ドナルドの左手は枯れかけて青息吐息の
アフリカンオリーブ。
後方は乾燥に強いアカシアの木。
大干ばつで水力発電による電力が46%も減少し、電気が配給制になった。先週から週3日、月水金は朝7時から夕方7時まで電気がない。
被害は広がる一方で、ケニア北部最大のイワソ・ニロ川が干上がったとか、食料危機で学校に行けない小学生が50万人出たとか、牛が数週間で10万頭餓死したとか、大変なニュースばかりだ。
最近ケニアのマスコミで、環境問題を取り上げない日はない。特にマウ・コンプレックス(注)からの立ち退き命令が大論争を巻き起こしている。
ことはギル水大臣の「ケニアの水供給は最低」との発表から始まった。
キバキ大統領「森林を破壊する者は容赦なしに逮捕する」
オディンガ首相「集水域に住む住民2500人は直ちに立ち退きを命ず」
ミチュキ環境大臣「5年以内に国民一人が5本ずつ木を植えれば、失われた緑も戻ってくる。植林に35000の学校、4300の女性グループ、16350の青年団を総動員する」
カジュワン移民大臣「マウの森の破壊は24年に渡るモイ元大統領の政権がやったのだ。モイを逮捕せよ」
モイ元大統領「住民の生活が犠牲になるような立ち退きは許さない。血を見る争いになるぞ」
国会では、「立ち退き命令を出すなら、先に住民に賠償金を払うべきだ」という意見に賛成する議員も多いようだ。
議論はやめて、早く手を打って欲しい。今年3月の大雨期にマウの森が燃えた。お尻に火が付いて、半年たってやっと政府は動き始めたというわけだ。
注:マウ・コンプレックス(複合林)は東アフリカ最大の集水地域として12の河川に水を与えていた。河川はケニアではナクル湖、トルカナ湖、ビクトリア湖、バリンゴ湖に、タンザニアではナトロン湖に注ぎ込んでいる。かつて、ここには多様な固有の樹木が生い茂る豊かな森があった。――3月26日のブログ「消えゆくケニアの森」より――