読書「平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和」松元雅和 著  | 聖心美容クリニック 伊藤哲郎

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先の衆議院選挙にて自民党の掲げた憲法改正を通しての国防軍創設。尖閣諸島などの領有権問題。それこそ北朝鮮の無慈悲な挑発行動。

何かと安全保障に関わる諸問題が噴出しています。
平和主義国家の日本に住んでいるわけですが、はたして「平和主義」とは?


これに対する答え、そして平和主義はよいのか?これらに自分なりの意見、知識を十分には持ち得ていなかったので、この本で勉強してみました。

「戦争はよくないから、平和主義は正しい」などという小学生レベルの議論ではなく。

平和主義とは簡単にいうと暴力ではなく、非暴力によって問題解決を図ること。

国家にとっては戦争ではなく、交渉にて解決。

平和を愛さない人はいないが、平和主義となると実際には非現実的であり、理想でしかないと批判されることも。
実際、私も本書に出会うまでのそのように考えていました。

本書の冒頭でも平和主義を論破する論法のひとつに

もし目の前で愛する人が殺されそうになったときに、なにもしないのか?暴力にて解決するならば、国を守るために戦うのも同じだ

というのが上げ、必ずしもこの場面において暴力に訴えることが平和主義を否定することにはならないという論理説明。

たしかにそのように捉えることもできると納得。

本書では平和主義を義務論、帰結主義、正戦論、現実主義、人道介入主義といった様々の観点からの論理的検証を行っているというところはとても興味を惹かれ、より深く平和主義を捉えることができます。

国際社会においては現実主義が幅を利かしています。
その論理構成は簡単にいうと平和を達成するには暴力手段に訴えざるを得ないことがある。

例えば「戸締まり論」は現実主義の典型例。

誰でも強盗が入らないように鍵を閉め、戸締まりすることは普通。同様に国際社会においても自衛するため、戦力を持つことはなんら非難されるものではない

私も同様にその通りだと思っていました・・・・
が、筆者はこの論に対しても鍵を閉めることで周りに及ぶ影響と戦力を持つことで、潜在的敵国と見なし、周辺国が脅威と感じ、軍拡競争に発展する可能性があると的確な相違点の指摘を。

そして、最終章では筆者の今後の日本が取るべき平和主義のあり方が述べられ、最終章にふさわしく、それまでの議論を総括し、読者が内容を反芻しやすく。

平和主義は理念を謳うだけでは実現できず、非平和主義より多くの犠牲を背負うことにもなるかもしれない。そして、それに民意が同意、覚悟することと。

マスメディアや教育において、そこまでの議論があるかという言われると憂いてしまいますね。





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