無料配信とディスカウントの鬼、PS+はサービスとしてペイしているのか? | みらいマニアックス !

無料配信とディスカウントの鬼、PS+はサービスとしてペイしているのか?

PS Plusは非常に優れたサービスだ。だが実際問題、このサービスはペイしているのだろうか?
ライター氏(Elia Pales氏)は、PSNのサービスを頻繁に利用し、無料配信タイトルや割引を使いまくっていたが、サービスの有利さにだんだん怖くなり、ついにはPS Plusはソニーに不利すぎる取引なのではないかとまで考え始めた。

以下は、多くのユーザにとっての疑問となっているであろうこの問題についての考察記事。


PS Plusは儲かるのか?
この問題に対しての答えは単純だ。儲かっている。

ソニーは企業であり、利益を上げるべき存在だ。もしもPS Plusが利益を出さなかったならば、サービスとして提供されないだろう。企業が損をするようなサービスを続けていくことは考えにくい。だがそう考えつつ、PS Plusが利益を出せる方法はある。


1.ハードコア・ゲーマーが対象だから

無料ゲームに多くの費用が使われていない最も大きなの理由の一つは、おそらく、PS Plusに現在加入しているユーザのほどんどが、ハードコアなソニーファンであるという事実による。無料配信されるゲームのほとんどはユーザとって既に購入済の作品だ。ソニーは確かに、一年で52本ものゲームを提供している。しかしユーザがそのうちも30本を既に所有してるとすれば、無料配信が大きな損失になるだろうか?これまで無料配信されたタイトルのうち、一体何本を既に所有していたかを考えてみてほしい。次に、ソニーが無料配信するゲームのうち、どれほどのゲームがソニー自身がパブリッシュしたものかを考えてみてほしい。ゲームを無料で配信する権利を買うのに費用は掛からないし、誰かにおカネを払う必要はない。彼らはおカネを使ってはいないのだ。


2.無料配信タイトルは古いものだから

PS Plusが配信するゲームについて考えてみよう。Demon Soulsは、2週間前に無料配信された。自分自身に質問したとしよう「Demon Soulsを買うことを、まだ真剣に考えてしていただろうか?もしそうなら、中古か新品のどちらにしただろうか?」と。Demon Soulsはもう何年もの間ずっと発売されてきた。この作品で売れたであろう(トータルでの)本数の99%はすでに販売されている。Demon Soulsを無料配信することで、ソニーはプレイヤーに対して20時間ものDark Soulsの広告キャンペーンを行うことができる。プレイヤーがどっちみち買わかなかったゲームを得るが、ソニーも重要な顧客層に対してにマーケティングを行うことができる。ユーザが買わなかったであろうゲーム、あるいは続編の販促になるゲームを、ソニーは注意深く選び出すのだ。


3.PS Plusはおカネの節約にはならなず、むしろもっと使うようになるから

Guacameleeに興味を持っている典型的なPSユーザーを例に取ってみよう。彼はおそらく15ドルは高すぎるとつぶやくだろう。だが10ドル~12ドル(これはGuacameleeだけのものではなく、どんなゲームにも適用可能であることに留意してほしい)であれば適当な価格だ。PS Plusのユーザーにとって、Guacameleeは20%割引されて11.99ドルになったように見える。その安さに負けて、彼はDL版のタイトルを購入する。彼はPS Plusは素晴らしいサービスだと考えるに違いない。3ドルも節約できたのだから。だが実際には、彼は12ドルを使ったのだ。もしもPS Plusがなかったなら、このゲーマーは決してこの支出はしなかったろう。ソニーはPS Plusで、より多くの売上を上げることができるのだ。


4.PS Plusは広告になるから

すでにDemon Soulsで述べたように、PS Plusはゲーム広告に非常に役立つ。無料ゲームを毎週提供することによって、ほとんどがハードコアなユーザであるPS Plusの会員が、定期的にPS Storeを訪れることをソニーは知っている。無料ゲームをダウンロードする過程で、このゲーマーは興味のある新しいゲームがリリースされたことに気付くかもしれない。もしも無料ゲームをダウンロードするためにPS Storeを訪れなかなったら、このゲーマーは新しくリリースされたタイトルを見なかっただろうし、新作に60ドルを落としてもいなかっただろう。PS Plusがなければ、この購入は行われていなかっただろう。これはすべてのマーケティングのスキームなのだ。


そう、PS Plusは世にある他のサービスよりも優れたもののひとつだ。ユーザには代金以上の価値を提供してくれる。だがだまされてはいけない。ソニーは企業であり、企業は利益のために物事を行う。

我々そうでないことをどれほど望んだとしても、ソニーはおカネを求めて活動している。そしてPS Plusは、ソニーにとって良い収益をもたらさないとすれば、存在してはいないだろう。そうでもしなければ決して行きつかなかっただろう最初の$50を得る(訳注:無料のクレジットカードを作る際に振り込まれるPSNワレット上の金額と思われる)代わりに、PS PlusはPlaystation Storeでさらなる支出へのかなり大きな入口となるのだ。


NS: Game Dwellers  How does it feel to be used? ? How Playstation Plus is profitable


みらい的コメント:


なかなか興味深い問題だ。

いずれちゃんと考えてみたいと思うのだが、とりあえず思うのは、PS Plusの支払モデルには、大きく分けて2つのモデルが考えられるということだ。(1)売上予測によるモデルと、(2)利用実績によるモデルだ。

上の記事での考察は、明らかに(2)利用実績によるモデルを想定している。

だがこちらのモデルを前提にすることには多少の疑問を感じる。

まず言えるのは、利用実績によるモデルが成立するためには、権利者が一本当たりの単価を極端にディスカウントする必要があるということだ。例えば北米では毎週数本の無料配信タイトルのリリースがあり、配信タイトルの定価は月額合計では軽く数十ドルには達する。一方で利用料金はわずか数ドルだ。となると仕入単価(権利者への一本当たりの支払)は定価の数%程度にならざるを得ない。こんな話を持って行っても、誰も聞く耳を持たないに違いない。

ではどの程度のディスカウントならば適当なのか?

それを考えるためには、結局は(1)売上予測によるモデルによる他ない。仮にPS Plusでの配信を行わなかった場合の(仮の)無料配信日以降の売上の合計額が、ソニーが権利者に支払うべき合計金額と考えるのだ。

例えば現在週販10本のタイトルがあり今後3年間同じ水準で売れると仮定した場合、トータルでの売上は10×50週×3年=1,500本分ということになる。これならディスカウント率に頭を悩ます必要はない。

付け加えて言えば、本来不確定な将来の見込み本数分の売上を前倒しで受け取れることは、権利者にとって非常に大きなインセンティブになる。売上予測からの支払額は、さらに大幅にディスカウントされる可能性も高いだろう。

もちろん、売上をどう予測するかは難しい問題だ。
ソニー側(弱気に傾きやすい)と権利者側(強気に傾きやすい)の予測のギャップは常に生じるだろうし、ギャップが大きければ合意はできないだろう。(配信タイトルにソニーのものが多いのは、もしかするとそのせいなのかもしれない)


ともかくそんな感じで、ソニーにとっての原価は、ユーザからの見た目よりも遥かに安い可能性が高いだろうと思っている。