都会の環 | ニューヨーク狂人日記

都会の環

木は葉を落とし。
実を食べた動物たちはフンを落とす。



49丁目を歩いていた。
なにかがゆっくりと落ちてくる。
水気を失った大きな葉のように。

木はない。
ちょうど窓から手が引っこむところだった。。

道路脇にとまる大きなトラック。
でかすぎて運転席は見えないが、
指は男のものだった。

窓から落ちてきたヒラヒラも木の末裔。
白い紙ナプキン。
仕事の合間に朝飯でも食ったのか。

ゴミ収集車だった。
ゴミを落とすゴミ車。
都会の連鎖。リサイクル。
環は閉じられているように見える。



大通りの信号を渡る。
大きな唸りがこだましながら近づいてくる。
道路清掃車が、拭き上げたチリを吸い込みながら近づいてくる。
環は閉じられた。



宙を舞う白いヒラヒラを思い浮かべながら自分のことを考える。

歩道でするウンコ。
自称・主人が拾ってくれる。
他人んちのポリバケツに入れたり、
街角のゴミ箱に放り込んだり。
コンクリートの上じゃ環が閉じない。
別の環を作ってあげなきゃ。

主人とは名ばかりで拾わないやつもいる。
犬より悪い。
引き合いに出されたこちとら犬だって迷惑だ。
それにしても昔も今も道に落ちるウンコの数は変わらないな。
どうしてだろう。
拾ってる人間をけっこう見かけるんだが。

そうそう。
あれは人間だったのか?
トラックの運転台にいたのは。
それともワシらと同じ犬だったのか?
ワシらは紙は使わない。
ワシらはハンドル握れない。
も少し指が長かったら……。
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