世界日報販売局長が行く!


日本国憲法が施行されて65年を迎えた。戦後に幸運にも経済成長を遂げた我が国だが、この憲法記念日には屈折した歴史がある。

 第2次世界大戦に敗れ、戦勝国に裁かれ、前文で戦争を反省し、9条で戦力を持たず、交戦権を否定する憲法が生まれた。これを記念するのは自国の敗北を積極的に評価することとなり、反日的な国民を増やすことにつながった。


激しい対立を生む元凶

 改憲反対の運動を展開している「九条の会」に集う共産党や社民党の支持者はその典型だ。実際、現憲法は、特に国家の死活に関わる安全保障問題で国論を二分し、激しい対立を生む元凶となってきた。日米安保条約、自衛隊、国連平和維持活動(PKO)協力、インド洋やイラクなど海外への自衛隊派遣……。我が国の生存に関わる重要な局面での施策に9条問題が常に絡んできた。

 占領時代にマッカーサー草案をもとに制定された現憲法は、連合国にとっては降伏後間もない敵国を対象としたものだ。前文には歴史・伝統など我が国の国柄を示す文言は全く存在せず、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と書かれている。

 まるで戦争は政府がもたらす悪であるかのようだ。その弊害が反戦反政府運動の行き過ぎとなって表れた。

 「憲法記念日」は、前文通り戦争の反省と平和への誓いを繰り返す。敗戦後当面は意味があったとしても、65年の歳月が流れては世界の笑い物にしかなるまい。国民の愛国心や国防意識が高まることもなかろう。

 しかしながら「護憲」という言葉は呪文のように、自らの憲法を改正することが禁じられた行為であるかのごとく政治家に思わせてきた。

 国会憲法調査会が改憲多数意見の報告をして8年経つが、なお自ら憲法を決められず、修正もできないのでは独立国とは言えない。

 昨年の東日本大震災でも非常事態への備えがなされていなかったため、原発事故など「想定外」の事態に政府は適切に対処できなかった。明治憲法では第8条で定めていた非常事態・緊急事態への条項を現憲法ではなくしたのが大きな原因だ。

 中国漁船による沖縄県の尖閣諸島沖領海侵犯事件など近年頻発する領土領海問題に政府の腰の引けた対応が目立つのも、憲法に国防について明記されていないからだ。北朝鮮ミサイルなどへの対処でも米国や韓国との連携に集団的自衛権問題が障壁となる。


論議を活発化させよ

 戦後政治を矛盾と対立に巻き込んだ現憲法のままでの「憲法記念日」は終わりにする必要がある。すでに憲法改正手続法が定められ、国会に憲法審査会も設置された。

 「憲法改正草案」をまとめた自民党だけでなく改憲を説く各党は案を持ち寄り、国民の手により独立国に相応しい改正をするため、論議を活発化させるべきだ