石膏像の歴史ー005 | きょうの石膏像 

石膏像の歴史ー005


きょうの石膏像-ギリシャ007
ギリシャ・デルフィ近郊の山・・・・随分はげ山ですね。


なんかどこまで書いたっけというかんじなんですが。


とにかく、ヨーロッパ諸国は1850年から1870年に石膏像に対する熱狂のピークをむかえます。いろいろな形で現在にも継承されているコレクションの大半がこの時期に形成されました。


イギリスでは、ヴィクトリア・アルバートミュージアムのキャストコートの一連のコレクション。


フランスでは、エッフェル塔の向かいにあるシャイヨ宮の中にフランス国内の歴史的建造物の石膏複製を展示した巨大な美術館。それから、フランスの芸大といえるボザールの中の石膏製古代彫刻コレクション。


どれも日本で”石膏像”と言ったときのイメージからは想像もできないようなスケールで、当時の人々がどれぐらいのエネルギーを注ぎ込んで作り上げていったのかを考えると気が遠くなります。


ただ、この19世紀末を過ぎると石膏像に対する情熱は急速にさめてゆきました。理由は色々考えられますが、やはり”本物”志向ということに尽きるのでしょう。国家の威信をかけた大きな美術館に展示するのには、やはり本物が求められたのです。


その後の石膏像は、教育の分野で生き延びて今日に至っています。特に日本では、石膏像=美術教育(特に受験)という図式が早くから出来上がってしまいました。


次回は、その日本に於ける石膏像の歴史を・・・