慰安婦高給・高収入・高額報酬説まとめ | 誰かの妄想

慰安婦高給・高収入・高額報酬説まとめ


ネット上にあふれる「慰安婦は高給取りだ~」「慰安婦は儲かる商売」「女子特殊軍属は破格の高給」「陸軍大将や総理大臣より高額報酬」とかの都市伝説に対し、色々検証してみました。


1.従軍慰安婦問題・慰安婦高額報酬説のトリック

2.都市伝説・慰安婦高額報酬説(追記)

3.慰安婦と軍票


結論から言うと、慰安婦の報酬が高額だったという確たる証拠はありませんでした。

慰安婦の証言に対し「裏づけのない証言は信用できない」などと主張する否定論者が、ろくに調べもせずに都市伝説を垂れ流している、という構図が浮かび上がった観があります。


調査対象は以下の通りです。


A.「アメリカ戦時情報局心理作戦班 日本人捕虜尋問報告」の記載(現物画像、原本テキスト、翻訳テキストからの検証)
B.元従軍慰安婦文玉珠氏の貯金に関する件(現物画像からの検証)
C.朝鮮での慰安婦募集のチラシの件(現物画像からの検証)
D.「関東軍女子特殊軍属服務規程」の記載(現物確認できず、伝聞のみ)



「A」「B」については、当該時期・地域における軍票のインフレ状況から高額とは言えないと判断できた。
「C」については、勤務地域・条件詳細が不明のため判断できなかった(高給とも薄給とも言えず)。
「D」については、伝聞として「月800円」「年800円」の2情報があり、現物確認まで判断を保留した。


上記中の不明事項・上記以外の根拠をもって、「慰安婦は高給取りだ」と主張される方がいるなら具体的な情報をいただけると幸いです(特に「関東軍女子特殊軍属服務規程」がどこで参照可能かご存知の方はいればご教示くだされば非常に助かります)。

なお、ここで高給と言うのは、内地での月給30~60円程度を指すのではなく、少なくとも月給100円以上として考えてますのでご理解ください。
石川啄木が「月に三十円もあれば、田舎にては 楽に暮らせると- ひよつと思へる。」と詠んでいるので、明治ごろの田舎なら月50円でも高給でしょうが(逆に月給30円でも都市部なら薄給だったのでしょう)、昭和初期の都市部では「昭和6年の政府の家計簿調査によると、都市部勤労者世帯の1か月の平均収入は86円」だそうですから、都市部で高給と言えば月給100円以上と考えてそう間違ってはいないと思います。