『ソ連の飴紙展 vol.3』(Mitteさんに2回目の訪問)
という3月26日の記事でご紹介した『ソ連の飴紙展 vol.3』の最終日に、
また行ってまいりました。
内容が大分充実、且つ変更されていると思ったからです。
最終日というだけあって、お客さんが結構来ていましたが、
たまたまソ連時代のロシアをご存知という方が
ビルの入口に貼ってある告知を見て入ってきたりも・・・。
そんなわけで、またレポートと行きます!!
モッセルプロム(Моссельпром)とは・・・
1920年代、ネップ期に、農産物共同管理団体の本部が置かれ、
コーヒー、チョコレート、タバコ、ビールなどの嗜好品を一手に製造。
時の詩人、マヤコフスキー(Владимир Владимирович Маяковский)
が「モッセルプロム以外にない!」という扇動的なキャッチコピーを制作。
そのコンセプトをクールなデザインで体現したのが、
ロシアンアヴァンギャルドの最重要人物である、
ロトチェンコ(Александр Михайлович Родченко)
だそうです。
※「ネップ」とは、
「新経済政策」(Новая экономическая политика)の略で、
1921年3月、戦時共産主義で疲弊した経済を立て直すべく、
部分的に市場経済を認めた経済政策の事だそうです。
国際社会でソ連が認められる切っ掛けとなるものの、
1928年に、スターリンが発表した第一次五ヵ年計画で否定され、
後にソ連は計画経済と農村集団化による社会主義国家の建設へと
向かっていったのは周知の通りです。
帝政ロシア時代の包み紙。
特に注目すべきなのは、右側中央のもの。
日本趣味(ジャポニスム)のものと思われます。
何となく浮世絵風であり、上下に漢字っぽいものもあり、
右側にはキリル文字で「АМАТЕРАСУ」(アマテラス)と出ていますが、
当時はロシアにおける歌舞伎公演の記録は無いそうですし、
色々と謎だらけなところが魅力的ではあります。
「Карлъ Бездэка」(カール・ベズデーカ)という会社の製品の様です。
「Карл Бездека」という綴りで検索してみると、
こんなページをみつけました。
Промышленная графика кондитерских фабрик С.-Петербурга в конце XIX - начале XX века
帝政末期の1908年に、
カール・フランツェヴィチ・ベズデーカ
Карл Францевич Бездека(Бездэка)
が創業した会社のようです。
帝政末期で日本という事で、
日露戦争との絡みが気になっていましたが、
戦後の創業という事で、納得したというか。
「Бездэка」で画像検索してみると、
同社の包み紙の画像がいっぱいでてきますが、
その中でも特に目を惹いたものをご紹介します。
Большое собрание фантиков от конфет - LiveInternet
こちらも日本風のもので「ОКИНАВА」(沖縄)と出ていますが、
沖縄と鶴は余り関係無い様なので、
適当に日本語をあてただけの様です。
その他、西洋風のものは勿論のこと、
アラビア風のもの、中国風のものなどもあります。
ヴィグリ(Вигри, Vigri)
の大きな金属製の円盤ですが、どんな用途でしょうか?
飴紙とは無関係だと思いますが、会場にありました。
中央と右側のものは、ヘブライ文字からしてイスラエルのものです。
中央のものは、子ども用の誕生日お祝い用菓子袋(1960年代)。
右のものは、イスラエルの菓子会社「עלית」(Elite)の包み紙
展示物は、特にソ連のものに限りません。
デザイン的に魅力的な「お菓子の包み紙」なら、
どんな国のものでもアリです。
「ドギー・トフィー」(Diggie Toffee)
日本では使用されない漢字やチープな絵柄からして、
中国のものであるのが分かりますが、
この「ブースカ」と犬を合体させたような
何とも言えないデザインがまたいい味出してますネ・・・。
「奶糖」には「キャラメル」とか「ミルクキャンディ」などといった、
牛乳系の飴類の意味が込められているそうなのですが、
英語で「トフィー」(Toffee)とも出ています。
キャラメルとトフィーは、製法や材料が近いですが、食感が違います。
トフィーの方が硬めで歯にくっつきにくい感じです。
トフィーは中国語で「太妃糖」とも綴るそうですが、どちらかというと、
こちらの表記の方がはっきりしていて分かり易い気がするのですが・・・。
まあ、その辺の「いい加減さ」も魅力的ではあります。
会場に展示してあったハリネズミのカップル人形。
何だか顔色が悪そうなのが心配です・・・。
こんなにギッシリ展示していました。
それでも全部は展示しきれなかったという・・・。
旧ユーゴスラヴィアのピオニール(Pionir)社製
「ねこのツィーツァ」(Cica Maca)の包み紙。
実は私、奇遇にも、最近の「Cica Maca」の画像を、
ミッテさんを訪問する直前にTwitterでリツイートしていたのです↓
最近のは、セクシーなメスネコとなっております。
ミッテさんで展示されていた方は、
ネット上にあるのを確認していないので、
大変貴重であるのが分かります。
埋もれて消えていった菓子デザインが、
恐らくはもっとあるのではないかと痛感させられます。
因みに、クロアチア語で猫は「Mačka」(マチュカ)なのですが、
「Maca」は英語の「Kitty」(猫ちゃん)に相当するようです。
只々、圧巻です!!
ロシアアニメファンにはお馴染みの
「いまに見てろよ!」(Ну, погоди!, ヌー、パガジー!)ですが、
上の方は、実は前述のイスラエルの「elite」社製の
チョコレート製品の包み紙です。
よく見てみると、デザインが色々と違います。
特にウサギが別人と言っていいくらいです。
単純に「パチモン」なのでしょうか?
ロシアとイスラエルの関係って、どんなんだろう?
これが製造されたのは1997年の様ですが、
(裏側に「12. 04. 97」と刻印されています)
当時はオリガルヒ(ロシア新興財閥)が健在だったので、
それと何か関係があるのでしょうか?
ロシアアニメーションのキャラクターを使ったお菓子の包み紙。
【左上】いまに見てろよ!(Ну, погоди!)
【左中】こんにちは、トリャム!(Трям! Здравствуйте!)
【左下】おちびのアライグマ(Крошка Енот)
【中上】少年とカールソン(Малыш и Карлсон)
【中左下】ねこのレアポリト(レオポルト)ときんぎょ
(Кот Леопольд и золотая рыбка)
【中右下】宿屋の主人の休暇(Каникулы Бонифация)
【右】ニェズナイカ(ネズナイカ)(Незнайка)
右下から真ん中にかけての4つは、
「チョコレートパスチラ」(Пастила в шоколад)
だそうですが「パスチラ」とは、
「ロシアで主に食されているマシュマロに似た菓子」
だそうです(Wikipedia)。
同じく、ロシアアニメーションキャラクターより。
【左3点】ヴィンニ・プーフ(ロシア版くまのプーさん)(Винни-Пух)
【右2点】ニェズナイカ(ネズナイカ)(Незнайка)
ネズナイカの内の右側の方は、絵本のイラストっぽいですが、
菓子の包み紙のためにデザインされたものでしょうか?
『38羽のオウム』(38 попугаев)
は知らなかったので調べてみると、
1970年代~ソビエト末期まで放映されていた、
人形アニメーションだそうで、
左側のは絵本版で、右側のは、
前述の「チョコレートパスチラ」の包み紙。
『ぐうたらオウム おうちにかえる』
(Возвращение блудного попугая)
かと思ったら違いました。
(※「新約聖書ルカの福音書」15章の「放蕩息子の帰還」
に引っ掛けたのか?「放蕩オウムの帰還」と和訳されていますが、
子どもには難しすぎるので平易な表現を使うべきでしょう)
放蕩オウムの帰還 1 - 武蔵野美術大学 美術館・図書館 イメージライブラリー
左上は、ロシアアニメーションの
『ちびっこライオンとカメはどんなふうに歌をうたったの』
(Как львенок и черепаха пели песню)
のキャラクターを用いたチョコレートの包み紙。
右上は、「イリス」(Ирис)と出ていますが、
前述の「トフィー」のことです。
「Сливочный Ирис」は、
「クリーミーなトフィ」という意味でしょうか?
で、今回購入したのは、
イスラエル製の「ヌー、パガジー!」です(笑)。
以上、長々と失礼いたしました!!