お姉さま、……料理ができる男性って素敵ですよね?
いや、男とか女とか関係なく、生きるために必要な能力だと思うのですよ。料理って……。
(前回までのあらすじ)
kaikoの上司K様は減りつつある貯金と己のエンゲル係数の高さに危機感を覚え、自炊能力を身につけようと春から料理教室に通うことを決意。早速ネットで男の自炊教室を探し始めたのだが……。
K様、「米の炊き方から教えてくれる料理教室ってないかな……」
わたくし、「おにぎりと味噌汁を作るとか、そういうのってあるんじゃないですかね」
K様、「なんで家でおにぎり食べなくちゃいけないの?」
わたくし、「美味しいじゃないですか。……じゃあ、何を作りたいんですか?何なら家で食べたいんですか?」
K様、「唐揚げ、とんかつ、あとうなぎ」
……どれも一人暮らしの自炊ではまず出てこない献立ですね……。
一人暮らしで揚げ物っていかに効率が悪いかと熱を込めて説明するわたくし、そして、鰻などさばく一般人はまずいないと。……といいますか、あなごならいざしらず、鰻って一尾で売ってませんから。。。
カレーとかにしましょうよ、とわたくしが提案しますと、家に帰ってカレーを食べたいと思えないと応えるK様。わざわざ作ってまで食べたいものがないとおっしゃり、米さへ炊ければいいとさえ……。
「よく考えたら、米があればあとおかづを買ってくればいいだけで。……缶詰って安いよね?あれを買って米だけ食べていれば、すごい節約になるんじゃない?」
……いやいや、K様……たしかに節約になるかと思いますが。。。たぶん、いろんな意味で後々高くつきますよ。
米2キロで1,000円だとしても、缶詰1個100円だったら、一か月の夕食代はものすごい安くなると計算するK様に、「K様にそんなせこい生き方してほしくありません。K様はもっと優雅に暮らしてください」と叫ぶK女史。
……たしかに、われらがK様には優雅な独身貴族を貫いていただきたく。毎晩秋刀魚の蒲焼缶詰の夕餉とか……勘弁していただきたく……。
実に簡単にできるわりに、とても美味しい煮込み饂飩。
これならK様でも作れるようになると思うのですがね……。
<材料 一人分>
絹ごし豆腐 1/3丁、水 1.5カップ、醤油 大匙2杯、味噌 大匙1杯、味醂 大匙2杯、酒 大匙2杯、豆板醤 小匙1杯、てんさい糖 大匙1杯、しめじ 1/2株、胡桃 2粒、葱 大匙1杯、ごま油 大匙1杯、片栗粉 小匙2杯
<作り方>
・ フライパンを熱し、ごま油を加え、みじん切りにした葱を加えます。軽く炒めたら、みじん切りにしたシメジ、胡桃を加え、しめじの水気がなくなるまで良く炒めます。
・ 片栗粉以外のすべての材料を入れ、良く溶かし、ひと煮立ちさせたら火を弱め、賽の目切りにした豆腐を加えます。別途うどんを茹でておきます。
・ 一度火を止め、フライパンに水溶き片栗粉を加え、再び火をつけとろみをつけていきます。土鍋に饂飩を入れ、麻婆豆腐をかけ、弱火で温めればできあがり。
身体が心から温まる優しい味。
……これをおかずに米が食べられそうな危険な一品。。。炭水化物と炭水化物のコラボレーションにならないよう自制心が必要です。