House氏: 価格と性能のバランスには幾夜も眠れぬ夜を過ごした | みらいマニアックス !

House氏: 価格と性能のバランスには幾夜も眠れぬ夜を過ごした

SCE社長であるAndrew House氏が、SCE社内の検討経緯について語った。これはPS4において、高度なスペックと手頃な発売価格とをバランスさせることについてのものだ。

今朝のDevelop 2014の基調講演でHouse氏は、2つの方向性の衝突に直面し「幾夜も眠れぬ夜を過ごした」と語った。


「私たちはPS4の中の優先順位や様々な哲学のバランスをとっていました。これらはPS3での経験から来たものです。

「優先順位はほとんどの場合に互いにぶつかり合っていました。私たちが何よりも望んだのは、発売と同時に大きな人気を呼べるようなハードを作ることで。私の考えでは、ハードの価格とバリュー・プロポジションは初めからニッチな層を超えた層に向けたものでなくてはならないのです。

だがそれと同時に、PS4のリードアーキテクトであるMark Cerny氏(今朝は彼も出席していた)が開発者たちのところを回って、PS4が実現すべきユーザー体験と、PS4が実現するであろう開発のしやすさの絵を描いていた。これらの点こそソニーが「PS3での苦々しく苦痛に満ちた経験」を通じて改善しなければならないと考えた点だったのだ。

「私たちはコール(電話会議)をしなければならなかったし、これもまた不眠のタネでした。私たちは最高のハードウェア調達やデザインチームを持っていると思います。彼らがいるから時間をかけてハードの経済性を実現することができるのです。

「私はこのハードを出し、財政的なコミットメントを前払いにすることに賭けました。何よりも重要なのは開発を簡単にすることであり、すばらしいゲーム体験を提供できるようにすることなのです。(それさえしっかりしていれば)おカネのやりくりは後で何とかすることでできるでしょうから。


おカネのやりくりとは、例えばHDDをPS4に積むか、それともフラッシュメモリやその他の方法にするかということでもあった。SCEにとってこれは数十億ドル規模の決断だった。

「HDDは高価です。コンソールの半分にHDDを備えるようなことはできません。代替手段としてはフラッシュメモリがありますが、容量を大きくはできません。HDDを備えることのプラスと、備えないことのマイナス(マイナスも沢山あります)を全て考慮した結果、私たちはHDDをPS4に備えなければならないことが分かりました。これにはだいたい10億ドルの費用がかかります。


メモリはもう一つの問題だった。Cerny氏は語った。

「初期の頃には、必要なメモリは2GBか?4GBかと考えていました。 8GBにするという最終決定はこれまた、『非常に高価』なものでした。

House氏の仕事は、こうした選択が今後何年にも及ぶPS4の事業計画に対してどのように影響するかを徹底して調べることだった。発売価格にはどう影響するか?、それ以外にも今後の価格の低下やその他の価格についてはどう影響するか?

高価な技術の採用は『甚大な影響』を及ぼす。だがそうした技術を盛り込まなければ、ソニーが作り出そうとしたハードのビジョンを台無しにするかもしれない。

「おカネの話は別にして、ユーザに新しいハードを受け入れてもらうには、きちんとしたレベルのゲーム体験を実現するために努力を重ねねばならないのです。」と、Cerny氏。


「(PS4を使う)全てのプレイヤーが、開発者が意図したレベルでWatch Dogsを楽しむ必要があるでしょうか?。おカネを使いたくないというなら残念ではありますが、その答えはYES、そうしなければならないのです。Watch Dogsは15GBものキャッシュ(のストレージ)を必要とするような作品です。みなさんが望む(ゲームの動作)は、HDDのような高速なメディアが可能にしてくれるのです。(HDD)は、開発者が作ることを考えていた、基本的なレベルの一部なのです。

しかしこれらの困難な決定が正しかったことは誰の目にも明かだ。ソニーはこれまでにPS4を700万台を販売しているのだ。


NS: eurogamer