Wii Uのグラフィック処理能力の分析。シェーダ処理能力はXboxの1.5倍程度 | みらいマニアックス !

Wii Uのグラフィック処理能力の分析。シェーダ処理能力はXboxの1.5倍程度

一般的公開が2ヶ月前にあったにもかかわらず、任天堂のWii Uコンソールの一部は、技術的には謎のままになっているようだ。CPUはIBMの3コアだとすぐに分かったが、システムの明らかな強みはGPUにあり、その点について、Radeonのコアの構成はほとんど、あるいは全くわからなかった。次世代のXboxとPSのGPUについての方が良くわかっていたと言てもよかった。今までは。

Wii UのGPUの詳細なポリシリコンダイの写真が公開され、ハードウェアの構造がナノレベルで示されることで、主な謎の大部分を解決した。しかしこれらの写真をどのように撮影したかは、それ自体が魅力的な物語だ。コミュニティフォーラムNeoGAFは、Chipworks社がウェブサイト上で、Wii Uのリバースエンジニアリング写真を販売していたことを発見した。この写真は主要なシリコンの写真が200ドルとなっていた。任天堂のハードウェアをめぐる論争に決着をつけるため、この写真を買うためのカンパが始められた。1つだけ問題があった。この写真はAnandtechのようなサイトで既に明らかにされていたものの、単なる高解像度のバージョンだった。これは全体的なデザインのシリコン使用量とチップの構造の概略を知るためには良いものだが、答えを知るためには超高倍率が必要で、Wii Uのハードウェアの秘密を発掘するには不十分だったのだ。この時点で、Chipworks社側もコミュニティの資金集めの努力に気付き、必要な写真を提供することにで支援することを決めた。無料でだ。Chipworks社のRob Williamsonが語ってくれたように、この作業のコストは「決して些細な金額ではない」。これは著しく太っ腹なジェスチャーであることを心に留めておいてほしい。

それではこの新しい写真から、実際のところ何がわかるのだろうか?まずは、結論を導き出す方法についてはっきりさせておこう。グラフィックスコアは、プロセッサーの広大な配列を通じて並行して作業を分散させ、処理を実行している。ダイの写真では、このマニフェストはトランジスタの同じミニブロックとして「コピペ」されたように並んでいる。Wii UのハードウェアはAMDのRV770プロセッサ、つまり本質のRadeon HD 4XXX系、をベースとしていることは分かっているため、相当するAMDのハードウェアについての写真と比較することで、いくつかのポイントを明らかにすることができる。

Chipworks社の写真はまだ分析の途中ではあるが、コアの基本的な構造について、もはや疑わしいところはないようだ。Wii UのGPUコアは16個のテクスチャマッピングユニットと結合した320のストリームプロセッサを搭載しており、8基のROPを備えている。2011年のE3でWii Uが最公開された後で、ハードウェアについての私たちの見解はかなりつつましいものだった。当時私たちはこう書いている。「何かエキゾチックなものではなく、Radeon HD 4670/4650とおそらく概ね同等なものであるだろう。これらのチップには320基のストリームプロセッサが搭載されており、特にクローズボックスなシステムとして、360とPS3レベルのグラフィックをサポートするのには、十分以上の性能を持っている。」

それは私たちがそのイベントで見たものに基づいた大よその見積だった。しかし最終的なGPUは、4670/4650とそれに相当してはいるが、テクスチャマッピングユニットは削減され、クロック速度も550MHzと抑えられたものだった。AMDのRV770のハードウェアはこれらの数字についてよく文書化されているので、私たちは今はっきりと、Wii Uが次世代機であるという疑わしい自己主張を否定できる。DurangoとOrbisのGCNのハードウェアは完全に別次元のものだ。だが550MHzで動作する16基のTMUと、RV770に見られるテクスチャキャッシュの改善は、このハードウェアの能力をXboxのXeno GPUを越えるものに高めている。ナマのシェーダ処理能力では1.5倍程度だろう。1080pの解像度は720pの約2.5倍であり、たった8基のROPでは複雑な3Dのタイトルを表示することはほとんど不可能であることを念頭に置いておく必要がある。

そういったこと踏まえると、なぜWii Uのマルチタイトルの多くががっかりさせられるものになっているのか、という疑問が生じるかもしれない。特に、Xbox版から開発されたであろうBlack Ops 2が、880×720というサブHD解像度であるにもかかわらず、なぜXboxよりもスローモーな動作となっているのかという点だ。この答えは既に分かっている部分と、まだ分かっていない部分がある。

明らかに疑わしいのはWii Uの1.2GHzのCPUだ。この3コアのチップはWiiのBroadway chipの設計を見直したものであり、またGameCubeのGekkoプロセッサを微調整しオーバークロックしたものだ。これまで行ったWii UのFace-Offの多くでは、CPUに負荷のかかるタスクでパフォーマンスが大幅に落ち込むという結果が得られている。しかし未知の要因もまだ数多く残っている。 具体的にはメインRAMからの帯域幅と、GPUとオンボードの32MBのeDRAMとのインタフェースの正確な性質だ。Wii Uのハードウェアの全体的な性能は今や明らかだ。議論すべきなのは、CPUとメモリとがどのうようにI/Fされているかであり、開発者がこのハードを直接ターゲットにした際にこのコアで何ができるのかについては、任天堂プラットフォームの独占タイトルが手がかりを示してくれるだろう。

だが最も重要な答えを得た一方で、ダイの写真はもいくつかのさらなる謎も生み出している。具体的には左上にある2番目と3番目のRAM領域はどのようなものなのか、またALUとTMUに割り当てられた領域がどれほど小さいものであるかについても留意するならば、他の何が残りのスペースを取っているのかということだ。ここでは推測するすることしかできないのだが、ROPとコマンドプロセッサといった他の重要なGPUの機能領域から離れていることからみて、WiiのARM「Starlet」セキュリティコア及びオーディオDSP等である可能性が高いと考えられる。またゲームパッドのディスプレイへの伝送のためのフレームバッファ圧縮を行うハードウェア・ビデオエンコーダもまたそこにあったとしてもまったく驚かないだろう。追加されているメモリバンクはWiiとの互換性のために設けられていると考えられ、1MBがテクスチャ、2MBがフレームバッファとされているのではないか。また完全な後方互換性を確保するために、WiiのGPUが丸ごと載せられているのかもしれない。


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Wii UのGPUダイの写真:
水色の部分は32MBのeDRAM、その上の白い部分は(未確認だが)後方互換性確保のためのWii処理領域、赤い部分は320基のストリームプロセッサ、黄色い部分は16基のテクスチャユニット。40nmプロセスルールで製造されている。


NS: Eurogamer.  Wii U graphics power finally revealed