大山典宏『隠された貧困』(扶桑社新書)
- 隠された貧困 (扶桑社新書)/扶桑社
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この本は、児童養護施設出身者など、さまざまな生活保護受給者を取り上げ、その人たちが抱える貧困の問題や、その支援体制などを説明した本です。生活保護というと、最近は貧困ビジネスに代表されるように、あまりよいイメージは持たれないのですが、既存の福祉の枠組みでは捉えきれない人たちがいることや、彼らを支えようとしている人たち、あるいはさまざまな制度について、知ることができます。
例えば、第一章で取り上げられた児童養護施設出身者の事例は、現在の福祉制度の落とし穴を見事についたものです。18歳で児童養護施設を出て企業に就職した子どもに対し、親権を盾に実の親が同居を強要し、子どもが働いて得た収入などをほぼ全部奪ってしまう。施設に保護される以前と同じように暴力も日常的にふるう。しかし18歳を過ぎているから児童福祉法の対象ではないし、でも20歳(成人)になっていないから、法的に自立できるわけでもない。自立のためにアパートを探しても、未成年のため契約を結ぶのに苦労したことなどが書かれています。
成人を18歳に引き下げるかどうかがたまに新聞などで問題となりますね。現状の仕組みだと、18歳と20歳の間に、こういった制度のスキマがあるということは、問題を考える上で一つの参考となります。
他の章も勉強になりますから、興味がある方は、ぜひ手にとって見てください。
増田寛也『地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減』(中公新書)
- 地方消滅 - 東京一極集中が招く人口急減 (中公新書)/中央公論新社
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「896もの自治体が消滅する」というショッキングな予測で、ニュースに取り上げられた日本創生会議の政策提言をまとめた本です。
地方では若い女性の流出し、少子化に拍車がかかって自治体そのものが消滅するおそれがある。一方、人口流入が続く東京でも、やがて地方からの流入がなくなり、その活力を失う。こうした将来予測は、少子高齢化問題を考えるよい材料となります。全国のデータが載っていますので、資料としても役立ちます。