気づけば4か月ぶりの更新になってしまいました。

忙しかった?

いえ、ずっとパワプロやってました。

というわけでお久しぶりです。

パワプロの世界線では年俸12億円の球界を代表する強肩強打の捕手、現実はフルスイングすらままならない腰痛持ちの小説家です。

ブログを放置してごめんなさい。

でもこのご報告でご機嫌を直していただけるはず!

 

エンマ様シリーズ、ついに映像化決定!

土曜ドラマ9 『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻』

エンマ様役は栗山千明さん!

BSテレ東で10月6日(土)夜9時スタートです。

詳しくはこちらをご覧ください。

 

いやーようやくですよ。

これまであまりに企画が流れすぎて、映像化のオファーが届きましたという報告ぐらいではまったく喜ばないぐらい心が死んでいました。

いちいち一喜一憂しないで地道にやってれば忘れたころに実現するだろうという心もちで仕事してましたが、本当に思いがけないタイミングでひょっこり話が舞い込み、トントン拍子で実現に至りました。

よく言いますが、上手くいくときは拍子抜けするぐらいあっさり決まるものなんですね。

 

そもそも僕が映像化を明確な目標に据えたきっかけは、デビュー作の売上が振るわなかったからです。

同じこのミス大賞から同期デビューの乾緑郎さんは朝日時代小説大賞との同時受賞で天才と騒がれ、デビュー作『完全なる首長竜』が映画化、喜多喜久さんもデビュー作『ラブ・ケミストリー』が単行本で5回だか6回だか重版されるベストセラーになる中、僕は完全に置いてけぼりを食ってしまったのでした。

名よりも実を取るつもりでこのミス大賞を選んで応募していたのに、肝心の実が取れなかったら前途多難です。

宝島社デビューじゃ文壇では相手にされないだろうし(現在では文学賞にノミネートされる作家さんも出てきましたが)、プロモーションにもデビュー作以上に力を入れてもらえることはないだろうから、次回作の初刷部数も減る。

部数が減れば書店に行き渡らないから、また売上が減る。

必然的に次の作品の部数も減る。

たくさん刷っていない作品にお金や時間をかけるのは効率が悪いので、プロモーションも後回しにされる。

発売されていることすら認知されないから売れない。

また部数が減る。

負のスパイラルです。

ほとんどゆるやかな死刑宣告を受けた気分ですよ。

せっかくデビューしたのに、暗い展望しかありません。

さて、この状況をどう打開するか!?

「もっとたくさん刷ってくれ!」とか「ちゃんとプロモーションしてくれ!」なんて駄々をこねてもしょうがないんです。

これはビジネスなので、版元としても利益になる可能性が大きいほうに投資するのは当然です。

だから作家は、投資してもらえるコンテンツを作らないといけないのです。

投資してもらえるコンテンツとは、版元に「動く価値がある」と思わせるコンテンツです。

「動く価値」についてはいろいろ解釈があると思いますが、僕が導き出した結論は「メディアミックス」でした。

テレビ離れ映画離れなどと言われますが、テレビも映画も、なんだかんだでまだまだ活字より何倍も影響力のある媒体です。

多くの書店で映像化作品のコーナーが作られているから、ドラマとか映画になれば、店頭で大きく展開してもらえます。

そうすれば版元もたくさん刷って頑張ってプロモーションしてくれるだろうと思ったのです。

デビュー作とそれ以後の作風が激変しているのは、そういった生き残り戦略の賜物です。

 

でもねー、映像化の一番の決め手になるのも、結局は売上だったりするんですよねー。

おかげさまでエンマ様に限らず、僕の作品には映画になりそう、ドラマになりそう、映像化したらおもしろそうといった感想をたくさんいただくし、知名度のわりには、映像化企画を持ちかけていただけることも多いと思います。

でもほんと決まんないんだ、これが。

映像化に相性が良い作品を書いているつもりなのに、そもそも売上が立たないと映像化が実現しないというジレンマ。

その反面、どう考えても映像化向きでない小説が「売れている」という理由で次々と映像化されるわけですよ。

作品が映像化に向いているかどうかに関係なく、売れてればちゃんとプロの技術で映像化するって、額賀澪さんの『拝啓。本が売れません』の中で映画プロデューサーの浅野さんも言ってましたよね。

いやいやでもでも! わかっちゃいるけど! そんなん無理くり映像化するよりエンマ様そのままやるほうが簡単だろ! などと毒づきながらシリーズを重ねるうちに、いざ映像化が実現したときには、エンマ様自体もけっこうな累計発行部数に達していましたとさ。

40万部ちょっとくらいだっけ?

正確には覚えてないけど。

つまりシリーズを追いかけ、応援してくださった読者の皆さまのおかげです。

ありがとうございます。

 

すでに6話ぶんの脚本をいただいて読ませていただいたんですが、本当におもしろかったです。

僕にとって大事な作品ですし、あまりに酷かったら文句言ってやろうと思って身構えていたんですが、こちらから口出しする必要はまったくありませんでした。

当然ながらドラマ独自のアレンジも加えられているのですが、自分の作ったキャラクターが自分の書いてない台詞を喋っているというのは、とても不思議な感覚でした。

これまでの読者の方に「動くエンマ様」を楽しんでいただきたいのはもちろんですが、ドラマをきっかけに、佐藤青南の小説に興味を持ってくださる方も増えれば嬉しいなと思います。

BSを見られないという人もけっこういらっしゃると思いますが、たぶんTVerなんかでも配信されると思います。

お楽しみに。

 

あと告知。

9月20日(木)に東京駅近くの八重洲ブックセンター本店でイベントやります。

詳細は↓クリックしてください。

 

第1回文藝ファンミーティングin Tiffany芦沢央さん×天祢涼さん×佐藤青南さん

 

八重洲ブックセンター40周年の記念催事だそうです。

26日(水)には早くも第2回が予定されていて、そちらは額賀澪さん、谷津矢車さん、似鳥鶏さんが出演されます。

通常のイベントスペースでのしゃちこばったサイン会とは違い、喫茶店で作家がテーブルを移動しながらの気軽なお茶会です。

とてもハードルが低いイベントなので、参加作家のことをよく知らない人にも遊びに来て欲しいです。

三人の本を一冊も読んだことがなくても歓迎します。

でも僕のことを知らない人がこのブログを見ないか。

とにかくお待ちしています。