開発者は語る: Wii U開発の舞台裏(7)発売後に何がおきたか? | みらいマニアックス !

開発者は語る: Wii U開発の舞台裏(7)発売後に何がおきたか?

ともかく、最終的に私たちはゲームをリリースしたし、世間で高い評価を受けた。それで経営陣は腰を落ち着け、私たちの努力の結果がどのような売上となって帰ってくるかを見守った。詳しくは述べないが、私たちの目に明らかになったのは、売上が素晴らしいというレベルを下回ったということだ、とだけ言っておこう。

実際のところ、私たちは開発に掛かった費用を全て回収できたし、それは幸運だったというべきだろう。経営陣は公式にはWii Uをサポートしていたとはいえ、私たちが別のWii Uのタイトルを発売するということはもはやなさそうだ。

だが他ではどうだったろうか?他の開発スタジオはうまくいっただろうか?

リリース後に何が起こったかについての物語は、ゲームメディアにまずますしっかりと書かれているが、私が最近思った興味深い点をいくつか強調しておきたい。第一に3rdパーティのサポートだ。皆さんはWii Uの発売を取り巻くすべての派手な宣伝を覚えているだろうか?彼らがWii Uに出そうとしていた既存のゲームの動画を見せていた3rdパーティのことは?そういった数多くのゲームに何が起こったのだろうか?

ゲームタイトルの最初の突風が吹き荒れた後で、数多くのスタジオは当初の発言と発表を黙って引っ込めた。最小限の発表をしつつ、事実としては、彼らはWii U版を開発するつもりはないのだ。全くの推測ではあるが、特定のタイトルがWii Uには登場しないのは次のような理由が入り混じったものだと思っている。


-任天堂のツールチェインやハードウェアを使ってみた以前の経験が、別のタイトルを開発することへのやる気を失わせてしまった。

-3rdパーティ・スタジオに向けた技術的な、あるいは機能に関するサポート不足。1sパーティ以外の人間であれば、内面的にはこんな感覚を持っている。自分達が任天堂から大概に無視されているのは、任天堂の収益に対して上っ面の存在だからだ。任天堂の存続にとって重要なのは自社内製のゲームであって、3rdパーティは任天堂ハードの発売予定表を飾るだけために存在しているのだ、と。

-ロンチ後近辺でのWii Uの売上が好調には見えなかったこと。ロンチに近い時期、一般的な消費者には多くの混乱が生じていた。多くの人はWii UがWiiの周辺機器か何かだと思っており、Wii Uが新しいコンソールだとは知らなかった。このことが知られていなかったことは、おそらく、Wii Uが任天堂が望んだような好調なスタートを切れなかったことの一因となり、また外部のスタジオがWii U向けの開発への意欲を失うきっかけになった。

-タイミングが悪かった。Wii Uロンチの数ヶ月後、次世代ハード向けの派手な広告の列車がギアを一段上げた。ソニーはPS4を発表し、MSも数ヶ月後には戦いに名乗りを上げた。忘れないでほしいのだが、大きなスタジオの多くはハードが発表される何ヶ月も前にそのことを知っていたし、Wii Uが実際にロンチされるずっと前のことだったのだ。


さて、大規模なスタジオにはWii U以外にも選択肢があった。

性能に限界があり市場的にも限られたコンソールに対して、こういったスタジオが既存のゲームの移植作を開発するだろうか?それとも年内にも発売される「真の」次世代ハードのための新しい機能やコンセプトの開発にチームを振り向けるだろうか?考えればすぐに分かる。簡単な選択なのだ。

1stパーティについて言えば、任天堂自身、全く楽勝な時間を過ごしているというわけではなさそうだ。これは純粋な憶測だが、開発チームの幾人かとのやりとりから見て、任天堂の開発チームは新しいハードに順応する上で洒落にならないトラブルを抱えているようだ。その主な理由はHDへの移行であり、それをサポートすべきハードの能力にある。

思い出して欲しい。Wii Uが登場するまで、任天堂1stパーティのタイトルはみなHDではなかったし、SDからHDへの移行は人が期待するほど簡単なものではない。前世代のコンソールサイクルの初期、PS3とXbox 360の開発者はこの痛みに耐えた。HDに順応するには多大なコストと長い期間が必要だ。いくつかのスタジオはこれに大失敗している。

今日、任天堂の社内チームはこの難関に直面している。開発期間は限られており、競争力のあるタイトルを開発せよというプレッシャーは半端なものではない。こうした重圧の下であれば、よく知られたタイトルのいくつかが延期になることは避けられなかったろう。とはいえ、昨年の1stパーティのタイトルがどれほどまばらであったかは、驚くべきものだった。


NS: eurogamer  The Secret Developers: Wii U - the inside story