ハギスというのは

スコットランドの

伝統料理のひとつでして。


羊の内臓のひき肉に

カラスムギ、玉ねぎ、各種スパイスを混ぜ、

それを羊の胃袋に詰めたもの。


某シラク仏大統領が

あんなものを食う連中は信用ならん」

と言ったとか、

某ブッシュ米大統領が

エジンバラでの会合を前に

「まさか例のハギスが

晩餐会に登場したりはせんよね」

と懸念の言葉を口にしたとか、

素敵な噂ばかりが先行する幻の一品


ちなみにこのシラク発言に対し

当時の英国メディアは一斉に反発したらしい。

で、その騒ぎを受けて当の英国の外務大臣が

「いや、シラク氏の意見には一理あるだろ」

とか言って火に油を注いだらしい。


「ハギスを喜んで食べるのは

世界でもスコットランド人だけ」的な

意見も一部にはあるとの話です

(上記の問題発言をした外務大臣は

当然スコットランド人ではなくイングランド人)。


というわけで肝心のそのお味。


これね、

言うほど恐ろしい食べ物じゃ

全然ないですよ。

私は素直に美味しいと思います。


匂いはちょっと独特かもしれませんが

(かなり香辛料が効いている)。

あ、あと、スーパーで特売されているような

安いハギスは舌触りがいまひとつかも

(パサパサして

パルプを食べているような気分になる)。


で、このハギスの消費量が

一気に上昇するのが毎年1月25日。

スコットランドを代表する詩人

ロバート・バーンズの誕生日です。

『蛍の光』や『故郷の空』の

原歌詩を書いたとして知られるお方です。


今年はそのロバート・バーンズ

生誕250周年ということで

スコットランド観光当局は

様々なイベントを

各地で予定しているらしいのですが

それはさておき。


このロバート・バーンズが

『ハギスに捧ぐ(Address to Haggis)』

という詩を書いておりまして。

そんな縁から毎年1月25日の夜を

スコットランドでは「バーンズ・ナイト」と呼び

人々はハギスを食べるのです。


正式なお作法ではハギスは

バグパイプとともに入場するそうですよ。

で、バーンズの詩を朗読したり

スコッチ・ウイスキーを飲んだりして

参加者は魅惑のひと時を過ごすらしい。


我々夫婦は毎年略式で

詩の朗読もバグパイプもなしに

ハギスだけをもぐもぐ食べてしまうのですが。

今年は体重的な見地に基づき

スコッチ・ウイスキーも

キャンセルの運びとなりました。


というわけでこれがハギスです!



スコットランドひきこもり日記-コメントしにくいよね、このルックス

電子レンジにかけるとか

オーブンで焼くとか

調理方法は色々あるのですが

今回は茹でてみました

(近所のとあるお肉屋さんによりますと

電子レンジだのオーブンだのを使うのは

不適切らしいです、

茹でるのが本道なんですって)。



スコットランドひきこもり日記-鍋が焦げているとか言っちゃ駄目


水から火にかけて

沸騰したら弱火で45分

(大きさによって茹で時間は異なります)。


つけあわせは

ターニップ(かぶ)がお約束。

あとはマッシュポテトが望ましい、

が、マッシュするのが面倒くさいので

わが家ではもっぱら茹で芋が登場。



スコットランドひきこもり日記-私は芋への愛が薄いのかしら


えーと・・・すみません。


盛り付けますとこのような感じに・・・



スコットランドひきこもり日記-よし、何が悪かったか話し合おう

ああ・・・食べられない人が多いのも

頷ける外見ですね・・・って

これは写真が悪いんですよ!本当に!


しかしこう言ってはなんですが

このハギス、

味に比べて見た目が格段にアレなため、

スコットランドの一部ご家庭でも

「ママー!こ、こんな変な食べ物嫌だよー!

ていうか何なのコレ!怖いよー!」

とか泣き出す子供が時々いるらしいです。

そんなとき大人は慌てず騒がず

「これは『ハギス』っていう動物のお肉なのよ!

三本足で心のきれいな人にしか見えない

山奥に生息する不思議な生き物なの!」

とかなんとか言って食べさせちゃうらしい。

食べてしまえば美味しいものですから!はい!


私の心はもうかなり汚れてしまっているので

将来ハイランドの山奥で

ハギスを目撃することもないのだろうな、と。


ところでわが夫婦の借りている

アパートの大家さんはスコットランド人。

彼はこの1週間、

ほぼ毎晩ハギスを食べている様子です。

「一昨日は地域の

『バーンズ・ナイト』に参加してね、

朗読じゃないけどスピーチをしてさ、

けっこう緊張して食事を楽しめなかったから

昨日は家でハギスを作ったの。

ちなみに僕の奥さんはハギスが嫌いなのね、

だからそのハギスは半分残ったの、

今夜はそれを温め直して食べるんだー!」



スコットランドひきこもり日記-ビニールパック入りのハギスもあります

バーンズが

「腸詰族の首領」と称えたハギス、

皆様もスコットランドをご旅行の際

「Haggis」という文字が

レストランのメニューに載っていたら

ぜひ勇気を出してご注文ください。

その一歩を踏み出す価値は確かにあります!



いやそれにしても私の写真技術は

ハギスに対する冒涜だね

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わが夫は

イングランド人であるにもかかわらずの

ハギス好き


今回買い物を頼みましたら

夫めハギスを2個も買ってきましてね・・・

(1個が約2人前)

「だって2個買うと

特別値引きだったのですよ!」

我々は今週もハギスナイトの予定です