さて、物を捨てるときの

あの寂寥感が嫌でたまらない故に

事の発端である買い物それ自体を

そもそも好まない私。


夫(英国人)はある意味私の上を行きます。


私もお洒落ではまったくないほうですが

夫はさらに筋金が入っておりまして。


夫が16歳くらいのときに

『とても着心地がよくて機能的な

(当然モードとかファッションとは無縁の)』

ボタンつきのシャツを見つけたとかで。

そこまでは何も問題もない話なんですが、

夫の場合、そこでそのシャツを

ダンボール2箱ぶん買い込みまして。

それを今でも大事に着ている、という。


つまりですね、

まったく同じデザイン・色のシャツを

ダース単位で持っていて、

そのうち3、4着を普段着にしておりまして、

それがくたびれてきたら実家に持って行き

その後は野良着として扱い、

で、代わりにその呪いのダンボールの中から

まだ袖を通していない

新しいんだけど古いシャツ

引っ張り出して帰ってくる、という・・・


本当にお洒落な英国紳士は

同じ裁断、同じ布地の背広を

何着も持っているとか言いますが、

夫のこれはそれとはちょっと違うと思うの・・・


おかげさまで学生時代に出会ったときから

現在に至るまで

夫の服装には全然変化がございません。

過去10年間で

追加されたニューアイテム

『フリース』くらいのものなんじゃないか、と。


しかしそんな夫が

唯一興奮して購入に向かうもの。


それが靴です。


革靴は数足を履きまわさないと

手入れが難しい、とか

登山の際には専用の靴が必要、とか

そういう基本は私だって理解しております。

スーツに合わせるための靴が

常に数足用意されていることに

何の文句もありません。


ただ疑問なのは、だ。


夫は山を登ったり谷を走ったりするのが

たいそう好きなわけですが、

登山靴って夏用と冬用の2種類が

どうしても必要なものなんですかそうですか。

で、何故『夏用』が2足あるんですか。

そして走るといえばランニングシューズ、

『アスファルトを走る用』の2足に加え

『山を走る用』が1足。

これとは別に

『ウォーキング・シューズ』もあり

『自転車専用シューズ』とかいうものまであり・・・


ついでにスカッシュ用のシューズは

何故か合計4足ある、という・・・

4足って・・・夫は自分の足が

何本あると思っているのだろうか。


おかげさまで我が家の靴入れは

夫のシューズで溢れています。


ランニング用シューズに関しては

『凍結した山道用』のシューズが

今後欲しいらしいですよ

・・・そういう日は山になど行くな、と。


で、さきほど

ハイランドを旅行中の夫から電話がありまして。


「もしもし、妻?あのー、僕、

今日ちょっと買い物をしたんですけど」

「うん、何を買ったの?」

「な・・・長靴を・・・」

「お前・・・また靴か・・・」

「あのね、でもね、すごくいい長靴なんだよ?

履きやすいし防水はしっかりしているし!」

「いいんですけどね、で、それを

今後どこに仕舞っておくつもりなんですか」

「靴箱に」

「靴箱はすでに貴方の靴でいっぱいです」

「じゃあ用具入れに」

「用具入れも貴方の

ランニングシューズで満杯です」

「ちゃんと僕が片付け場所は見つけますから!」

「・・・」

「あの・・・怒ってる・・・?」

「いや、怒っていないよ、

貴方は基本的に無駄遣いをしない男ですし。

確かに靴が好き過ぎる面はあるが

別に意味もなく買い集めているわけでもないようだし、

私には理解できない理由

基づいての行動であるだけで」

「あの・・・ごめんね・・・僕のことは今後

イメルダ・オットと呼んでくれていいよ・・・」


よし、いい開き直りだ。


というわけで夫の靴コレクションに

新人が加入した模様です。



登山とかランニングが好きな人は

皆さんこんな感じなんでしょうか

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自分ばかりが次々靴を買うことに

どうやら良心の呵責を感じるらしい夫は

私に対して強く

冬山用の登山靴を

購入することを勧めてきます

夫よ、その気遣いの方向は間違っている