開発者は語る: Wii U開発の舞台裏(5)任天堂とオンライン① | みらいマニアックス !

開発者は語る: Wii U開発の舞台裏(5)任天堂とオンライン①

さてゲームは完成し、ハードウェアの問題が解決された。次に私たちが注意を向けるのはゲームのネットワーク側だ。新たに発表された任天堂のネットワークとのインタフェースのことだ。

私たちはドキュメント、コード、ネットワーキング領域におけるギャップと思われる点を早くから見つけており、それについて明らかにするように任天堂に求めていた。お約束の翻訳による遅れの後で、Wii Uの(ファームウェアの)コードはまだ開発中で、だがすぐに届けることができるので心配無用だ、との回答を任天堂から受け取った。

例の警報が再び私の頭の中で音もなく鳴り始めたが、私はしばらくの間それを脇において置くことにした。任天堂のネットワークは、新しいコンソールのまわりに構築される新しいネットワーク基盤なのだ。開発者に共有する前に、任天堂はそれを完成させ、徹底的にテストしておく必要がある。少しぐらい遅れたとして、それは許してもよいはずだ。

基本的なところはわかっていたので、少なくともいくつかのテストを実施し、複数のキットを相互に接続することは可能だった。だがMiiやフレンド関係のコンテンツの多くについてはテストすることができなかったし、既存のコードが「ユーザが利用する環境」の中でどのように振る舞うかをテストする方法はなかった。開発キットにはユーザが利用する環境の「フラッシュ」がなかったからだ。私たちは何も見えない暗闇の中で、そういったもの全てをコーディングしなければならなかったし、それらのコードが上手く動くのを祈る他なかったのだ。


私たちはその頃、テレカンで任天堂のもっと高位の人たちと話をする機会があった。この人たちは、私たちのWii Uでの開発における経験と、一連のツールについてのフィードバックを集めていた。任天堂と、彼らがどのように働いているかについて、このテレカンは興味深い洞察を与えてくれた。

テレカンはスムーズに始まり、私たちのハードウェアと(動作の遅い)一連のツールについての経験をつまびらかにした。私たちは議論の流れを、オンライン機能がいつ頃に利用できるようになるのかという点に向けてみた。

そこで任天堂は、ネットワーク上の機能やそれらをサポートするOSのアップデートは、ハードウェアが発売されるまでには提供されるが、発売の直前になるだろうと言った。ソニーやMSに匹敵する大規模なネットワーク基盤を立ち上げる上では多くの課題があるものだが、任天堂は明らかにそれらを想定していなかったのだ。

私たちは驚愕した。ネットワーク機能が発表されたのは何ヶ月も前のことなのだし、それに取り組むためにはたっぷり時間があるだろうと思い込んでいたからだ。

私たちはもう少し深く探りを入れてみた。Miiフレンドやネットワークについて、特定のシナリオでよいので、どのように動作するのかと聞いてみたのだ。Xbox LiveやPSNが同じことをしていることに常に言及しつつだ。この会議のある時点で私たちが知らされたのは、LiveやPSNに当てはめた説明がさっぱり要領を得なかったのは、任天堂の開発チームの誰一人としてLiveやPSNを使ったことがなかった(!)からだったということだった。一体どうすれば、もっと詳細な説明を彼らから得られたというのだろう?


このテレカンの後で、私はこんなことを思った。

任天堂は苦しんでいる。それも酷く苦しんでいる。ネットワーク・インフラの構築は任天堂が予期していたものよりも遥かに複雑なだったからだ。任天堂は競合他社のシステムに追いた振りをしようとしていた。何年にもわたる経験の裏付けもないのに。


NS: eurogamer  The Secret Developers: Wii U - the inside story


みらい的コメント:


さすがにビビッた。