K-108 ブルータス胸像 | きょうの石膏像 

K-108 ブルータス胸像


きょうの石膏像     by Gee-K-108
K-108 ブルータス胸像     H.83×W.71×D.33cm (フィレンツェ・バルッジェロ美術館収蔵)



キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!ART


石膏デッサンといえば!ブルータス!


みんな知ってるブルータス!


美大受験経験者のみなさ~ん! ”もう二度と見たくない!”なんて言わないでね~~~別れ


ということでミケランジェロ作の本物の映像はこちら


さすがにいい色になってますねぇ~。本物は何回か日本にも来ていて、10年くらい前にも上野の西洋美術館に来日していました。


ミケランジェロがこのブルータス像を作ったのは1539年頃。60歳の頃の作品とされています。

紀元前44年三月に起きた、カエサル暗殺事件の首謀者の一人である”マルクス・ユニウス・ブルータス”の肖像です。「ブルータス、お前もか」のブルータスは、K-165 青年ブルータス の方で、違う人物です(諸説あるようですが・・・・・二人とも暗殺グループの一員なんでどっちでも似たようなもんですが、一応・・・・)。複雑



実際にミケランジェロが作ったのは頭部のみで、衣服のほとんどは弟子のカルカーニという人物がつくりました。

きっちりとローマ風に作りこまれた衣服の部分とは対照的に、頭部の髪は未完成のまま。あまりに多忙だったミケランジェロは途中で投げ出してしまったようです。カルカーニが師匠の作った頭部に手を加えなかったのは非常に賢明な行動でした。おかげでミケランジェロのタッチがそのまま残されました。



当時のフィレンツェは、メディチ家が実権を握り王様のような権力をもっていました。特に石膏像にもなっているジュリアーノ・メディチの次の世代にあたるアレッサンドロ・デ・メディチは放蕩な君主で、ついには暗殺されてしまいます。


この暗殺事件をきっかけに反メディチ派の人々からミケランジェロに、同じように古代ローマで圧制者(シーザー)暗殺を成し遂げたブルータスの彫刻を製作するよう依頼がありました。ミケランジェロ自身も、メディチ家霊廟などを製作したにもかかわらず、メディチ家に反感を持っていたため製作にとりかかりました。



史実によれば、カエサル暗殺に加わったブルータスは”力強い男”というよりは、家柄の良い有能な政治家といったイメージなのですが、ミケランジェロの彫刻では圧政に立ち向かう”強固な意志を持つ強い男”として表現されています。ですから、この石膏像はローマ時代のブルータス本人の顔とはあまり共通点はありません。あくまでイメージ優先。


ちなみにローマのカピトリーノ美術館にある、ローマ時代のブルータス像(B.C.3世紀頃)はこんな感じ。

File:Capitoline Brutus Musei Capitolini MC1183.jpg

どっちかっていうと、老練な政治家って感じですね。


ダビデにしてもそうですが、ミケランジェロが素晴らしいのはその彫刻の腕前だけではなく、対象物を自身の中で再構成して既成概念にとらわれずに表現できていることですね。現代では当たり前の”芸術的”行為でも、この当時の社会でそれを実行するのは大変な勇気を必要としたと思います。



石膏屋としては、ブルータスと言えば”重~~い”存在。同じようなサイズの製品はたくさんあるのですが、ブルータスの場合は背中側が全部壁のようにふさがれているため、どうしても重くなってしまうのです。ずっしり↓


モリエールとか、パジャント、アポロ、といった大胸像はみな背中側が開いているのでずっと軽く作れます。上の本物のブルータスの写真からも分かるとおり、オリジナルの彫刻ではブルータスも裏側はふさがれておらず、モリエールなんかとよく似た体裁です。石膏像を作るときに誰かが裏側を勝手に作ってしまったんでしょうね。おかげで、パジャントなどと比べるとスタッフを張るときに使う石膏の量がだいたい二倍かかります。。。



明日は同じブルータスの首像を。




今回取り上げた、K-108 ブルータス胸像は、私共の運営するオンラインショップ「石膏像ドットコム」で実際に購入していただくことが出来ます。以下のバナーをクリックすると、ショップに入れます。よかったら覗いてみてください。


きょうの石膏像     by Gee-sekkouzou.com






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