Reggie Fils-Aime氏インタビュー(Gamesindustry) | みらいマニアックス !

Reggie Fils-Aime氏インタビュー(Gamesindustry)

Wii Uロンチに関する、Reggie Fils-Aime氏とのインタビュー。

原文が長文のため、一部のやり取りは一問一答にサマリーしている。一行コメントとした箇所は、できるだけ原文の趣旨を殺さないよう心がけていはいるが、直接の発言ではなくその正確な逐語訳でもないので、この点は留意いただきたい。正確な発言内容を知りたい向きには、原文の参照を推奨する。


Q:(Gamesindustry)今回発表された価格の根拠は。利益は出ているのか。
A:(Reggie Fils-Aime氏)消費者の求める価値へとアプローチする際には、消費者に対して、支払ってくれる分よりもずっと多くを返すのが我々のやり方だ。ベーシックセットであれば、ゲームパッドにある革新性を、ゲームコミュニティの面ではMiiverseを、TViiを、ビデオチャットを手に入れることができる。これらのすべてはベーシックセットに含まれている。我々は299ドルは本当にしっかりした価格だと思っており、これからも長期間、しっかりした価格であり続けることになる。

それが我々のもう一つの価格哲学につながる。我々は、一度価格をつけ、すぐその後に値下げをするようなことは信じないのだ。我々は3DSでそれを行わざるを得なかったが、それは我々にとって大変に苦しいものだった。我々がWiiを249ドルとし、たしか3年と半年間それを据え置いたことは、我々の価格哲学に大変よく沿ったものだった。

利益の点で言えば、我々は製品別の内部損益についてコメントはしない。だが哲学としては、当初は僅かな額であったとしても、ハードで利益を上げることを信条としている。我々はハードウェアで多くの損失を出すことは信じない。私は3DSを育ててきた。値下げの後、我々は3DSのハードウェア上で損失を出すようになった。それは株式公開後の最初の営業損失につながったのだ。

Q:業界の反応については聞いているか?
A:聞いていない

Q:EEDARのJesse Divnich氏は、 コアゲーマを追いかけることはなさそうだと言っている。
A:彼はCoDもアサクリもあることを知るべきだ。

Q:Divnich氏はXboxのベタ移植ではダメ、Pachter氏はソニーとMSが値下げする、と。
A:どちらも我々の製品とは世代が違う。

Q:もっと安い価格が期待されていたと思うが、それについてどう思うか。
A:最終的には、消費者が決めるだろう。そこでこの情報をシェアしよう。我々は価格を発表し、予約を取っている多くの小売業者が沢山いるが、そういった小売業者から予約の引合いが極めて力強いことや、店舗での消費者の盛り上がりを耳にしている。結局のところ。私はそういった人々の声を気にする。予約におカネ払い込んでくれる消費者を、彼らに大きなバリューを手渡せるのかどうかを気にする。手に入れたいくらかのレポートから、答えはイエスだ。

Q:価格についてこだわるようだが・・・
A:価格は問題ではない。

Q:タブレットユーザのように、ハードよりもソフトに低価格を求める傾向がある。どう思うか。
A:ハードウェアについて我々の信じるところは、一番お手ごろな価格にしたいということだ。それが、競合他社のように追加での請求を行わない理由だ。また、それがビデオチャット機能、カメラ、例えばそういったものををゲームパッドに盛り込んだ理由でもある。この点から言えば、ハードウェアをできるだけ長いことできるだけ確りしたものにするようにしたいのだ。

ソフトウェアの点では、一連の範囲、一連の価格のゲームを提供していることが重要だと言いたい。今日ここに、我々は3つの異なったデジタルのゲームをご紹介している。価格は発表していないが、フルプライスのゲームよりも間違いなく安いものになる。デジタル·コンテンツの小さなタイトルであれ、消費者がWii Fit Uを買うときであれ、消費者が払うおカネと消費者が得るもののバランスが、できるだけ確りしたものであるようにしなければならないのだ。

Q:例えばニンテンドーランドのデラックスパックへのバンドルか。
A:そうだ。

Q:ニンテンドーランドを、スポーツではなくゲーマーにもアピールする内容としたのはなぜか。
A:Wii Sportsを投入したときにも、ゲームそのものとは無関係な点についての反応が多かった。(笑)

Q:ニンテンドーランドはそのことへの反応だった?
A:いくつかについていえばそうかもしれない。我々の考えでは、任天堂のIPを活用した、12のアトラクションがある任天堂ランドは、任天堂のキャラクターにプレイヤーのMiiを入れることができるのだが、これは素晴らしいと思う。なぜならゲームプレイの幅は完全に広く、あるものはシングルプレイヤーであり、またあるものはマルチプレイヤーなのだが、それらのゲームはさまざまな方法でゲームパッドを使用しているためだ。我々の考えでは、任天堂ランドはプレイヤーがゲームパッドを利用するすべてのさまざまな方法を一番よく表している。だから任天堂ランドを含めることにしたのだ。プレイヤーはNinja Starsを投げるために使ったり、メトロイド・シップを飛ばすためにゲームパッドを使ったりするが、これらのゲームプレイはゲームパッドを利用する全ての異なる方法を本当によくハイライトしている。このことが、任天堂ランドが同梱に一番向くタイトルだと思う理由だ。

そうは言っても、消費者はNew Super Mario Brosにものすごく興奮しているのか?間違いない。消費者は ZombiU やCall of Dutyや手に入であろう全てのすばらしいタイトル群にものすごく興奮しているのか?間違いない。だが我々は任天堂ランドは非常に戦略的な目的に対するものだと思うのだ。

Q:これまであった「マリオはないの?」「ゼルダはないの?」といった声にかわって・・・
A:マリオ漬け?

Q:そう、マリオを使い過ぎているというリスクはないか。
A:断言するが、ノーだ。宮本を始めとした我々のEAD開発組織全体は、我々のフランチャイズの力を理解している。フランチャイズが力を持っているただ一つの理由を理解し、続編の作品たちはそれぞれに異なった、ユニークなもので、何か新しいものを提供できているようにしなくてはならないということをよく分かっている。もしもそうしなければ、金の卵を産む金のガチョウを殺してしまうことを彼らは知っているのだ。彼らはこのことをとてもよく認識している。経営側にいる役員でさえもだ。我々はIPを非常に大切にしており、シリーズのすべての作品が根本的に健全であるようにしているのだ。

Q:NES以来、任天堂は世代の先頭を切ったことはない。これが最初だ。
A:マリオも付けて?

Q:そう、マリオも付けて。Wii Uが先頭をきるという利点をどう生かすか。
A:持っている資産のすべてをレバレッジするのは我々の責任だ。ゲームパッド等のハードウェア資産、Miiverseと任天堂TViiのような新しいサービス資産、すばらしいソフトウェアラインアップ...それらを出来る限り力強く活用し、消費者がわくわくして「このハードを買おう!このゲームをプレイしよう!」といってくれるようにする、それが我々の責任だ。それが我々がしなければならないことなのだ。競合他社が違ったタイムテーブルの上にいるという事実、それは彼らの問題だし、彼らが対処しなければならない問題だろう。我々にとっては、常に我々の頭にあるのは、Wiiに続くものはしっかりした何かでなくてはならないということだ。素晴らしいゲームのラインナップがあり、非常に強力な3rdパーティのサポートがあるものだ。それが我々が力を入れて届けようとしているものだ。

Q:本当の意味でのロンチタイトルはいつわかるか。ロンチ期間はどんどん長くなっているが。
A:ロンチ期間は3月末までだ。本体の発売日が発表になったので、リリース日程が最終化されているところだ。

Q:今年の11月にはiPhoneやKindle Fireといった強敵がいる。
A:大丈夫だ、問題ない。任せておいてくれ。

Q:複数のゲームパッドを使うことについて。日本ではバラ売りもするそうだが。
今回の発表で、2つのゲームパッドのゲームがなかったのは、2つのゲームパッドを動作させる技術上の方法がパブリッシャに伝えられたのが、今回の一連の開発の後になったためだ。だからこれらの二つのゲームパッドによるプレイはその内にお見せできるだろう。そういったゲームが登場する際には、別売りのゲームパッドを発売する。

考えてみてほしい。ロンチを準備していたとき、片やコンソールを、片やゲームパッドを作らねばならず、小売店で販売するためにそれらを一緒にして梱包もしなければならない。マーケットのどんなゲームもサポートしていないゲームパッドを組み立てるために在庫を使ったならば、ロンチで発売するための手持ちの在庫を減らしているだけということになってしまったろう。

Q:ロンチではゲームパッドのバラ売りはないか。
A:ない。

Q:F2Pが勢いをましている。Wii UでのF2Pについてはどうか。
A:F2Pやその他のビジネスモデルは、ビジネスモデルそれ自体と、そのビジネスモデルの上でのコンテンツとに分ける必要がある。ビジネスモデルについてはどんなものであれ大いに好んでいる。フルプライスのゲーム、小さなデジタルコンテンツ、F2P、消耗コンテンツ、サブスクリプションサービス...我々はそういったもの全てを大いに好んでいる。良いニュースは、Wii Uをサポートするシステムは、これらのビジネスモデルのすべてに対応するということだ。その点については、自分がやりたいものについてそれが何であるのかを把握するのは、デベロッパとパブリッシャーの仕事だ。

コンテンツについて言えば、我々はコンテンツがビジネス·モデルと一致していることこそが重要と信じている。そして今日トラブルを抱えている人々の一部は、私が思うに、F2Pである何かを含むことで、コンテンツがビジネスモデルに一致していないという例なのだ。だが私はそれには興味を惹かれないし、将来の購入に対して現実におカネを費やさねばならないようなゲームに深く首を突っ込んではいない。それは良くないビジネスモデルだ

Q:誰のことを言っているのか。
A:特定の競合ではない。上手くいっていない例もあるということだ。

Q:ソーシャルに頭から突っ込んでいかないことにホッとしているか。
A:知っての通り、我々は非常に思慮深い会社だ。我々はこの世界で30年以上にわたって活動してきた。我々には、消費者がゲームで何を望むかについての極めて強固なものの見方がある。そしてそれが我々の思考を動かしているのだ。

Q:競争の激しさから、今回のロンチの重要性は極めて高い。プレッシャーを感じるか。
A:競争が激しくないことなどかつてなかった。それが我々の仕事だ。

Q:心配か。
A:いつだって。だがそれは問題ではない。任天堂の革命的なイノベーションをユーザに届けるときには、どんなに完全でも完全すぎるということはない。心配しているのはそれだけだ。


NS: Gamesindustry
http://www.gamesindustry.biz/articles/2012-09-14-wii-u-interview-reggie-explains-why-USD299-is-a-really-strong-value


みらい的コメント

コメント欄でご指摘をいただいているので、冒頭にも書いているが、念のため注記。

このエントリの一行コメントは(原文が本当に一行のものもあるが基本的には)、Reggie氏やGamesindustryの記者氏が直接発言した言葉ではないし、その正確な逐語訳でもない。Reggie氏のコメントを元に、こちらで理解した限りでの発言の趣旨を短く1行にまとめたものだ。ご留意いただければと。

なおサマリーではない訳文を一行コメントに変えたものについては、元の一行コメントのほうは傍線削除としている。

以上、よろしくくお願いいたします。


追記

重要と思われるコメントは、一行コメントから全文訳に一通り変更した。
これにあわせ、読みやすさの観点から、変更前の一行コメントを取り消し線で削除していた箇所を削除した。