久々の更新です。
2010年7月24日、25日の2日間、京都府立医大で、
病理専門医試験を受験してきました。
結果は…

残念ながら、III型試験(解剖の試験)が
2点!足りず不合格となりました。この試験、剖検とそれ以外で別採点をして、どちらかが合格点でも他方がダメなら落ちるのです。
I型(写真の試験)、II型(プレパラートを見る試験)は合格点に達していたようなので、ちと悔しい…
でも、来年に向けて、気を取り直して頑張ります。
気持ちを整理するために、試験を振り返ってみたいと思います。来年以降受験される人の参考になれば幸いです。
簡単に病理専門医試験についておさらいしておきましょう。病理学会のページをみれば分かりますが、大まかに言って、5年(うち一年は臨床研修の2年をあてることができる)の病理診断経験と50体(今は40体+講習会受講)の剖検経験があれば受験資格を得ることができます。
受験者は81名。医学部の一学年にも足りませんね。同学年の医者の1%もいないわけで、病理医不足はまだまだ続きそうです…
それはさておき、簡単に私の病理歴を。
私は2004年に医師になり、2年間初期研修を受けました。臨床研修義務化の最初の学年です。
そのうち半年は選択科目で病理を選択し、2006年からは某大学病院の病理部にて修行してきました。
昨年の8月からはひとり病理医として、某地方都市の病院に勤務しています。
剖検経験数は、試験直前までで75体。まあ、あるほうだと思います。ただ、昨年の8月に転勤した病院では、8月に一体やっただけで、その後試験まで剖検がありませんでした。それがIII型試験に響いたかもしれません。それは後で考察します。
見ている標本は年間3000件くらいです。一人での勤務の傍らに、本格的に勉強を始めたのが6月からとかなり遅かったです。
さて、試験の概要を書いてみます。
7月24日の12時までに、京都府立医大に集合。部屋で待たされたあと、顕微鏡のある実習室に移動し、III型、つまり解剖の試験を受けました。
試験時間は2時間半。
試験内容は病理学会から10月くらいに発表されるので、それをご参照いただいたいですが、肺癌の患者さんが脳梗塞、心筋梗塞などを起こし亡くなられた症例でした。
2009年の彩の国さいたまの剖検の会で紹介されていたほとんどそのままの、非細菌性心内膜炎とTroussrau症候群でした。
最初の1時間くらいは、所見と配布された写真をみて、肉眼所見を作り、その後標本を見て肉眼所見を修正し、問題に答えました。時間は余裕があったと思います。
詳細は後で書くとして、III型試験が終わったあと、部屋を移動しI型試験(標本は見ず写真を見る試験)を受けました。
○×形式の問題が20問ありましたが、診療報酬の問題が多数出て驚きました。
I型は比較的できた手ごたえがあり、実際上の結果をみてもまあまあでした。
I型試験の後は面接。10分間程度の面接を、2人の試験官から受けます。
内容は数時間前に受けたIII型試験でできなかった部分を突っ込まれるというものでした。
結果としてIII型で落ちてしまったので、面接から何が減点だったのか考えてみます。
面接で突っ込まれたのは、肺癌の組織型でした。腺癌だったのですが、なぜかLCNECなどというとんでもない間違いをしてしまいました。今考えるとどうして、って感じですが…そこはもはやいいわけせず、素直に間違えました、と言いました…
肺癌は実はあまり診断したことがなくて、以前調べたのですが、自分のした診断の1%程度しかありませんでした。弱点だったと思います…減点の最大はこれでしょう。
このほか、肺に硝子膜形成があったので、DADと書いたのが書きすぎだ、と言われ、また、癌周囲のリンパ管侵襲を癌性リンパ管症と書いたことも突っ込まれました。このあたりの減点が痛かったかもしれません。
また、フローチャートで死に至る過程に多臓器不全と書いたことも書きすぎだと言われました。私としては、脳梗塞、心筋梗塞と、血栓形成が多臓器にわたり起こっていたので、書いてしまいました…これも減点でしょう。
さらに、なぜか下書きに書いていた陳旧性心筋梗塞を消してしまい、これも突っ込まれています。減点になったでしょう。
それでも、大筋は外していなかったので、まさか落ちるとは思っておらず、ショックでした。ボディブローのように減点が効いてきて、最後に2点差の不合格になったのだと思います。
剖検の1年間のブランクが響いた部分もあると思いますが、不得意な肺癌など、いろいろな要素が複雑に絡み合って不合格になったのだと思います。
III型試験は書きすぎたら減点されるということは肝に銘じておいたほうがいいでしょう。こう考えると、どうも私も書きすぎたようです…癌性リンパ管症は、見直しの時に書き足したもので、あれを書き足さなければ…まあ、今更言っても仕方ありませんが。
こちらのブログに去年の合格者の方が
「学生のテストでは,部分点をねらって「あること無いこと」書きまくる,といったテクニックがありますが,この試験は,ある程度経験を積んだ医師を対象とした専門性の高い試験であることをすっかり忘れておりました.余計なことを書くと減点の対象になるので,想像を控えて事実を冷静に書きつづることが大切だと後から思いました.・・・が,もうアフターフェスティバル(古っ!).」
と書かれていましたが、これを読んだのは試験後。まさにアフターフェスティバル…
とりあえず解剖は置いておいて、次は2日目について。
8時集合で、II型試験を受けました。
II型というのは、実際の標本をみて診断を解答用紙に書くというもので、全員に同じものが配られるIIa、IIbと、標本を回していくIIc型の3つに分かれてます。受験者をいくつかのグループに分けて交代していきます。
私はIIc→IIa→IIbの順番に受けました。
IIcですが、2分半で標本を回していかないといけないので、的確な診断が要求されます。
あとで気がついたのですが、たとえば胃生検の標本など、何もなければGroup 1と書いてもよかったのですよね。過去問をよく読めばそうなっていたのですが、試験のときは気がつかず、無理やり診断名を書いてしまいました。それがIIc型の得点の低さにつながったのだと思います。
IIa、IIbは、見たことない疾患もありましたが、日常診療でよく見る疾患もあり、良問だったと思います。IIaが悪くてIIbがよかったのは、まあ、たまたま得意不得意が不均等に配分されたのでしょう。
最後にアンケートに回答し、試験終了。試験後は鴨川沿いを歩きながら、しばし放心状態でした。結構しんどい試験だったので…
結果として試験に落ちたので、何も偉そうなことは言えません。剖検を中心にしっかり勉強し、来年に臨みたいと思います。
ただ、剖検はいまいちどうやっていいかわからないのが正直なところです。病理学会も1980年代に剖検の手引きを出したきりです。わらにもすがる思いで、彩の国さいたま病理診断セミナーの剖検の会を受けたりしましたが、オフィシャルには世の中の剖検のスタンダードが明示されていないのです。
また、剖検数は全国的にどんどん減っています。

1980年代から半分になっており、私の病院でも年間数件しかありません。
こんな中、どうやって剖検の診断スキルを身につけていくべきか、分からないのが正直なところです。
病理学会に望みたいのは、剖検の基準を厳しくするのは誠に結構なのですが、剖検の達成基準というか、スタンダードを明らかにしていただけたらということです…
最後に、使った参考書のリストと勉強法を。I、II型は合格点に達したので、多少は参考になるかと思います。
ひとり病理医の場合、日常の診断に時間が取られ、勉強のための時間を取ることができません。その分、日常診療が試験にも直結しているので、有利、不利は相殺されているのだと思いますが、こんな方法でもある程度の点は取れるのだ、という参考になれば、と思います。
基本的には、病理学会のホームページで公開されている過去問をチェックし、受験書類と一緒に送られてくる疾患リストをつぶしていくという方法を取りました。
本に出ていれば、そのページを繰り返し見て、もし出ていなければ、各テキストから画像を取ってきて、パワーポイントに張り付け、それをPDFにして、iPhoneのiBookというソフトに入れて読みました。
これは結構良かったです。寝転がっても読めましたし。iPadも購入したので、来年の試験では、オリジナルの受験資料を作って、iPad、iPhoneで勉強したいと思います。
ただ、試験会場では携帯電話の電源オフを要求され、電話であるiPhoneを見直せなかったのは痛かった。あちゃ(><;)
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というわけで、受験生を脱出することができなかったので、もう一度勉強をやり直し、来年こそ合格を勝ち取りたいと思います。
来年受ける人は、一緒に頑張りましょう!
最後に、今まで私をご指導くださった先生方に感謝を述べたいと思います。
試験に落ちて、ご期待に添えず申し訳ありませんでした。それでも、合格寸前まで行ったのは、指導医の先生のご指導の賜物です。心より感謝いたします。
また、試験を実施した病理学会にも感謝したいと思います。自分の弱点を明らかにしてくれた良問だったと思います。
来年も受験しますが、どうぞ宜しくお願いいたします。