以前、柱状の結晶で、上から見ると★型になっていた、、、、あのペンタゴン石。
今回入荷のものは、母岩付き群晶。
青色板状の結晶が集合していて、同じような形(板状)の無色透明の結晶は輝沸石です。束沸石もみられます。
Wagholi Poona Maharashtra, India 産
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B
C
D
ペンタゴン石はカルシウムとバナジウムの含水珪酸塩鉱物でカバンシ石と同質異像の関係にあります。
ペンタゴンという名称は5連双晶によって★型の結晶になることから名づけられました。
この星型の双晶については以前のブログ記事にて紹介しています。
http://ameblo.jp/sayanet/entry-10300950447.html
1973年にペンタゴン石はカバンシ石とともにアメリカ、オレゴン州産のものが新鉱物として発表されました。
まだみつかって新しい鉱物です。
カバンシ石とペンタゴン石とは「同質異像」(成分は同じだけれど、見た目~色、結晶の形など~が異なる)とはいえ、見た目がかなり似ています。
化学組成式:Ca(V4+O)Si4O10. 4H2O
両方とも青色は含まれるバナジウムによるものです。
ではここでちょっとだけ「鉱物倶楽部理科時間」。
まずはペンタゴン石(向かって右)とカバンシ石(左)。
カバンシ石の母岩付を並べられたら面白いのですが、とりあえずは分離結晶。
カバンシ石の名前は、カルシウム(Calcium)の「カ」、バナジウム(Vanadium)の「バン」、シリコン(Silicon)の「シ」 を組み合わせて名付けられました。
こちらはカバンシ石。
分離結晶をオブジェ用にコロコロさせて保管していたためもしかすると、最初はもっととげとげしていたのかもしれませんが、こんな感じ。ボール状です。
外国の鉱物図鑑では花弁状集合体(ロゼット)と記載されているものがあります。ロゼットとはタンポポなどの株が冬越しする時などに見られるもので、葉が地面に放射状に拡がってぺしゃんこになっている状態もロゼット。
建築で薔薇の花型の装飾もロゼットと呼ばれます。
ペンタゴン石の結晶は板状で、それらが放射状になっていると青い金平糖のように見えますが、拡大してみると、それぞれの小さな細い板状結晶がたくさんあることがわかります。
両方とも、青色の原因は含まれるバナジウムと思われますが、実はインドで産出される緑色の魚眼石の色もバナジウムによるものです。
ペンタゴン石とカバンシ石は一番最初、アメリカのオレゴン州で発見されたと書きましたが、アメリカで産出されるものはもっと緑がかっています。ペンタゴン石に関しては、結晶のサイズもインド産にはかないません。
ところで、このペンタゴン石をルーペで拡大してみると小さな丸い結晶が見えます。
一部、その丸い結晶の断面のような部分もみえますが、もしかしたら、これはカバンシ石かもしれない、と思います。
鉱物倶楽部として発行した『鉱物手帖01』にて、ルーペを正しく使おうということを記していて、「理科時間」では実際に使い方を覚えて、鉱物を観察してみたりしていますが、ルーペはぜひ1つお求めいただき、こういう結晶を眺めてみると面白いです。
今回のペンタゴン石をご購入いただいた方で、もしカバンシ石もお持ちであれば、ぜひ見比べてみてください。
また、色合いとしては天然胆礬もこんな色ですが、あちらは銅による発色。
そんな色も比べてみると楽しいです。