K-101 セント・ジョセフ胸像 | きょうの石膏像 

K-101 セント・ジョセフ胸像




きょうの石膏像     by Gee-K-101

K-101 セント・ジョセフ胸像     H.90×W.67×D.43cm (フランス ランス大聖堂外壁)



えっと~・・。いちおう石膏ブログなんで、石膏像のことを書くべきなんですが・・、前回のまともな石膏像記事からはすでに20日以上経過してしまいました・・。


気を取り直して。。中世に関連した石膏像をたどっている途中でした。



本日の石膏像は、美大受験生。。特に1980年代に東京芸大を狙っていたみなさんにとっては、なんとも複雑な思いが蘇ってくる”顔”なのではないでしょうか。


80年代~90年代は、本当にたくさんの学科で繰り返し出題されたようです(詳しいデータでは調べられていないんですけど・・)。当時は、どこの美術予備校にもこのセント・ジョセフの石膏像が存在せず、受験対策として練習することができないまま本番に臨み・・・「先生~~!変なニヤケた野郎が出てきて、全然ダメだった~~」「やっぱり出たか!!」みたいなことが繰り返されていました。


現在のように情報っていうものがリッチな時代ではないので、どんな石膏像なのか?、そのニヤケた顔の彫像はどういう由来の彫刻なのか?スケッチや写真はなんとか手に入れたけど・・なにこれ?といった感じで、受験関係者はみんな???の状態だったのです。



もちろん、オリジナル彫刻がフランスの中世彫刻であることをご存じの先生方もいらしたのですが、じゃあどうやって石膏像を手に入れたらいいのか?ということでは、みんな手詰まりの状態でした。


これは出題者である美大側から見れば、ある意味理想的な状態でした。一度も観たこと、練習したことのない石膏像を、本番で描くということになると、結果には大きな幅が生まれます。


当時の美術予備校では、受験対策としての石膏デッサンが様式化されてしまうほどに過熱しており、”とにかく合格するための描き方”を生徒に推奨しているような部分がありました。国内で市販されていない石膏像を積極的に出題するというのは、そういった風潮に対する大学側からの意思表示だったのかもしれません。



そんな状況だった1980年代半ばに、ついに市場にこのセント・ジョセフの石膏像が登場してきます。みんな考えることは同じだったようで、時を同じくしてフランス経由で二種類の原形が輸入され(高さが若干異なる2タイプの原形が存在したようです。顔の造作や布ひだの流れは全く同じなのですが、全体の高さが違っていました)、またたく間に美大受験の業界に広まってゆきました。



私の工房でも当然販売を開始したわけですが、これは反響が大きかったです(当時私は高校生でしたけど・・)。ありとあらゆる方面から注文が殺到し、大手の美術予備校様などでは5体、10体という単位で大量に採用されていきました。時はまさに”バブル前夜”ということもあり、予備校も学校も設備の充実に積極的な時代でした。。。


90年代にはいると、大学側もそういった事情に徐々に気づいたのか、セント・ジョセフの出題される比率は徐々に下がってゆきました。近年ではセント・ジョセフは特別なものではなくなり、一般的な石膏像と同じような扱いで美大受験の試験問題に時たま登場しています。ここ4~5年は比較的登場する回数が多いような印象があります。





きょうの石膏像     by Gee-FR079

前回の”微笑みの天使”の時にも紹介した、フランス文化財博物館に展示されているセント・ジョセフの石膏像。聖堂壁面に設置されているオリジナル彫像は、もちろん全身像。胸の所に神殿奉献のための鳩を抱えています。


Wikiの中をずいぶんあさったんだけど、どうしてもオリジナルの映像が見つけられず・・。マリア様とか天使の部分の写真はいっぱいあるのにね。。



次回は同じセント・ジョセフの首像を取り上げて、”セント・ジョセフ”なる人物について書いてみます。

マリア様の夫にあたる方なんですよね。。





今回取り上げた、K-101 セント・ジョセフ胸像 は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com