SCE吉田氏: リージョン単位での運営の是非を語る | みらいマニアックス !

SCE吉田氏: リージョン単位での運営の是非を語る

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あなたは複数のPSN IDを持ち、各国のPSNストアにアクセスできるようにしているだろうか?

PS3のユーザの多くはそうしているし、ソニーワールドワイドスタジオのボスであり、熱心なゲーマーでもある吉田氏もそうしている。

ソニーのPSストアに対する最も古くからの不満の一つは、ストアのコンテンツが地域によって異なることだ。SCEの各部門は独立して活動しており、米国のストアでリリースされたのものが、欧州ストアではリリースされなかったりするし、その逆もある。

アメリカのストアにあるコンテンツが欧州ストアにタイムリーには登場しなかったり、そもそもまったく登場しなかったりする。最近の目立った例でのはっきりしたリリース日の差を含めると、すばらしいWalking Deadシリーズ、Retro City Rampage、なぜだかはわからないが行方不明になっているValveのFPS、Counter-Strike: Global Offensive等がある。

これらのゲームが遅れたことにはいろいろな理由がある。ソニーのリージョン別のアプローチは、ゲームをSCEAやSCEEにそれぞれに承認を受けねばならないことを意味する。それぞれが独自のQAや認定プロセスをもち、パブリッシャーやデベロッパとおのおのが独自に契約を締結している。これはどのような理由であれ、あるゲームが米国では認定をパスし、欧州ではパスしない場合があことを意味する。

ローカリゼーションもしばしば遅れの原因となる。欧州はここで苦しんでいる。なぜなら膨大な数の言語に対処しなければならないためだ。だがソニーのファンは、MSとXbox Liveアーケードは同じような問題に苦しんでいるようには見えないと指摘するだろう。MSのグローバルなシステムでは、ゲームはほとんど常に、米国と欧州で同時に発売されるのだ。

インタビューでの正直な話し方とTwitterでファンとの意欲的な交流でPSファンに人気のある吉田氏は、この問題についてのファンの懸念について、PS Blogでコメントしている。

chrisboers氏は質問している。
「ますますグローバル化する(ゲームの)世界の光の中で、デジタル配信には、現在のようなリージョン別のアプローチに未来があるのでしょうか、それとも(統一された1つのPSストアやグローバルでのSENアカウント等を含めて)1つのグローバルな配信ネットワークなのでしょうか? 。(法的および契約上の)リージョンという制約があることは理解できますが、5年後だったらどうでしょう?これはソニーが積極的に追求しているものなのでしょうか?

吉田氏は答えた。
「大変よい質問です!。現在のリージョン別のアプローチにはポジティブな面もネガティブな面もどちらもあります。実は私は日本、米国、欧州の3 PSNのIDを持っているのです...

そしてSkookie氏の30の質問(「なぜ不公平ないわゆるリージョン・システムを使う必要があるのでしょう。5年物間、コンテンツについてEUはSCEAやSCEJと同じだけの愛を注がれていないのですが?」を含む)に答えて、吉田氏はゲーマーに何を望むかには注意が必要だと示唆した。

「複数の言語、複数の小さな国々をなんとか回していくのは、大きな一つの国を管理するよりはるかに効率が悪いのです。ユーザーは何を望むかには注意が必要です。すべての地域が一つだけの、一番大きな国の視点で管理されたとすれば、乗り心地は悪くなるでしょう。

「地域毎の運営に強い地域代表を持つことは、市場のニーズに応える上で素晴らしいことなのです。」

欧州のPSストアのCounter-Strike: Global Offensiveがどうなっているのかと思っている人には、吉田氏のコメントは多少は慰めとなるだろう。Counter-Strike: Global Offensiveは、8月21日にXboxではグローバルに、PSストアでは北米で発売された。これはもう2ヶ月近く前のことだ。

Valveは最近、このゲームが欧州でもPS3に発売されるだろうとEurogamerに語ったが、ソニーは、これまで再三の要求にもかかわらず、コメントを控えている。


NS: Eurogamer
http://www.eurogamer.net/articles/2012-10-19-dont-like-the-way-sony-runs-the-playstation-store-you-should-be-careful-what-you-wish-for-says-yoshida


みらい的コメント:

例えば以前、Xboxでぎゃるがんに微妙な(ゲームの性質から言えば致命的な)規制がかかったこともあるし、グローバルでの統一ポリシがかならずしも良いことばかりではない、というのは事実だろう。ゲーム以外でも、日本人から見て奇矯なルールに縛られるUSの企業は実際あるし、マクドナルドや7-11やオリエンタルランドが成功したのは、グローバルのルールを単純に採用しなかったことにあったこともまた事実だろう。

だが一方で、運営主体がリージョンで分かれることのデメリットははっきりしている。コンテンツの違いやリリース日の遅れはもちろん大きいし、デベロッパから見れば、申請先が複数で承認基準もバラバラというのは、特に中小には敷居が高い。

少なくともデベロッパからの受付と契約の窓口を一つにし、承認基準を基本的には一本化することで、一回の交渉でグローバルに出せるようにすることはソニーにとって急務だろう。
インディー系のデベロッパはAppleやGoogleを基準にしてソニーのサービスを判断するのだし、入り口の時点で差がついているようでは、デベロッパのリソースを巡るモバイルとの戦いに勝ち目があるはずもない。

デベロッパに向けたソニーのサービスが向上すれば、ユーザから見たイライラするような地域間の格差も少なくなるだろう。PS Mobileではそれがある程度実現されているのだし、決してできない話ではないはずだ。

率直に言って、多少なりとも海外に目が向いているPSユーザはほとんど全員、リージョンの壁に心からうんざりしているのではないか。「市場のニーズに応える」ことを言い訳にするのはいい加減やめ、デベロッパ(と結局はユーザ)へのサービスの向上に取り組むべきではないか。それこそ、ワン・ソニーとはそういうものだろう。