「早稲田文学」のフリーペーパー版「WB」の冒頭に川上未映子という人の「感じる専門家 採用試験」という超短編が載っていて、今日読んだらこれがなんだか面白い。
 もともと、批評家・渡部直巳氏が「ユリイカに載ってたイマダエイコってやつが気になる」と言い出した現場に僕もいて、「それってミエコって読むんじゃないの?」とか答えたことがあり、その場で編集者に携帯で検索をかけてもらうと、確かにミエコだったのである。
 その川上未映子さんに二段組で四ページ書いてもらった「WB」のフットワークがまたいい。フリーペーパー時代のひとつの栄誉になるのではないか。
 作品を読んでいて、「これは本人に朗読してもらい、康本雅子さんが踊るとますます素晴らしい」と思ったのだが、なぜかはわからない。知性と身体性の融合の具合に似たものを感じたのかもしれない。

 あ、昨日は入院している知人のお見舞いに行ったあと、東京国際シネシティフェスティバルのクロージングを観るため、新宿ミラノ座へ出かけました。スタッフの皆さん、おつかれさまでした。
 で、作品は「ディパーテッド」。ディカプリオとマット・デイモンが出ているスコセッシ監督作品。言わずとしれた「インファナル・アフェア」のリメークですね。
 “東洋のゴッドファーザー”とも言えるこの「インファナル・アフェア」シリーズが好きなだけに、観ていて頭の切り替えがけっこう難しかったのは事実で(素早いリメイクってそこがほんとに悩ましい)、もちろんスコセッシのハードな映像も迫力があったのだけれど、どうしても最後まで香港俳優アンディ・ラウの顔が浮かんでやまなかった。やくざ組織から潜入させられた警察官の、良心との戦いにもう少し焦点をあててくれれば……。とはいえ、それが東洋と西洋の感覚の違いであることは確かで、ドライな「ディパーテッド」は「ディパーテッド」でいいんですけどね。ハリウッドならああなるしかない。
 ともかく、 「インファナル・アフェア」が再評価されるためにも、「ディパーテッド」のヒットを願う俺です。公開は来年、正月第二弾です。

 家に帰って、「銀河ヒッチハイク・ガイド」の映画版をDVDで。こちらはナンセンスなオシャレ映画。こういう洒脱なバカ映画が撮れる環境がうらやましい。モンティパイソンの伝統はいまだ死なず。