結婚したふたりの男女が

それぞれ配偶者以外に

恋人を持つ事態も世の中存在する、

という現実認識のもとに育った

子供(10歳)に対し、いかにして

「あー、私はそういうのナシなんです」

という己の価値観を説明できるか。


昨日の話 の続きです。


これはですね、ポイントは

「己の価値観を説明しつつ、

が、同時に、彼女の両親に対して

否定的なことは

絶対に言わないようにする」、

この基本の保持にあるわけなんです。


これで相手が成人した大人なら

「ああ、そういう考え方もあるけど

私の考え方はこうです、

あれですよね、人は人、我は我、

されど仲良し、ハッハッハ

とさらりと話を流せるのですが。


「Norizoは夫君以外に

ボーイフレンドが

欲しいと思ったことないの?」

そう尋ねるお嬢さんの

瞳のなんと澄んでいることよ。


「あー、ちょっと待ってね、思い出すから

・・・ないね、結婚以降そんな望みを

抱いたことは実際一度もないね」


「どうして?」


「だって君、私の心の中では

わが夫こそが

わがボーイフレンドなわけだから。

ボーイフレンドというのはあれでしょ、

自分がその時

一番好きな男の子のことでしょ?」


「そう」


「私が一番好きな男の子は

今も昔も夫だからな、

結婚以来、いや、結婚前から、

これだけ本気で愛情を傾けた異性は

私の人生で彼以外にはいないと断言できる、

あまりにも夫のことが好きだから

他の男のことなんぞを

考える余地が脳内にないわけです」


ひどく真剣な表情をして

私の言葉を吟味する英国女児10歳。


スコットランドひきこもり日記-なんだろう今日のこの暑苦しい内容は


「でも・・・たとえば、そのときは

すごく相手のことが好きでも、時間がたつと

その気持ちが変わっちゃうこともあるでしょ?」


「うん、ある。それはその中、そういうことはある。

そういう時に恋人同士が別れを選択するのは

間違ったことではない、と私も思っている」


「もしも、もしもね、そういうことが

Norizoとか夫君に起こったとしたら、どうする?


ああ、それはわが夫がうっかり

不倫に手を出した場合のことかい?

それはね、発覚した次の瞬間に私は逆上し

刑事犯罪人への道を踏み出す予定だよ!

監獄ではFBI心分析官の面接を

素直に受け入れるつもりでいるよ!

FBI心理分析官


・・・なんてことは絶対に

子供に言ってはいけないことなので、

「そういうことが起きちゃったら仕方ないな。

そういうことは起きて欲しくないけど、

でも人生って起きて欲しくないことも

時々は起きるもんだしね」


「そうしたら、そのあと、Norizoは

新しいボーイフレンドを見つけると思う?」


「さあ、どうかなあ。特に欲しいとは

たぶんしばらくは思わないだろうね」


「どうして?好きな人がいないと

人生つまんないでしょ?」


うーん、お嬢さん、

君は本当にすごいことを言うなあ!


しかしね、それはね、世の中

『圧倒的に異性にもてない』経験を

積んできた人間というのが存在してね、

そういう人は精神安定のために

無意識のうちに恋愛ごとに

人生の重きを置かない生き方を

身に着けるものなんだ、私のようにね!


・・・と、また、こういうことも

人生これからのお子様に言ってしまっては

美しい夢を潰すことになりかねないので

そこはぐっと言葉を飲み込んで

「うん、あのね、生きているうちにね、

好きな人を何人も見つけられる人もいる、

そういう人はそういう人で幸せなのだろうし、

私からするとタフな精神を持っていると思う、

幾度も他人に愛を示すことが出来るのは

それは強さだ、私の言っていることわかる?」


「わかる」


「その一方でね、人生に

恋愛的な意味で好きな人は

一人だけ存在すればじゅうぶんだ、という

考え方をする人たちもいる。

そういう人にとっては

他人を愛するなんてことは

生きている間に一度だけの出来事だから、

もしかしたらそんな経験は

一度もないくらいの話だから、

そんな機会に恵まれたらそれはもう

なるべくその関係を大事にしようとするし、

その期間をなるべく長く保とうとする。

子供には難しいことを言っているかな?」


「大丈夫、わかる」


「それでだ、私は後者のほうの人間なの。

生きているうちに好きな人を

一人見つけられただけでも

非常に幸運だと思っているし、

しかも自分が好きになった相手が

私に好意を抱いてくれているなんて

こりゃもうお嬢さん、奇跡ですよ。

そして人生、奇跡なんて

二度も三度も期待できるもんじゃないでしょ」


「じゃあNorizoのボーイフレンドは

これからもずっと夫君ひとりなの?」


「そうなれば幸せだよね。

でも何度も言うように、世の中

何が起こるかわからないから、

そうはならない可能性もある。

だったらそのぶんも、なるべく今は

この関係を大事にしたいと思うわけだ」


もうさあ、これだから

子供相手の会話というのは

嫌なんですよ!


大人同士だったら

「Norizoさん、浮気とか考えないの?」

「考えないな、こう見えて私は

一度恋に落ちるとしつこい上に

嫉妬深いんですよ、怖い怖い!」

5秒で済む会話じゃないですか。


でもまあ、全体としては

及第点な論旨展開じゃない?

放送コードにひっかかる単語も使っていないし

極端な価値観を押し付けもしていないし

『子供に対する大人の態度』として

世間の非難を浴びることはないと思う、

うん、よくやった、自分!

と己を褒めていた私に、英国女児は

なんとも奇妙な質問を投げつけてきたのであった!


「Norizoがそういう考え方をするのは

それはNorizoが日本人だからなの?」


そんな質問にどう答えろと。


明日に続く!



私は別に言うほど子供好きではないな、と

最近認識を改めているところなんですが、

自分が子供だったころに周囲の皆様に

かなり誠実に接してもらえていた記憶があるので

こういうときにそうした経験の

『おかえし』をしたいと思ってしまうのです


自分の言葉に普段の二割増しくらいで

より誠実でありたいと思ってしまうというか

しかし私のそうした真意はともかく

対する子供にしてみたら

渾身のアフリカンダンスを屋外で踊った

その数分後に真剣な顔で

愛について熱く語る変な外国人、それが私


キャラクター確立って難しいですよね


お帰りの前に1クリックを

人気ブログランキングへ


スコットランドひきこもり日記-お願いします