念願の引越しが終わり
怖い祖父から解放され
ひいおばあちゃんと母との生活が始まった。

ひいおばあちゃんは私を愛してくれていたし
私のワガママも聞いてくれる
大好きなおばあちゃんだった。

ただ、毎日のように23時の閉店まで
蒲田駅にあるパチンコ屋さんに行っていた。

給食のない土曜日、学校から帰る途中
家の近くからカレーの匂いがして
”もしかしてウチ?!もしかしてカレー?!”
と思って自宅のドアを開けると誰も居なくて
隣の家だった・・・ということなんて年中で
引っ越しても家庭環境の淋しさはあまり変わらなかった。

引っ越し後は母も時折帰って来てくれるようになり
少ない時は週1~2日、多い時は3~5日
朝方に帰ってきて、夕方起きて支度をし
18時頃仕事のために出かけて行く
そんな生活スタイルだった。

母がお店に行く時は、駅まで一緒に行って
母が電車に乗って見えなくなるまで
ホームの下からいつも見送りに行っていた。

そんな毎日の中で、もちろん私はカギっ子だったし
学校を終えて帰っても誰も居ないことは当たり前だったし
たまに帰った時に母が居て寝ていたりすると
それはそれはとてつもなく気を遣ったものだ。

寝ている時はとにかく静かにしていないといけなくて
テレビなんて見ようものなら
ものすごい剣幕で怒られたものだった。

基本ヒステリックな母なので
母がいる日に学校から帰ってテレビが観たい時は
イヤホンで観ていたものだ。

ある時、母がいるとは知らずにお友達を連れてきたら
お友達の前でとっても怒られ
泣きながら家出したこともあった。

とにかくヒステリックな母で
私はよく怒鳴られた。

「あんたなんか産まなきゃ良かった!」は
怒られる時の決まり文句。

小学生だった私はただ悲しくて
言い返すこともできず
それを言われた後
ベランダでひとり包丁を手首に当てて泣いた。

今でもその時の光景は目に焼き付いていて
小学校3年生の時に
初めて本気で”死にたい”と思った・・・願った。

もちろん、その言葉だけに反応した訳ではなくて
それまでのツラい体験が土台を作り上げていて
その言葉が決定打だった・・・そんな感じだ。

「あんたなんか産まなきゃ良かった」
同じようなことを親に言われたことがある人は
とても多いと思う。

「みかん箱に入って捨てられてた」とかも
『親から言われた酷いセリフBest10』があったら
ランクインするかと思うが
「あんたは捨てられていて拾ってきたのよ」
はもちろん、よく言われたし
きっと私の母オリジナルだと
「本当は6つ子だったんだ。だけど、
他の子はみんな死んじゃってアンタだけ生き残ったの。
アンタじゃなくて違う子が生きてれば良かった」
なんてものもあった。

ま、その手のセリフは大体制覇しているということだ。

中でも、一番本気で怖かったのは
当時日本映画で3人の子供をアチコチに捨てていく
っていう映画があって、誰が出てたかとか覚えてないけど
東京タワーやデパートなどで子供を順番に置き去りにして
捨てていくっていう何とも暗いストーリーの映画があった。

母とその映画を観た日から数ヶ月間、
度々「さおちゃん、東京タワー行こうよ」
と言われ続け、”捨てられる!” と
しばらく本気で恐怖だったのを覚えている(笑)

今思えば、決して私が嫌いだったわけではなくて
きっと夜の仕事をしながら私とひいおばあちゃんを
養っていくのに色々なストレスがあったのだろうと思うし
恋愛などでも色々あったのだろうと思う。

きっと私がストレスのはけ口だっただけなのだと。。。

だけど、まだまだ子供の私にそんなこと理解出来る訳も無く
それまでの色々な傷や劣等感をベースに
母のこのツラい言葉たちと、いつ怒り出すかわからない不安が
心の歪みと自己肯定感の低さを
どんどん作り上げていってしまった。

そんな小学校時代、
たまに夕方母が一緒に銭湯に連れてってくれたり
近所の喫茶店にご飯を食べに連れてってくれたり
そんなこともあったけれど
基本的には、夜はいつもひとりぽっちだった。

一人でご飯を食べ
一人で銭湯に行き
帰ってきて一人でテレビを観る。

歌が大好きだった私は、ザ・ベストテンが大好きで
好きな歌をカセットテープに録音しては
コタツの上をステージにしてひとりで歌を唄ったり
淋しさを紛らすために色々な空想ばかりしていた。

”もしウチにドラえもんが来たらどこから来るかな??”と
本気でドラえもん歓迎対策を練ったり、
”もしライオンを飼えたら、友達が私をからかわなくなるかな?”
とかとか。

一人っ子で、夜ひとりぽっちでいると、
自然と空想が唯一の楽しみになるのだ。

たまに、ひいおばあちゃんが
お弁当を作って置いてくれてたこともあったけど、
何も無い夜は、カップラーメンを自分で作ることもあった。

そんな小学校低学年、
私が自転車に乗れるように教えてくれたのは、
もちろん父でも母でもなく、
ひいおばあちゃんが連れてきた
パチンコ屋さんの店員のお兄ちゃんだった。


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