(雑詠) | 青春彷徨のうた

青春彷徨のうた

昔作った歌や、昔を懐かしんで作った歌を少しづつ・・・



時々、今歌も載せようか・・・

・吾等こそ佐渡原住民と宣ひて同級会で汗かく仲間
・車椅子捨てて今は杖なると意志強き友来る島の同級会
・前回は車椅子今年は杖つきて友出席す島の同級会
・泣きわめき言い訳ひどき県議見て父馬鹿モノと一喝したり
・酔ふうちに旧姓で呼びぞんざいな言葉飛び交ふ同級会良し
・子燕の餌請う写真よく撮れて東京神戸の孫に写メする
・願ひしもこの島訪ねることもなく逝きし作家の歌ひし「砂山」
・この島がルーツたる作歌の愛唱歌「海は荒海向こうは佐渡よ」
・愛唱歌は「砂山」なりしこの島がルーツなりたる北の作歌よ
・新宿の歌声喫茶で肩組みて歌ふ懐かしロシア民謡
・語らずにただ見守れる恩師なりし懐かしくあり有り難くあり
・この島を出でし祖父母を持つ作家時折「砂山」歌ひておりしと
・クラス会恩師の享年過ぎたれどいつまでも吾等生徒でありたし
・面伏せて群れしおだまきそよぎたる金北山の頂き行く
・ドンデンに咲き乱れたる石楠花は廃校なりし母校の校章
・隊員の殉職碑より眺めたる北向きて立つガメラレーダー
・宵乃舞相川京町唄ひゆく米寿は腹より音頭を唸る
・江戸の風相川京町流れ行く古調の音頭もありてゆかしき
・相川を流す米寿の音頭なりいつまで続くか知らねと笑ふ
・八十九 九十 九十一才の並びて神輿に大きな拍手す
・紅葉のお糸と別れの碑に すがし春風時をへだてて
・裂織の横糸古布は懐かしき古き着物と照れつつ話す
・裂織を説明始めばねまり機問われてねまるの方言話す
・宵乃舞佐渡相川の風物詩今年は古調の音頭なりけり
・京に住む日本画大家は島に来て佐渡は深しと幾度語る
・クラス会返信の多くは畑仕事書けるにあるは杖術始むと
・クラス会返信にありし夢想流杖術を始めたに皆驚きぬ
・クラス会返送なきも返信の来たらぬ幾人想う人生
・故郷のクラス会準備役員会先ずの雑談健康語り
・湯につかり仲間と語る週二日卒寿の父の生きがいの日々
・卒寿過ぐ確かな言葉で人生を詠みたる人のやさしき眼
・久々に会ひたる人と挨拶しこの一年の出来こと話す
・朝早く車庫開け放つ帰りたる燕が旧巣繕ひければ
・折り紙で雪の結晶作りたる手先の器用な妻のすごさよ
・生れたるわが子をネットで頻繁にアップするは祖父母の為と神戸の娘
・大相撲テレビ観戦趣味のなき卒寿の父の唯一の楽しみ
・紙面には写真も入る訃報記事静かに酒飲むありし日偲ぶ
・新聞に載ったの見たよとメール来て急ぎ紙面の文芸欄見る
・難読字吾に尋ねし人曰く目の不自由なる人の目なると
・魚好きな卒寿の父に食べさせたしされど小骨が気になると妻
・突然に戦友の住所聞く父に調べて伝えば忘れて居りぬ
・将棋でも始めてみようかと父語る翌朝は盆栽趣味のなき父
・船で来て孫飛行機で帰り行く神戸は遠し別れは哀し
・クラス会急がぬけれどその内に冥途でやろうと遺影つぶやく
・恩師逝く遺影のつぶやき聞く心地黄泉での再会急ぐべからず
・飾られし生花の中照れて見ゆ厳しく優しき恩師の遺影
・五十年前の教え子の消息を気にし恩師は力尽きたリ
・自分史を書き始めたと電話あり続きは冥途と笑ひて師は逝く
・多世代の男女の席で政談す空気を読めぬ団塊吾は
・妻の友女性四人と外食す無骨の団塊吾落ち着かず
・先輩に敬語使ひて後輩は気楽に呼び捨て同窓会議
・恩師逝き通夜で再会小学校の仲間は程良く老ひていたりし
・久々の同級会は先ず敬語挨拶交わしてため口始む
・久々の床屋で吾顔じっと見て意外と若しと微笑み帰る
・わが母校廃校なるも同窓会それ故固く結ばれにけり
・悪しことに父の如くに激怒せし恩師遺影は微笑み溢る
・厳しさは今に想えば何よりの優しさでありし恩師逝きたる
・恩師逝く奥様逝きて日も無きを想へば静かに追ひたるごとし
・子の二人巣立ちて二十年年に幾度孫連れ帰れば心楽しも
・春耕を前に逝きたる翁の田気になり訪へば田植え終わりぬ
・主逝きし嫗の親族同胞は海越え来たりて春耕手伝ふ
・新造船春潮分けて近づきぬ乗りし神戸の孫目覚めしか
・妻逝きし哀しみ面に表わさず大正翁の一人春耕
・故郷の島に暮らして墓守り老ひゆく吾に後悔はなし
・春潮の彼方の夢を追いかけて島の若者振り返らずに
・この島を巣立つ数多の子等載せて大きな夢に向かひ船発つ
・ためらわず羽ばたき巣立ち海越えし島の若者如何におはすや
・退職のジャーナリストはペンを捨て慣れぬ農具で春の田を打つ
・故郷の島に戻りて四十年余都会に住みしは思い出されず
・大都会を遠望田舎で暮らしたるわが人生に後悔のなし
・眼差しは遠くを眺めて暮らしたるちひさき故郷佐渡の島なる
・牙捨てず田舎暮らしを続けたし息子娘の故郷でもある
・老いてなお田舎暮らしが物足りずさりとて都会に住む気になれず
・神戸より春潮にのり孫来たる汝がルーツなる故郷の島
・春潮を切り裂く如く新造船十か月の孫は母に抱かれ
・春潮を渡りし孫は十カ月吾顔じっと見つめて五分
・春潮を渡りて東京神戸よりあかぬけし孫帰省忘れず
・大型車駆って帰省し春耕を手伝ふ古稀は佐渡を忘れず
・一度だけ春耕手伝ふことありし今は果てたる親戚の家
・春耕を前に逝きたる老ひの田は如何になりたる吾は見に行く
・吾にとり巣立ちは島発つ十八の哀しき別れと今に確かむ
・いつの間に朱鷺の三世巣立ちして故郷の島いやさかなりし
・放たれて野に生く朱鷺の三世を想うや保護せし先人想ふ
・この島の若者巣立ちいつの日かふる里の土に還りたもふや
・孫曰く佐渡は何でもあるんだね海山川に朱鷺や白鳥
・海山川朱鷺も白鳥も居るんだね孫は佐渡には何でもあると
・佐渡情話お光似の船頭説明すも孫はたらいの船ではしゃげる
・外孫の垂れたるホッペをつまんでは百面相を仕掛けたる父
・船で発ち飛行機使って関西へ孫と娘は近きか遠きか
・かっこいいと孫は父がおさな頃集めし消しゴムに大騒ぎする
・海渡り孫帰り行きこの次は夏休みなり如何に過ごせし
・金次郎の銅像懐かしとあらば直ぐに吾は母校に確認に行く
・わが娘の生野の義父は縁ある佐渡金山を是非訪ねたきと
・帰省せし娘は孫を吾に預け夫婦で仲よく佐渡をドライブ
・一年に満たざる孫が泣きたればかくあやすべしと妻は娘に
・お父さんが佐渡出身だから朱鷺のこと何でも知ってると小学生の孫
・銀山の生野生まれの夫連れて金山巡る娘堂々
・遠来の友に見せたる朱鷺ケージ自ずと保護せし人を思ひて
・順徳院縁の経典埋められし経塚山から越後は近し
・転勤で島に住みたる二年間おけさと音頭を踊りたき人
・畑仕事終えて草花手入れせし大正嫗は歳を忘れぬ
・亡き母の一年先輩なる嫗海を臨みし学び舎語る
・次々と挨拶交わすも追いつかず順番を待つ眼科クリニック
・昔居りし悪行童を叱りたる爺さん役を演じたきかな
・次々と届く四人の孫の写メ仕事の手を止めプリントアウトす
・廃校の母校跡地の新学校今年颯爽卒業生出る
・大正の人名録にはこの島に既に果てたる苗字の多し
・その昔近江大社の荘園でありし新穂庄山王大祭
・この島の大正時代の人名録島を離れて功遂げし人士
・純喫茶モーニングサービス注文し今なき母校の思い出話
・海村の強清水(こわしみず)なる巌には祠の立ちて静かにおはす
・ゆく春や越後を望む小佐渡道妻喜々としてあまどころ採る
・三つ四つ袋を一杯に膨らませあまどころ採る妻黙々と
・あまどころ数多採り来て幾つもに袋詰めして誰に送らむ
・肝油とか脱脂粉乳などもあり貧しかりしも豊かなる日々
・団塊子学生運動語り終へ孫も話題に純喫茶にて
・古きこと調べて益々新しきこととつながる郷土の歴史
・古きこと調べて益々新しきこととつながる郷土の歴史
・クラス会今年は佐渡が当番とあれば重き腰上げて赴く
・月曜の紙面を飾る歌数々幾つか控えて声出して読む
・北海道佐渡衆子孫の問ひたるは珍しき姓のルーツ如何にと
・爽やかに反韓ヘイトスピーチにプロテストする日本の若者
・従兄弟よりの葬儀の礼状に書きありし亡父の分まで長生きされたしと
・シベリアを臨む梅林色づきて佐渡相川に観光バス来る
・若き頃冬でも裸で寝て居りしがいつしか電気毛布欠かせぬ老に
・雨の中彼岸に妻と訪ひし墓地供へし花のみずみずしかな
・大震災既に三年今更に気がかりなりし神の沈黙
・佐渡奉行民の届けし鶴を愛で巨石に記す瘞鶴(えいかく)の碑
・みどりなるハイカラの名前の嫗逝く導師は漢字で戒名に採る
・観無量寿経にたった一つの文字なりと導師は嫗の戒名語る
・救急車に乗りてまもなく息絶へぬ家で死にたきが口癖の嫗
・亡くなりしと聞きたる友と遭遇し声かけみればその娘なり
・ハイカラな名前を持ちし嫗逝く春の息吹をひそかに想ひて
・白寿までの二年を待たず嫗逝く早くおじいちゃんに会いたし口癖
・わが家も娘嫁げる先の血も可愛い孫の写真に見えし
・如月も終わりに近き新年会島の四方より友集ひ来る
・生前の母を愉快に語り終へ喪主は御斎を皆に勧めぬ
・『氷点』が世に出ていつしか五十年作家のルーツ佐渡の家果つ
・ちひさくて優しき嫗は遺影より満面笑みて感謝をしたる
・華やかでありたる母の思い出を楽しく語るし喪主の挨拶
・宴には甚句華やかに踊りたる嫗の通夜は色めき多し
・大切にもの保存せし「たぼうとく」心すたるか言葉消えゆく
・宅配を願う電話はつながらず交通途絶えし豪雪禍知る
・漁師町の仲間持ち来る干し烏賊の旨きを噛みつつ山歩きする
・孫の名を告げれば少し色めきて卒寿の父は饒舌となる
・噛むほどに旨き剣先烏賊なりし歯の悪き吾ゆっくりゆっくり
・十五才銀メダルとりにっこりと楽しかったと若者やよし
・お悔み欄いつしか吾より若き人も増えたる様に心揺れたる
・隣席の見知らぬ人も交りつつカラオケ談義夜は更けにけり
・贈答にしたるや神戸の娘より佐渡地酒を送れとメール
・お悔み欄祝苗字の二つ三つ傘寿過ぎしに心休まる
・今は亡き祝寿てふ人ありて逝く時笑みて送ってほしと
・驚きぬ島の優しさ素晴らしさアイターンの人語るわが島
・山帰来紫式部に喜びて都人この春佐渡に来るらし
・この島を愛し住みつく人の言う島人全てが優しく迎えしと
・この島の古き人名録読めば今なき数多の苗字に認めし
・同級生集ひて酒飲む写真来て四十年の歳月語る
・リハビリに行きたる父住む一軒家無住ひとときひと際寒し
・大正の人名鑑をつれずれに読めば多くが島に果てたる
・パソコンのデスクトップは三人の孫写真にて吾と過ごせる
・良心は寒梅に似ると校祖なる新島言ひしを確かむ新年
・朝起きて鏡で顔を整へる忍術使いの如くに父は
・気の合ひし友転勤を告げ来たり妻と最後の思い出話
・凍えつつ目覚まし留めて言い聞かす残れる日々の今日は初日と
・正月の休みを終へて民謡のよき師よき友会ひてうれしき
・覇気ありしおっすと朝の挨拶が聞えて大正青年の行く
・フェイスブック見れば写真のアップあり神戸の娘と孫の正月
・カラフルな服が似合うは爺ゆずりうれし恥ずかし孫の写真よ
・救急車音高まりて鳴り止まぬ雪の深夜に飛び出す吾は
・早朝におっすと挨拶聞えたり遠くで手を振る大正翁
・吹っ切れて島発つ友も殊更に言葉溢れつ涙滲みつ
・寒きゆえ妻をめとると志ん生の落語聞きつつ寒夜に寝入る
・どんど焼き酔ひたる老は通り過ぐ吾にお神酒を何度も強いる
・お洒落なる帽子にカラフルマフラーで父は終日テレビ観ている
・胸病めど足腰鍛えると大正の老は早朝雪の街行く
・既になき御寺は村の名となりて跡地に鶴を愛でたる碑
・当ての山金北山の本宮に廻船問屋寄贈の船絵馬
・雪踏みて良き仲間たちと山歩き北山社で昼食をとる
・体操着の娘も手伝ひ茶を勧めぬ雪の山寺うれしき仏縁
・石田川上りて二宮真光寺無住の家あり別荘もあり
・文字通り徳俵にてこらえたる相撲の醍醐味今になつかし
・のど元を過ぎて五十年大地震津波の熱き思い忘れず
・五十年前の今日なり大地震(おおない)におののきし吾高校二年
・わが地区の卒寿過ぎたる四人衆並びて諏訪の祭寿ぐ
・廃校の母校同窓関東会佐渡を偲びておけさに興ず
・格別の話題はなくも故郷の母校共にす不思議な親しみ
・百人が集ひし母校の同窓会故郷自慢にうつつ抜かして
・同窓会数多集ひし同年に名前呼び捨てられしうれしさ
・腑に落ちず居りたる友の死因聞きわが青春の彷徨終えぬ
・東京の同窓会終へ帰郷する海の果てなる島は尊し