レジュメ配りでの職探しは、職が見つかったという点では一応成功したが、あろう事かバリバリの違法賃金で尚且つボスの人間性も酷いというハズレ中のハズレを引いてしまった。初日ではボスがいわゆる英語のなんちゃって上級者である事が判明したのだが、これは単なる序の口に過ぎなかったのは前回の記事で書いた通りだ。
勤務2日目にして、早速暴言がエスカレートした。前回でも触れたように、こいつの英語はもの凄く発音が悪くて極めて聞き取りにくく、何言ってるのかわからない事がよくある。だから聞きなおすのだが、「一回で聞き取ってさっさと俺の指示通り動け」と逆ギレされる。でもわかんないものはわかんないし、しょうがないから「たぶんこうしてほしいのかな~」とヤマ勘で動くのだが、指示されたこととは違ったことをしていたらしく「そんな事は指示していない」とまたキレられる。そして早くも「死ね」等の、より過激な暴言も飛び出すようになった。
さらにもう少し経つと、奴の暴力的な態度は言葉だけでは済まなくなってきた。ある日の勤務中、冷蔵庫からわさびを出せと言われたので探したのだが、見当たらなかった。その前の日にわさびがあった場所を見てみてもそれらしきものがない。何故かこの日は中に入っているもののレイアウトが変わっているようだ。しかもわさびをはじめ、ネギやトマト、キュウリなどは同じようなプラスチックの容器に入っているのだが、ラベルが貼られておらず全部同じ様に見えるため、どこに何が置かれているのかは記憶を頼りにして探さなければならない。そんな中でレイアウトが変えられていたらお手上げだ。すると奴は昨日僕がわさびを取り出していたエリアとは全然違う所からわさびの入った容器を取り出し、「これだ、これ!しっかり見てよぉく覚えろ!!」と声を荒げ、容器を僕の目の前スレスレ(1cm前ぐらい)まで突きつけたのだ。
【想像図】
ボス:「これだよ、これ!よぉ~く見て覚えろ、コラァ!!」
ポスト君:「そ、そんなに近づけられても逆にわからんでゴンス……。」
このような話を聞くと、軍隊の鬼教官のような、いかつくて怖ーい風貌の人なのかと思うかもしれないが、実際は全く違う。見た目だけのイメージで言えば、どこにでもいそうな、一見大人しそうな青年といった感じだ。実際、勤務中に業者の人が出入りしていた時など、外の人に対する時の態度はわりとまともで、誰に対しても同じように威圧的な態度を取っているようには見えなかった。恐らくこいつは僕の事を相当舐めてかかっているのだろう。別に忙しくないときでも、出勤時や退勤時に挨拶してもまともな返事返ってこないし。
はっきり言って、僕は中くらいのザンギエフなどとは違って迫力のある第一印象を与えるような人間ではない。一応高校の部活は体育会系出身だが、僕自身は体育会系的な雰囲気は出していないし、普段はどちらかというと寡黙なタイプだ。そして僕は相当着痩せするタイプの人間で、服を着ていると実際の体重より10~15㎏ほど痩せて、かなりヒョロヒョロな体格のキャシャリンに見られる事が多い。別に今時の若者のようなファッションセンスでビシッと決めているわけでもなく、地味な服装で普段はメガネ。パッと見リアルのび太君に見えるかもしれない。もしかしたらそれで奴が図に乗っているのかもしれないな。だとしたら、奴は自分より弱い(ように見える)相手を前にした時にのみやたら強気になるスネ夫といったところか。うむ、そうだ。奴はスネ夫ちゃまだ。こんなスネ夫ちゃまの下で働かなければならないような職場は間違いなくタイプCの職場ですな。
タイプCの職場とは、僕が勝手にカテゴライズしたジャパレスのタイプの1つだ。タイプAはしっかりと労働基準法を守った経営で、給料などの勤務条件が良く、尚且つ職場の人もいい人という申し分なしの職場。タイプBは時給が最低賃金に届かない等なんらかの形で違法な経営ではあるが、上司や同僚が良い人たちで職場の雰囲気はいいというパターン。そしてタイプCは今回僕が働くことになったジャパレスのように、モロ違法でほとんど稼げず尚且つ人も悪いというロクでもないコンビネーションの所だ。
僕はジャパレスで働く場合は、その職場がA,B,Cのどのタイプに属するかによって対応を変えようと、実際に仕事をゲットする前から予め決めていた。タイプAならそのまま普通に一生懸命働き、いられるだけその職場にいればよい。タイプBの場合はその時その時の状況によってどのぐらいの期間そこで働くのか様子を見ながら決めたいが、少なくとも辞める時はボスにもできるだけ配慮をして、角が立たないように、円満に辞められるようにする。そして今回のタイプCだが、こんなもんは踏み台にするヨロシ。今回のジャパレスも一応次の仕事を見つけるための踏み台としての利用価値ぐらいはあるわけで、そこは存分に活用するために、勤務開始日から数えて1週間ちょいまでは我慢してここで働く事にした。ロクデモない職場なのに何故その時点でさっさと辞めず、勤務開始から1週間ちょいまで待つのかというと、このジャパレスで働き始めたのが8月の最後の週であり、1週間ちょっとして辞めれば9月の始めに辞める事になるからだ。オーストラリアで履歴書を書く時の職歴の欄は1か月単位なので、Japanese Restaurant ○○、August – Septemper 2014といった具合に書くことになり、履歴書を渡された人からすればパッと見2か月ぐらいここにいたかのような印象になるわけだ。なので、Augustだけ書くのとAugust-Septemberと書くのでは一目見た印象が違ってくるはず。
こんなしょーもないジャパレスでも、あと1週間だけは利用価値があるから我慢してやるが、それが終わればこんな経済的にも人間的にもダメな所は用無し。あの憎きスネ夫ちゃまにも目にもの見せてやれるというわけだ。ヌッフッフッフ(^ω^)それまでの間は僕はのび太君に徹する。ドラえもんがいなければジャイアンはおろかスネ夫にすら反抗できない、か弱いのび太君を演じ続けるのだ~。