来年横浜で都市緑化フェアが開催されるそうですが(瀬上市民の森) | 首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

首都圏生きものめぐり ~関東の動植物に会いにいくぶらっと散歩~

雑誌編集者である著者が自ら首都圏の公園や自然地に足を運び、そこで出合った生きものの情報をお届けします。
都会の印象が強い東京にも、カワセミやタカ、多くの昆虫が暮らしています。「首都圏ってこんなに生きものが多いのか」と驚かされる情報が満載です。

全国都市緑化フェアってご存知でしょうか?
毎年日本国内のどこかで開催される、花と緑の展覧会です。
私が存在を知ったのは4年前。ちょうど東京で開催され、
仕事でも取材・撮影をさせていただきました。
その時は都内の6会場を舞台に開催されたのですが
具体的には「上野恩賜公園」「井の頭恩賜公園」「浜離宮恩賜公園」
「日比谷公園」「国営昭和記念公園」「海の森」の6つ。
いずれも本ブログで過去に紹介したことのあるスポットばかりです。
私のブログは、あの東京開催に大いに影響を受けているといっていいでしょう。

その後、2013年に鳥取、2014年に浜松、2015年に愛知で開催されてきましたが
2016年は大人の都合で開催されず、代わりに来年(2017年)春に横浜、秋に八王子と
2回開催されることになりました。無論、仕事で取材させていただくことになるでしょう。

とはいえ、このフェアで注目されるのはやはりお花畑が主体。
みなとみらいエリアがメイン会場となり、バラなどの美しい花で彩られます。
これ自体は集客の都合上当然のことかもしれませんが、本来横浜は自然林が多く保全され、
特に数々の「市民の森」は都市緑化という観点でいうならまさにうってつけのスポット。
せっかくのフェアで注目されないのは少々もったいないですね。
(サブ会場として何かやる可能性はあり、実際横浜自然観察の森には案内が出ていました)
ただ、過度に注目されてどっと人が押し寄せるのも困りものなので、
その辺は微妙な調整が必要なのかもしれません。一概に会場にすべきとは言えない面も。



で、そんな市民の森の1つである瀬上市民の森。円海山界隈の一角ですね。
毎年カワトンボとハンミョウの発生を確認するために、初夏に足を運んでいます。


 
モンシロチョウ(だと思う)がハルジオンで吸蜜中。
あまりに夢中で動かなかったので、正面から撮ったり軽く捕獲してみたりしました。
解放してやると指が真っ白。これはチョウを捕まえる時のお約束です。

こうしてクローズアップすると、あんまり可愛くないっすか?


 
小川の流れる散策路。半日陰環境を好むユキノシタが随所に生えています。
ザリガニもいるらしく、釣りに来ている親子連れをたまに見かけます。
ただし、舞岡ほど侵入してきてはいないようです。



前回更新に引き続き、テングチョウのご開帳シーン。今度は真上から。


 
小川の中の石に、ヤマサナエが止まっています。
サナエトンボの中では最もポピュラーで、その大きさもあってよく目立つ種です。
ここでは毎年コンスタントに見かけていますね。川の環境がヤゴの生育に適しているのかも。

左の写真では、下の石に止まっているのがわかりますでしょうか?






カワトンボももちろん健在。(アサヒナなのかニホンなのかはちょっと不明)
やはり小川沿いが多く、開けた瀬上池まで行くと若干遭遇率が落ちます。



鮮明に撮れたヤマトシリアゲ
しかも、お尻がクルリと巻き上がるという本種ならではの特徴が
これでもかと言わんばかりによく現れています。


瀬上池へ。最近畔に降りられる木道(桟橋?)が撤去され、釣りができなくなっていました。
エサで水を汚さないという点でいえば、これはこれで良かったのかもしれません。



池に向かう途中。足元に小さなカニの姿が!





泥にまみれて茶色くなってしまっていますが、これはサワガニで間違いありません。
(つーかこんな山中の小川にいるカニなんてサワガニ以外いない気もしますが)
まだ成長し切っていないのか、サイズはやや小さめ。
名前はよく知れ渡っていますが、実は本ブログで登場するのは初めてです。

遭遇率 … 2
インパクト … 3
美しさ … 3
俊敏性 … 3

小川流域なら何度も足を運んでおり、ブログでも紹介してきましたが
なぜこれまで一度もサワガニに出合えなかったのか?
その理由は、ある意味お約束といいますか夜行性の傾向が強く、
昼間は岩陰などに隠れてほとんど表に出てこないためです。
数自体はそんなに極端に少ないわけではなく、国のレッドリストにもカテゴリされていません。

一方、澄んだ小川がなければ生きていけない種として、清流の指標動物とされています。
この流域の環境が健全に保たれていることの、何よりの証拠といえそうですね。

トリビアですが、唐揚げやつくだ煮として食べられることが多いこのサワガニ、
生食は寄生虫感染の可能性があるため厳禁だそうです。あんまりする人もいないでしょうが(汗)




瀬上池沿いを歩いている途中、ナナフシに遭遇。
奥にぼんやりと、池の畔で遊ぶ家族連れが写っていますね。


 
ろう細工のように儚く、そして美しいモンカゲロウ(でいいのかな?)。
とても繊細な生きものです。持って観察する時も優しく、決して傷つけないように。



瀬上池の畔。よく子供達が昆虫を探しに来るスポットです。





食うのかヤるのか
どっちかにしろ





いました。お馴染みのハンミョウです。相変わらずの美しさ。
この昆虫、訪れるタイミングにより遭遇率が大きく変わり、
昨年真夏に来た際はほとんど見かけませんでしたが、今回はかなり多めでした。
ウッドデッキの上を歩いていることも多く、頻繁に足元から飛び上がります。





なかなか動かない個体がいたので、真横からも撮影。
あれ? お尻から出ている管みたいなの何だろ? 産卵管か?





アカスジキンカメムシも現れました。
カメムシの中では特に美しい上にデカいので、森の中でもよく目立ちます。
ハンミョウに準ずる勢いで“美しい”とされる昆虫ですが
(多分)カメムシであるという理由で敬遠される傾向にある模様です。





正面から。彼らは草木の汁を吸いますので、口に牙の類はありません。



ハンミョウにちなんで横からアングル。
ちなみにここまでの3枚を撮っている間、ほぼ微動だにしませんでした。
思い切り開けた草原のテーブルの上でボーッとしていましたので
あのままだと天敵に見つかるのも時間の問題に思えましたが……どうなったんだろ?
(彼(?)の意志でテーブルに乗っているようだったので、動かしませんでした。屁もされたくないし)





最後に、帰りがけに瀬上池脇のフェンスで見かけたカワトンボです。
この日一番鮮明に撮れたので、思い切ってビッグサイズで。

にしてもこのカワトンボといい、ハンミョウアカスジキンカメムシといい、
瀬上は美しい昆虫の宝庫です。あと、タマムシを撮影したこともありましたしね。
昨年でしたら、アオオサムシやトップのバナーに使っているカラスアゲハも美しい種。
まさしくここは森の宝石箱ですね。

来年の緑化フェア。派手な紹介までは望みませんが、
「横浜にもこういう場所がある」ということをフェア来場者に伝えていただき、
関東圏に残された自然の素晴らしさを一人でも多くの人に知ってもらいたいところです。



≪今日のカワセミ君≫



立入禁止エリアの中にいました。
外から撮ったので距離があり、写りに関してはお察しくださいのレベルですが、
これもまた、森の宝石箱の一員と言えるかもしれません。




【5/29 瀬上市民の森で撮影した生きもの】
鳥類・・・カルガモ、カワセミ、シジュウカラ
昆虫類・・・アオメアブ、アカスジキンカメムシ、アメンボ、ウラギンシジミ、オオスズメバチ、クリアナアキゾウムシ、コオニヤンマ、シオカラトンボ、シオヤアブ、ショウジョウトンボ、スジグロシロチョウ、タンザワフキバッタ、テングチョウ、トホシテントウ、ナナフシ、ニホンカワトンボ(?)、ハンミョウ、モンカゲロウ、モンシロチョウ、ヤマサナエ、ヤマトシジミ、ヤマトシリアゲ、ルリシジミ、ルリタテハ、ワカバグモ
その他・・・サワガニ、ニホンカナヘビ、ニホントカゲ、ミミズ