意見を取り入れてもらうには戦略がいる~ポスドク問題に関して | 行雲流水~へき地の一人病理医の日常

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兵庫県の赤穂市民病院に勤務する病理医です。学士編入学を経て医学部に入学し、2004年卒業。病理専門医、細胞診専門医です。

 相変わらず、ポスドク問題が発火していますね。柳田先生のところで火が点いたのはずいぶん前ですが、今は5号館のつぶやきが 主戦場のようです。


 ポスドク問題:自分たちでも動きだそう にトラックバックを出しておきます。


 立花さん大隅さん が述べているように、そして私自身本家ブログで散々述べてきたように 、当事者が何らかの活動をしないとどうしようもありません。それはずばり政治運動でもあります。きっと多くの皆さんが抵抗するでしょうが。


 大隅さんが述べている男女共同参画については、昨年男女共同参画学協会連絡会 のシンポジウムに参加して、その力強さを肌で感じてきました。今はJSTの有本さんの祝辞挨拶に、政策を動かした方々の行動の凄さを感じました。


 でも、簡単に当事者が動け、と言いますが、そう簡単なことではありません。何をやってよいかもわからないでしょう。


 そこで、すこしだけ本をご紹介しておきます。


アメリカに学ぶ市民が政治を動かす方法/バリー・R. ルービン
¥2,625
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シチズン・リテラシー―社会をよりよくするために私たちにできること/鈴木 崇弘
¥1,995
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民意民力―公を担う主体としてのNPO/NGO
¥1,995
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 これらの本は、ことあるたびに見返している本です。
 ある問題を解決したくて、政治を動かしたいと思うとき、選挙に投票するだけが方法ではありません。ましてやブログを誰かに読んでもらって、なんて駄目です。これははっきりと言っておきます。もちろん2ちゃんねるも。
 さまざまな方法を使って、戦略的に動いていく必要があります。
 マスコミなどを使う「アウトサイド戦略」から、議員に陳情に行く、省庁を尋ねるなどという「インサイド戦略」などさまざまなものがあります。

 もし私たちNPO法人サイエンス・コミュニケーションが、ポスドク問題の解決のために活動するのなら、以下のようなことを考えます。


 まず、ポスドク問題を社会に認知させる必要があります。


 確かにNHKが二度この問題について放送するなど、認知は高まってきましたが、どうしてこの問題を解決する必要があるのか、という社会の厳しい問いに答えなければ、この問題は解決しません。


 そこで第一弾として行うことは、本を出すことです。新書なんかだとよいのですが。まずはアウトサイド戦略ですね。ブログ(ウェブというものは概ね)の議論は、興味ない人には届かないという難点があります。そこで、まず本を出すことを考えます。


 これをもとに行政や政治にアプローチしていくことが第二段になるでしょうか。


 その際は、政策提言という形を作り上げていく必要があるでしょう。政策提言を作り上げるには、私たちサイコムジャパンだけでは力不足で、多くの皆さんの力を結集する必要があります。


 ポスドク問題に関する緩やかな?コンソーシアムのようなものが作れたらと思います。組合という案も度重ねて出ていますが、それが現実的でないのなら、ウェブ上のゆるやななつながりから入るのもよいかもしれません。


 ウェブ上では、この問題について発言するブロガーの方々をつなげるような仕組みや、政策提言を練り上げるような、密な交流媒体を整えたいですね。


 これをもとに、シンポジウムやワークショップのようなものを繰り返すことも重要でしょう。


 こうした活動の行き着く先はAAAS です(詳しくはこちら などを)。


 以上思いつきであれこれ書きました。資金源などさまざまな問題があります。しかし、とりあえず本を出すことなどに賛同される方がいらっしゃるのなら、私たちは本気で取り組む覚悟はあります。


 私たちがNPO法人を作ったのも、若手研究者のキャリアパスを含めた諸問題に、当事者の意見を反映させたいと思ったからでした。


 ブログでの議論の循環から抜け出す意志のある人が出るのを期待しています。