S-211 聖ジョルジョ首像 | きょうの石膏像 

S-211 聖ジョルジョ首像


きょうの石膏像     by Gee-S-211
S-211 聖ジョルジョ首像     H.53×W.23×D.30cm (ドナテルロ作 フィレンツェ・バルッジェロ美術館収蔵の部分)





前回ご紹介した聖ジョルジョ胸像の首だけの製品です。



作者のドナテルロと、聖ジョルジョという作品については前回書いてしまいましたので、今回は聖ジョルジョという人物について・・・



聖ジョルジョ(ゲオルギウス)は、カッパドキア出身の実在のローマの軍人だったようです。


ローマでまだキリスト教が異端の時代に、キリスト教を崇拝した罪で処刑され、殉教者となりました(303年頃)。



当初は単なる殉教者ゆえの聖人として讃えられていたのですが、時代が経つにつれてさまざまな伝説が付け加えられてゆきました。




最も有名なエピソードは竜退治の伝説で、それはこんなお話です。。。



カッパドキア(現在のトルコ)のルシアという町に、悪い竜が出没しつぎつぎと生け贄を要求して人々は困り果てていました。


そこへフラ~ッと通りかかったのがジョルジョさん。。。

あっという間に竜と対峙して、生け捕りに成功。。。

File:Vittore Carpaccio 010.jpg


そいつを町まで引っ張ってきて言いました。。。

「キリスト教徒になりなさい。。そうすれば、この竜を殺してあげましょう!」


File:Vittore Carpaccio 023.jpg

この二枚の絵は、ヴェネツィア・ルネッサンスの画家、ヴィットーレ・カルパッチョの作品



そして、町の人々は、さっくりとキリスト教を受け入れました。。。



ちょ~~っとストレートすぎないか??もうちょっとひねりがあってもよさそうなお話ですな~。

それ以前に、”竜”があまりにも手頃なサイズすぎて笑える。。。



ドナテルロ作の石膏像のジョルジョ像は、この竜と対峙した瞬間を描いていると言われています。


完全武装で、性悪の竜をグッとにらみつけ、いままさに攻撃をしかけようとした瞬間なんでしょうね~。

それであんなに難しい表情なんですね。。。




また、ジョルジョが殉教した経緯についてもエピソードがあって・・・



異教の王にとらわれたジョルジョは、改宗を迫られるものの、これを拒否!・・・


例によって、各種拷問の雨あられ・・・


①全身を釘で引き裂かれ、塩をぬりこまれる・・・

②毒を入れたぶどう酒を飲まされる・・・

③剣のついた車輪にしばりつけられてゴロゴロと・・・

④煮えたぎる鉛の風呂に入浴・・・


File:Limpach St Georg Chorgestühl Georgslegende Martyrium.jpg



それでもへっちゃらなジョルジョ(神の加護の力によって、超頑強な体になってます・・・)。。


あまりのことに恐れをなした王が、ローマの神々を崇拝し、キリスト教を捨てれば許すと譲歩したのですが、ジョルジョは改宗をこばみ、斬首されてしまいます。


その後、ジョルジョをいじめた人々は、神の怒りに触れて全滅。。。


File:Martorell-Jordi-dec.jpg

おっかないんで、絵画は小さめにしときました。。興味のある方だけ拡大してください。。。




こういった聖ジョルジョに関する伝説は、11~12世紀ころに生まれたようです。


ルネッサンス期の芸術家にとって、このような聖人伝説はとても重要な創作のテーマでした。




西洋の人々にとっては、ジョルジョさんはとってもポピュラーで、


例えば、

イングランドの国旗

イングランドの国旗は、”セント・ジョージクロス(ジョージ=ジョルジョ)”と呼ばれる白地に赤十字。



ファイル:Coat of Arms of Moscow.svg

モスクワ市の市章は、聖ジョルジョ+退治される竜。




キリスト教になじみがないとあんまりピンこないんですけど、西洋の人々にとってはこの”聖人”というのはとっても大切なんですね。。お誕生日によって守護聖人がそれぞれあったり・・・





次回は、もう一回ジョルジョです。まだ半面があります。





今回取り上げた、S-211 聖ジョルジョ首像 は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com