少々現実的なお話をしておこうかと思います。

専門学校に進学した声優志望の人の大半の人が当てはまる事です。あなたもそうなる可能性が高いというお話です。いえ、そうなりますと言っても過言ではありません。


声優になれる人なんてほんのひと握りの存在です。声優になれない人の方が多い…いえ、ほとんどの人が声優になれませんので、この話はほとんどの人に当てはまるという意味です。


夢破れた時にどうなるのか、知っておきましょう。


そしてそうならないように日夜、稽古に励んでください。


この話は、あなたにも起こり得る、声優になると決意して取った行動の末路の話です。




『よくある声優志望者の末路、専門学校編』

高校を卒業して声優になる為に専門学校に通う事になったあなたは、恐らく親に多額の入学金を支払わせ、その金額の重みをあまり感じずに学校に通います。

高校生活の延長気分で皆、気楽に授業に取り組みます。

専門学校では競争意識を芽生えさせるような教育(厳しい授業)はしない所が多いので、ある意味気楽に授業を受け、楽しい学校生活を送る事でしょう。

高校の時は学校に行かないと先生に怒られたりするのが普通ですが、専門学校では高校のように厳しくはありません。

休みたかったら休めるような開放的な空間です。

高校時代の閉塞感から解放されたあなたは嫌な授業があったらサボり始めるかもしれません。バイトを優先するかもしれません。遊びを優先するかもしれません。一人暮らしを始めているのならば、親からの圧力から解放され誰に何を言われるような事も無くなり、ダラダラとした日常を過ごすかもしれません。

『アテレコの授業は出たいけど肉体訓練の授業は出たくないよね~』

こんなワガママがまかり通るのでよほど自分を厳しく律しない限りなかなかこの空間で声優としての意識を高めて行く事はできません。

単位や出席日数のようなものも、あって無いようなものなので、2年制の学校であれば、学校側も利益の為には絶対に学校を辞めて欲しくはないのでうまい言い回しで進級させてくれます。

もはや進級できればいい、卒業できればいい、というような『声優になる』という気持ちとはかけ離れた意識で学校に通うようになります。

そんなようなプロになる意識をどこかに忘れてきてしまった人ばかりなので、あなたも『それが普通なのだ』と、思ってしまい、周りに流され始めます。『自分はそんな事無い!』と思っていたとしても、学校全体がそういう甘ったれた雰囲気なのですから、その甘ったれた中でちゃんとやれていたとしても、そんな人は所詮、井の中の蛙であって、外の世界に行ったらただの人です。

そんないい加減な時間を過ごしてきたあなた達生徒ですが卒業公演、卒業オーディションだけは真面目に取り組みます。

とってつけたようなやる気で最後の勝負に挑むわけです。

…受かる筈もありません。

審査する側の目も節穴では無いのですから。

そして事務所に所属で合格できなくても『養成所』に合格する事があります。大体の人がこのパターンでしょう。

事務所は無理だったけど養成所受かったー!やったー!などと、誰でも受かるような養成所への入所権利を手に入れて、意気揚々と卒業式を迎えるわけです。


声優にはなれなかったけど、養成所に受かったからこれから頑張るぞ!


などと、2年前にこの学校に入る前に抱いていた気持ちが新たに湧き上がります。


そして専門学校を卒業するわけです。ご卒業、おめでとうございます。


そして、春からは養成所に入所し、新たなスタートを切ります。

めでたしめでたし。

…さて、何かおかしい事に気付きませんか?

専門学校に行ったのに何故また養成所に行かなくてはならないのか。

あの専門学校で過ごした2年間は何だったのか。あんなに高額な授業料を払ったのに何故自分は声優になれなかったのか。


そしていざ養成所に入所したらクラスメイトが素人ばっかりだった。しかもその素人と自分はさほどレベルが変わらないじゃないか…

などと、ここでやっと専門学校に行った事を後悔するのです

だったら最初から養成所に行っていれば良かった。という事になりますよね?

専門学校に行った生徒の大半がこのパターンです。

そもそも高校生は何故、専門学校に行きたがるのでしょう。

それは高校在学中に進路を決めなくてはならない時に、大学進学、専門学校進学、就職、の三種類しか無いように生徒に思わせてしまっている高校側の教育制度の問題かもしれません。

『養成所に行きたい』と思っても『だったら専門学校にしておきなさい』と親も教師も口を揃えてそう言うのではないでしょうか。後々、学歴に『専門学校卒業』と書けるか書けないかというどうでもいい見栄を張るために、です。それと、大学でも専門でも就職でもない進路は浪人、その他扱いになるので教師はそれを奨めようとしません。高校側も進学する生徒が多い方が世間体が良いので進学を勧めたいと思っているでしょうし、進路が決まっていないような生徒がいると逆に世間体が悪くなるので、体裁を整える為に必死な部分もあるでしょう。


では、専門学校に進学し、養成所に通ったけども、残念ながら夢破れて、就職活動をするとしましょう。


社会的には『オタクは使えない』というイメージは残念ながらありますので、夢破れて就職活動をする時に『○○専門学校声優科卒業』なんて履歴書に書くと『オタクかよ!採用したくねえなあ…』なんて思われて逆に専門学校に行っていた事が後々の就職にすら影響しかねません。

なので、専門学校に行っていた事は履歴書に書かなかったなんて人も多いです。

結論としては…


『最初から養成所に行っていれば高額な授業料を払わずに済んだし、無駄な時間を過ごさずに済んだのに』

という事です。

私が専門学校を毛嫌いする1つの要因は…

卒業後の進路として堂々と『○○養成所に○人合格!!』などと、アピールしている所です。

正直言いまして、普通の人なら養成所なんて誰でも受かります。素人でも勿論受かります。

しかも専門学校のアピールとして、それを卒業後の進路として『夢を叶えた』方面の進路に加えてるんですよね。それは就職率も上がりますよ。これを就職率と呼ぶのもおかしな話ですが、誰でも入れるような養成所に合格した事をさも大事なようにアピールしているのを見ると本当に心が痛みます。

あなた達声優志望者が若くて無知な事もありますが、だからといってその親御さん達も大人ではありますが、声優業界の事などわからないので、ホームページに何となく良さそうな事が書いてあれば『ここでいいんじゃないか』などと思ってしまうのでしょう。


声優業界に詳しい人なんて身近にいるわけが無いんです。ましてや声優になる良い方法を知っているような人なんてそうそういるわけがありません。声優になれる人なんてほんの一握りの人間だけなのですし、更に言えば、声優でちゃんと生計を立てられているような声優なんて更にほんの一握りです。本当に良いアドバイスができるのはその、ほんの一握りの一握りの一握りの中に入っている声優だけだと思います。しかし、そんなほんの一握りの声優が身近にいてア、ドバイスを貰える環境なんてほぼ無いでしょう。

専門学校のシステムは、長く声優業界にいる私にしてみたら詐欺にしか見えません。本当に恥ずべき事です。

『厳密に言えば詐欺では無い』という仮面を被った詐欺だと私は思います。

声優事務所などのマネージャーが専門学校の最終オーディションに呼ばれて審査しに行く事がありますが、正直言いまして、事務所のマネージャーは専門学生をアテにはしていません。


ほとんどの事務所が自社で養成所を持っているわけですから。


しかしながら専門学校から事務所に所属できる人も少しだけいます。


容姿が抜群に良い子です。


専門学校で人材を得るメリットなんてそれくらいしかありません。事務所のマネージャーも『可愛い子いたら取ってこよ~っと』程度の軽いノリでオーディションを見に行くわけですから、視界に入ってきた瞬間にブスだったりブ男だったりした場合は、もう上の空です。パソコンをカタカタいじって何かコメントを書いてくれているのかと思いきや、それは真面目に審査しているのではなく、ただ仕事関係のメールなどを返しているだけかもしれません。


しかし、ここで所属になれたごく数人のイケメン、イケジョ達も、事務所に入ったら下手くそ過ぎて使えないわけですからもうひと頑張りする必要があるでしょう。きっと同期の中でも一番下手くそなのですから。恐らく、事務所の養成所でレッスンを受ける羽目になるとは思いますが、結局、使い物にならないわけですからレッスンを受ける必要があるという事です。


ごく一部のイケメン、イケジョ以外は、春から新たな養成所生活が始まります。それか諦めて就職するか、新たな夢に向かっていくという事になるのでしょう。


いかがでしたか?


専門学校に行っても、物凄い高く自分に厳しい意識で授業に取り組む事ができれば物凄くいいと思います。設備も整っているし、講師もそれなりの人を呼べる予算もあるし…


しかし、専門学校の一番の難点は…


『生徒に厳しくできない』


と、いう所でしょう。


生徒一人の単価が高いですから辞めてもらっては困ってしまいます。


なので生徒を辞めさせない為にも甘やかします。生徒をやった気にさせるような表面的な授業が多いです。


本来ならば地獄の苦しみに耐えられないと声優の仕事は務まりませんのでこういう期間に色々厳しい教育をするのですが、専門学校ではほぼそれは無いように思います。あったとしても、それは本来の厳しさとは違った甘い中での厳しさです。


結局、養成所などに行き直して、そこで始めて厳しい訓練を受け、プロ意識が目覚めるような感じになります。


何度も言いますが、私はお金の無駄だと思います。


あまり強く否定するのはよろしくないので止めておきますが、もう一度言います。


私は、お金の無駄だと思います。

しかし、どうしても専門学校に行きたい人の為にアドバイスをしておきます。


どの事務所が最終オーディションに来るのか、講師はどんな人なのか何をやっている人なのか、去年の就職率(何人プロを輩出できたか、勿論、養成所は除いて)の内容、評判、などをインターネットなどで調べておきましょう。


事務所に所属できた人が『何という事務所に所属したのか』という所も重要です。

中にはレッスン費を稼ぐ為だけに事務所に迎え入れるようなインチキ臭い事務所もありますから注意が必要です。ちゃんとした声優事務所に所属できているかどうかが問題です。


最終オーディションに来る事務所名も一つ一つちゃんと調べてください。中には得体の知れない事務所もありますから、そういう事務所が多い専門学校は止めておいた方が無難です。


特に、皆さんは声優になりたいのですから、大手の声優事務所がちゃんと来ているかどうかをチェックしてください。


それと、専門学校と事務所が繋がっている場合があります。要するに、専門学校が受け皿的に事務所を作っている…などの事ですね。どういう事かと言いますと、どこの事務所にも受からなくても、その受け皿的な事務所である程度の人数は面倒を見よう、という感じでしょうか。


専門学校から特定の事務所に人が流れているのであれば、恐らく、何かしらの形で専門学校と事務所は繋がっているのでしょう。


繋がっていてもいいのですが、その事務所が得体の知れない事務所だった場合は気をつけなくてはいけません。つまり…


専門学校が『プロを輩出した人数をアピールしたいが為に作ったような事務所』


です。


つまり、うちの学校は沢山の所属者を輩出しているんですよ!凄いでしょ!というアピールをして生徒を集めるという手段ですね。


声優志望者は声優事務所の事にあまり詳しくありませんから『沢山の人が事務所に所属できている!凄い!ここの学校に行こう!』なんて事になるのでしょうが、仮に、そんな得体の知れない事務所に所属した所で、未来はありませんので、生徒がどんな事務所に流れて行っているのかを自分で調べる必要があるでしょう。


あと…


『卒業生一覧の中に売れっ子の名前を沢山出している専門学校もあります』が、その人達が直接その専門学校から事務所に入れたわけではなく、専門学校を卒業して養成所に入り直して声優になって売れっ子になったという人も多いです。つまり、専門学校から直接所属になれたわけではないパターンも多いのです。注意しましょう。


とは、言ったものの…


調べない人も多いのでしょうね。


でもそれは仕方がありません。


もはやその時点で声優として生きていくスキルが足りないのですから。


私のブログが何かのヒントになる事を祈っています。


頑張ってくださいね。