先の事を考える暇もなく大がかりな手術をおこないました。
腰の骨をとって陥没した足にくっつけるかなり大変な手術です。

終わって数日は痛みに耐え続けるしかないのです。
痛み止めをのんでも耐えられない痛み。
数週間の車椅子の生活は気が遠くなりました。

でも、リハビリがはじまった。
数週間たっても絶望感しかなかった自分がちょっとずつやる気になったのがリハビリです。

少しずつ治っていくのがわかる。
少しずつ進歩していくのがわかる。
そして、何より自分がプロレスラーとしてみられている事を意識していたのです。
ああ、やはりプロレスしかないんだな!!

退院する頃には1日のリハビリの時間は6時間にもおよんでいました。
そんな退院直前に病院で一人の青年に挨拶されました。

『兄が入院してましてお見舞いにきました。今、学生プロレスをやってます。』

みたいな簡単な挨拶だったと思います。

それから約四年、その青年は俺の前に再び姿をあらわしました。
『背もないし体格もよくないし自分なんかがプロのリングで試合なんておこがましい。』
今成につれてこられて今成のパートナーに抜擢されてそんな事を言った。
でも、なんで四年前うだつの上がらない入院しているレスラーに挨拶してきたんだ!?
その時からプロレスラーとして少なからずプロのリングにたってみたかったんじゃねぇのか!?
きっかけをつかみたかったんじゃねぇのか!?
そんな事を俺は思った。
だからこそ、その青年タイガーベッドシーンの本心を聞きたかった。

『プロレスがしたいです。』

四年前の挨拶がなかったらなにもなかったかもしれない。
でも、今こうしてタイガーベッドシーンはガンバレ☆プロレスのリングで試合している。
そして、今度は俺とタッグを組む。
これは2010年の夏の日からはじまっている俺とタイガーベッドシーンの物語でもある。