失職して会社を出る
見上げると曇天だった
創価大学の坂を
自転車を降りて登った
坂を下りると雨
浅川は静かだった
職安で紹介カードーをめくり
自分の職を探す
図書館はすいていた
月刊誌を読んで外に出ると
雲一つない空に変わっていた
煙を黒々と吐く煙突
すれ違った老人が連れていた犬が
俺を見上げる
自宅への坂道を登る時
俺の望みは萎んで
胃の中で不安が
膨らんでいった
妻の顔がちらつく団地の角を
俺は曲がる
幸せも曲がった