S-208 アルカイックスマイル首像 | きょうの石膏像 

S-208 アルカイックスマイル首像


きょうの石膏像     by Gee

S-208 アルカイックスマイル首像        H.42×W.19×D.20cm





久々です。


ゴールデンウィークの最後の日曜日だけゴールデンにお休みした後は、ずっと連続してお仕事・・・ということで、やっと日曜日をゲットして、きょうは久しぶりにのんびりお休みでした。一息



さて、石膏像ということでは、キュクラデス文明のその後ということになります。


年代的にはオーバーラップしつつ存在していたミノス文明や、その後のB.C.16世紀前後からのミュケナイ文明を経て(この時代に該当するような石膏像っていうのは、とりあえず私の工房にはありません・・・)・・・


この後、紀元前1200年頃にドリス人の侵入があったり、トロイア戦争が起こったり・・・と、あれこれあって(おおざっぱですみません・・・)、だいたい紀元前800年頃には、パルテノン神殿に代表されるようないわゆる”ギリシャ文明”の流れへとつながるポリス群が成立してきます。



そして、この紀元前800年頃~480年頃(パルテノン神殿出現前夜)は”アルカイック時代”と呼ばれ、この時期に作られた彫刻群は、”アルカイック・スマイル”と称される独特の微笑みをもっているのが特徴です。



きょう紹介している、”アルカイック・スマイル首像”という石膏像は、このアルカイック期の作品です。うっすらと浮かんだ微笑み、”おさげ”のように何本かに結んで垂れ下がってゆく髪のスタイルなどは、この時代のコレー(少女)像の特徴です。


但し、この石膏像のオリジナル彫刻の姿や、収蔵美術館に関しては、まだよく分っていません。。。



アルカイック期に製作された彫刻は、おおまかには男性像は”クーロス”、女性像は”コレー”と呼ばれます(それに発掘地の名称とか、収蔵美術館の名前が付加されて分類されることが多いです)。



File:07Kouros02.jpg

アテネ考古博物館のクーロス像 紀元前540年頃


この辺が、典型的なスタイルです。体全体としては”ひねり”というものはまったく無く、直立。ただし、片足を一歩前に踏み出しています。


毎日のように、石膏像を作っている身からすると、このか細い足首2本だけで身体を支えているというのは本当にすごいです!思わず、そばに切り株とか、岩とか付け加えて、支えてあげたくなります。



パルテノン神殿の破風彫刻のような表情豊かな身体の”動き”は、まだこの時代には見られません。年代としてはほぼ100年以内くらいの違いですので、ここからの僅かの期間にいかに大きな進化が起こったかがよく分ります。


一説によると、こういった直立して動きの少ない彫刻スタイルの中で、人間的な”動き”をなんとか表現しようとしたのが、このアルカイック期の特徴である”微笑み”だったのではないかということです。



「動きを表現したいんなら、体をねじらせたり、手をあげたりすればいいじゃない?」と思っちゃいますけど、最初の一歩というのは何事も大変な壁なんですよね~。


こういったアルカイック期の直立スタイルから脱却するために、やがてポリュクレイトスという彫刻家が”コントラポスト”という重心移動の発想を生み出し、そこからギリシャ彫刻の爆発的な発展がスタートしました。



File:010MA Kore.jpg

アクロポリス美術館のコレー像




File:ACMA 684 Kore 1.JPG

これもアクロポリス美術館 紀元前500年頃


美しいですね~~~。


ギリシャ彫刻は、コントラポストを手に入れて、どんどん複雑でアクロバチックな彫刻へと進化していったわけですけど、たくさんの古代彫刻をみるにつけ、こういったアルカイック彫刻の持っているある種の”素朴さ”というものはとても魅力的に感じます。


顔の表情にしても、身体のラインにしても、リアルではないのだけれど、そのぶん抽象化されていて、ちょっとスピリチュアルな印象を受けます。こういった彫像を作った時代の人々は、どんな気持ちだったんでしょうね~。





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