私はパキモンと言えばピカチュウくらいしか知らず、ピカチュウが何者なのかも知らないのであるが、ジュヴァドさんが私のために開けてくれた部屋は枕、タオルも全てパキモンの絵が描かれ、子供がどれだけパキモンが好きかをまざまざと思い知らされたのであった。

「パキモンには何百種類ものモンスターがいて、しかも全部特徴や性格が違う。息子エミールは今塾に行ってるけど、車で友達を送迎する時、子供たちの話題はいつもパキモンだ」。

「エミールは白人とマレー人のハーフで肌が白く、ちょっと人見知りで、オレは正直、息子が学校でいじめられないかと不安だった。ところが引っ込み思案で勉強大好きの息子も、パキモンのおかげでマレー人、中国人、インド人の子供たちといつも笑顔で語り合える」

「日本のカートゥーンには、世界中の子供たちを友達にする不思議な力があるようだ。子供たちはいつも自分のお気に入りのキャラクターが誰か、どこがどう好きなのか、どっちがどう強いのか、どのキャラクターがどうなったのかを時間を忘れて話し合っている」

「アメリカの映画やアニメにそれができるか?できない!日本にしかできない。オレは本当に日本のカートゥーンに感謝している。息子は生まれた時からウルトラマンが好きだった。娘はナルトが大好きだ。家に帰ったらいつも話題はそればかり。日本なしにオレの家族の幸せは考えられない

恐るべし、ジャパニーズ・カートゥーン。ピカチュウは現・民○党政権よりもよっぽどアジアの平和と安定に貢献しているという事実をまざまざと見せつけられ、これはパキモンを勉強をしなければいけないと考えたのであった。

「昔はドゥライモン(ドラえもん)がアジアを席巻し、今はパキモンとディジモン(デジモン)がマレーシア中の子供たちを虜にしている。次は何モンが来るんだ?日本の最新のモンスター情勢はどうなっているんだ?」

…全ては「モン」として一くくりにされていたのであった。

「でも、やっぱりアメリカ人は賢い。やつらはディズニーのアニメを作れば、映画やキャラクターグッズを作り、世界中にディズニーランドを作って国家戦略に役立てている。子供がマクドナルドやコカコーラ、ディズニーを好きになれば、これほど強い外交的浸透作戦が他にあるか」

「日本はどうしてパキモンランドを作らないんだ?もしパキモンランドをマレーシアに作れば、マレーシア中の子供たちは熱狂して遊びに来るぞ。それに、マレーシアではブミプトラ政策が制度疲労を見せていて、マレー系、中国系、インド系の家庭に不公平感が広がっている。それは特に教育に表れていて、大学は優先的にマレー人に門戸を広げ、他の民族はアメリカやイギリスに留学するしかないという状態になっている」

こうした不公平感を取り除くには、子供たちの笑顔しかないとオレは思う。もし、パキモンランドができて全民族の子供たちが仲良く遊び、子供たちを連れてきた親たちがその姿を見れば、マレーシアの調和にどれだけ貢献するか。オレは時々思うんだ。セルビア人、クロアチア人、ボシュニャク人が殺し合ったあのボスニア紛争の前に、もしバルカン半島の子供たちがパキモンを通じて遊ぶことができていれば、あんな殺し合いはしなくてよかったかもしれない、って」

「アメリカのアニメや映画は思想が浅い。単純な勧善懲悪の物語に強すぎるヒーローが出てきて、いつも同じパターンだ。結局は真珠湾攻撃、ボスニア紛争、イラク戦争、アフガン戦争をアニメや映画にしただけで、ブッシュ政権並みの単調さだ

「ところがパキモンはどうだ。強いモンスターも負けることがある。敵が味方になることもあれば、主人公が絶体絶命に陥って反省したり、学んだりする。登場するモンスターはみんな愛情を持ってそれぞれの個性を発揮し、複雑な展開の中で子供たちを虜にする展開を見せる。オレは子供たちからパキモンの話を聞くたびに、一体日本人ってやつらは、どこまで深い思想を持ってるのかと驚くんだ」

「パキモンランドを作るなら、オレは不動産業と建設業もやってるから、用地を取得して各分野の専門家に話を付けることもできる。ビジネスのための世界最先端の街を作るのも大切な仕事だけど、いつまでも変わらず心の故郷になるような場所を作るのも、経済発展や産業振興に勝るとも劣らない大事業だと思うよ。ま、一つのアイデアに過ぎないんだけどね」

「日本人はもっと誇りを持って、パキモンやナルトが日本独特の思想から生まれたことをもっとアピールしてもいい。中国人はどうだ?やつらは何も作れないのに、他の国が作ったものまで違法にコピーして、自分たちが作ったように装ってる。なのに日本人は、自分たちが作ったカメラや車、アニメに世界の誰も真似できない独創性と思想が込められているのに、全然自己主張しない。日本ほど世界を幸せにしている国はないとオレは断言する。オレは今でも日本がアジアのリーダーであるべきだと思ってるよ」

「でも最近の日本の若者はどうだ。特に女性はどうだ。やつらは髪を染め、不似合いな西洋のファッションを買いまくり、白人に憧れて白人男性と結婚したがる。もし家庭で母親が自分の容姿に劣等感を抱き、いつもいつも体重や容姿のことばかり気にしていたら、それこそ家族は崩壊するぞ

「韓国女性は60%以上が整形手術をするそうだな。つまり、親に与えられた自分の顔を否定することで、両親を侮辱しているんだ。イスラムでは不釣り合いな顔に生まれようが、障害を持って生まれようが、それこそ神様がくださった宝物だと考えて生きる。整形は、火傷や病気で社会生活が堪え難くなった時にだけなされるもので、自分で自分の肉体に手を加えることは許されていない。なぜなら、自分の肉体は自分だけのものじゃないからだ。祖先と両親、そして何よりも神に授かったものだからだ

「だからオレは髪を染めた日本女性、顔を整形する韓国女性を心から軽蔑する。やつらは日本だけじゃなくアジアの恥だ。日本と韓国はアジアの希望なのに、その国を支える女性たちが進んで誇りと伝統を捨てて欧米に媚びている。もちろんおれたち白人も、そんなアジア女性はモンキーとしか思ってないけどな。こんなやつらは外国に出てほしくない。パキモンだけ来れば十分だ。日本女性の観光客はアジアの子供たちの失笑と疑問を買っていると知ってくれ」

「オレたちは純粋に日本的なるものを尊敬しているんだ。日本はアメリカに敗れた国じゃない。敗れて立ち直った国だ。世界はそこを尊敬しているんだ。なのに日本人はどうだ。自国の歴史に全く誇りを持っていない!歴史を知らない!宗教を持たない!目に見えないものを見ない!

「君こそリアル・ジャパニーズだ。オレは昔からサムライと仕事がしたかった。オレは本物の日本人と仕事がしたい。ネットのイージービジネスなんてクソ食らえだ。失敗してもいい。倒産してもいい。途中で死んでもいい。ただ、神のお導きに従って、尊敬する国の日本人と仕事をしたいんだ。そして、パキモンのように世界平和と子供たちの幸せに貢献する事業をやりたいんだ」

~続く~