「全国民が小学校入学時に受ける『国繁予防接種」その注射に混入したナノカプセルにより、1000人中の1人の若者が、18歳から24歳までのあらかじめ設定された日時に命を奪われる。しかし、その死亡予告書(イキガミ)が彼らの元に届くのは、死のわずか24時間前。


そのイキガミを届けるある青年の物語です。


この手の死を扱う内容は漫画よりも小説に多いと思います。しかし、劇画タッチと深く伏線の考えられた内容は十分な読み応えがあり、いろいろ考えさせられる漫画家と思います。死を扱う内容の漫画は青年誌に連載とはいえ、難しい内容だとは思います。批判も多かったのではないでしょうか。


この漫画のポイントを自分なりに考えると大きくは3点かと。

1、1000分の1の確率とかなり多い人間が対象である。

2、死の宣告は24時間前である。

3、この思想に染まらないのは再教育と称して悲惨な目にある。


書くと何千字でもかけそうな漫画なので、あえて2について。24時間で死ぬ。そういう宣告をされたら自分なら一体どういう行動をとるであろうか。作品ではいろいろなパターンが登場します。自分ならこうなるのかなと考える内容もありますが、実際はどうなんだろうと思わずにはいられません。


1週間でも1ヶ月でもなく24時間。いざとなると何もできないのではないでしょうか。その時にその人の本心が現れるのかと。もちろん、その制度に従って大人しく運命を受け入れる人、納得いかないと今までの人生を振り返り復讐に走る人等様々です。しかし、どれも人間です。醜い部分も含めてです。


ゆっくりともう一度読み返して考えてみたい作品です。イキガミを配達する主人公の気持ちの移り変わっていく様子は正直たまりません。


そして、最終巻の10巻はたまりません。もしかしたらと思うところもありましたが、まさかという思いも残ります。ただ、賛否両論の出るラストになっているかもしれませんが、それすら現代の日本に生きる私たちにとって考えさせる深い内容になっていると思います。


少し落ち着いてじっくりと読み直したいと思う作品です。